[小論文]今からできる「はじめの一歩」③――思考スキル

その1、その2の続きです。


三つの思考スキル

数百字にも及ぶ小論文を書くためには、与えられたテーマについて深く考える必要があります。小論文を書くうえでいちばん難しいところです。
この記事で紹介する三つの思考スキルを駆使すれば、どんな問題が出題されても深く考えることができるので、合格できる答案を書けるようになります。とことん考え抜くための“思考スキル”を極めましょう!

三つの思考スキル①―― 批判的思考と五つの疑問詞

批判とは「本当にそうなのだろうか?」と検討することです。批判的読解では課題文の内容を「本当にそうなのだろうか?」と検討するための着眼点を紹介しました。批判的思考では課題文ではなく自分自身で考えたことを自分で検討することになります。その際には「それは本当だろうか?」「どうしてこういうことになるのだろう?」のような自問自答が行われます。つまり批判的思考のスキルとは自問自答のスキルなのです。

自問自答を行うときに有効なのが五つの疑問詞です。

自問自答に有効な疑問詞
What? 状況把握
「それってどういうこと?」「何が起こっているの?」と具体的なことを思い浮かべます。Why? 本質の深掘り
「それはどうして?」「なぜそういうことになっているの?」と考えて物事の根本的な原因を考えます。Why?は一度だけで終わりにするのではなく、繰り返し問い続けましょう。

So what? 考えのまとめ

「つまりどういうこと?」「何が言える?」と考えて、What?やWhy?で考えたことをまとめます。こうすることで問題点を明確にすることもできます。

What if? 仮説思考

「もし〜だとしたらどうなる?」と考えます。So what?で発見した問題点が存在しない状態を仮定するとどうなるかを考えます。How? 解決策の具体化
What if?で立てた仮説をもとに「どんな手段で?」「どうすればいい?」という観点から解決策を考えます。生み出した解決策は必ずその妥当性も検討しましょう。

三つの思考スキル②―― 問いの公共性

合格できる小論文を書くためには、自分なりの問いを設定することがポイントとなります。しかし、自分なりの問いであればどんな問いでもよいというわけではありません。論じるのにふさわしい問いを設定することが求められます。
設定した問いが論じるのにふさわしいかどうかを自分で判断することになりますが、その基準として有効なのが、設定した問いに公共性があるかどうか検討することです。
公共性がある問いとは、ある時代、ある地域の社会や人間一般に共通する事柄について問うているものです。そして個人的な興味・関心や問題意識を公共性のある問いに変換することで、論じるのにふさわしい問いを設定できます。
そのために有効なのが次の二つの方法です。

問いの設定に有効な二つの方法
事例の一般化
個人的な興味・関心を、社会全体の問題に拡大します。Why?による掘り下げ
個人的な興味・関心や問題意識について、なぜそうなっているのか理由を掘り下げます。

三つの思考スキル③―― 反論の想定

①と②を踏まえ、さらに説得力のある小論文に仕上げるための思考スキルが、反論を想定することです。
自分の考えに対する反論は、自分の意見の欠点が含まれていたり、自分が見落としていた点について指摘されていたりすることがあります。だから自分と異なる意見を自分の意見と比較し検討し直すことで、自分の意見をより説得力のあるものにできるのです。
とはいえ、小論文の問題に取り組んでいるときに誰かと議論することはできません。そこで、自分とは異なる意見を持つ人を想像し、その人が自分の意見に対してどんな反論をしてくるかを考えるのです。
反論を想定するためには、その2で紹介した批判的読解の着眼点が有効です。

批判的読解の着眼点
・課題文とは別の例や根拠を考える
・課題文の反例や反証を考える
・課題文とは異なる立場から考える
・課題文とは異なる観点から考える

また、反論を想定するときにはTrue?(それは本当か?)と自問することも意識しましょう。他の可能性や見落としに気づきやすくなります。

 

おわりに――『身近なテーマで考える力をやしなう 小論文 はじめの一歩』

いかがでしたか? 焦って書くのではなくしっかり考えてから書くようにしてくださいね。
本記事は根岸の著書『身近なテーマで考える力をやしなう 小論文 はじめの一歩』の第3章をもとにしています。より詳しく学びたい人は同書で勉強してください。

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