
前回の記事でも紹介したように、大学入試で生物を使う受験生はそれぞれの出題パターンに応じた学習が必要です。
大学受験の生物で出題される問題は以下の3つに分類することができます。
- 知識問題
- 計算問題
- 考察問題・グラフ問題
今回は前回の知識問題対策に続いて、計算問題の対策について示していきます。
目次
計算・グラフ問題は受験する試験によってやり込む度合いが異なる
計算・グラフ問題について、どの程度やり込むべきかは受ける試験によります。
ここでは次の2つのパターンに分けて紹介します。
- 共通テストまでしか使わない人
- 私大・二次試験で計算が頻出、計算問題が苦手な人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
共通テストまでしか生物を使わない人は学校配布の問題集をマスターする
共通テストまでしか生物を使わない方は、前回の記事(知識問題の対策法)でも述べたような、学校で配られている問題集に載っている計算問題をしっかりとマスターできれば問題ありません。
私大・二次試験で計算が頻出、計算問題が苦手な人は過去問を確認する
私大・国公立二次まで生物を必要とする方は、受験予定の大学の過去問をみて判断すると良いでしょう。
過去に出題が少なければ特別な対策をする必要はなく、学校の問題集だけで十分です。
一方で、私大・国公立二次で計算が頻出である方、もしくは計算問題がひどく苦手な方は、『大森徹の生物計算・グラフ問題の解法』や『大森徹の生物遺伝問題の解法〔新装改訂版〕 合格点への最短距離』で補強しましょう。
解けなかった問題の類似問題のみ解き直す
11月ごろからは、一から全ての問題を解こうとせず、自分が普段使用している問題集で解けなかった問題の"類似問題のみ"をピックアップして解きましょう。
特に頻出の計算問題を単元ごとに列挙します。(生物基礎・生物問わず)
- 細胞:ミクロメーター
- 代謝:呼吸・呼吸商・光合成速度
- 遺伝子:塩基の割合・DNAの長さ・遺伝子やアミノ酸などの数
- 生殖・発生:配偶子の種類・遺伝(組換え価、胚乳や種皮の遺伝など)
- 生物の環境応答:興奮の伝導速度
- 恒常性:酸素解離曲線・尿生成・抗体
- 生態系:標識再補法・生態系の物質収支
- 進化・系統:ハーディーワインベルグの法則・分子時計
上記の計算はいわゆる典型問題で、考え方(解き方)が決まっているためしっかりと反復することで得点源にしていただきたいです。
計算問題というものは抽象的になりがちな現象の理解を手助けしてくれるものです。計算をマスターしてから、該当する単元の知識を再度確認することでより知識を深く理解できるでしょう。
典型問題にあてはまらない初見の計算問題の対処法
また、実際の入試では典型問題にはあてはまらない初見の計算問題もしばしば見られます。
初見の計算問題は比を使って解くことがほとんど
闇雲に式を立てようとしている方が多いですが、初見の計算問題は“比”を使って解くことがほとんどであるというのは知っておいてください。
ただし、比の立式についてもただなんとなくやっても意味がありません。
問題文で与えられた情報をきちんと把握することが重要です。
与えられた情報を整理するために「図を描く(記号化する)」
そこで、与えられた情報を整理する方法としては“図を描く(記号化する)”ことをお勧めします。
この“図を描いてから比の式を立てる”という反復により、多くの計算問題が解けるようになるはずです。
そして、初見の問題について比で解くことを勧めましたが、実は典型問題もほとんど比の計算なので、既に解いたことがあるものも比をつかって解けるかどうか確認してみるとよいでしょう。
生物の計算問題対策まとめ
今回のテーマをまとめると……
- 計算問題の対策は受ける試験により異なる
- 定番の計算問題は考え方を身につけて反復することが大切
- 初見問題の多くは問題情報を整理してから比をつかって解くこと考える
是非実践してみてください!
次回は(3)グラフ・考察問題の対策についてです。