首都圏、西日本の予備校に出講する現代文講師。
文章の情報構造を客観的に把握しつつ、その意味内容の理解に深く斬り込む授業に定評がある。
【note】https://note.mu/tkgwnohitorigoto
こんにちは。
前回は記述の基礎について列挙しました。
今回はこの中で触れた三項目について各論を述べさせていただきます。
①構文の正しさ
「日本語文としての正しさ」というべきでしょうか。
記述答案を作成し終わった際に、
以下の点が正しいかどうかを確認しましょう。
⑵「修飾語と被修飾語」の係り受け
⑶「てにをは」などの「助詞の使い方」
解答の要素をいくら満たしていても、
「日本語文として」間違っている
(場合によっては「崩壊」している)
のであれば減点、場合によっては×となることがあります。
たとえば、「シンヤ」「サヤカ」「プレゼントする」という要素があるときに、
「シンヤがサヤカにプレゼントをする」
のか
「シンヤにサヤカがプレゼントをする」
のかでは「てにをは」の違いにとどまらず、
意味まで異なるのです。
書き上げた記述の構文の正しさは必ず確認しましょう。
②表現の正しさ
①との区別がつきにくいかもしれませんが、
こちらは主に2つの点から説明します。
⑵記述の抽象度(具体度)の確定
⑶指示語、代名詞の明確化
表現の正しさ(1)ーー比喩、慣用表現の抽象化
例えば、
「熊のような人」
を換言する問題があったとしましょう。
これを
「テディベアのような人」
と換言したらどうなるでしょう。
比喩を比喩で言い換えることはそもそもその比喩内容がお互いの共通理解として成立していれば可能ですが、採点間との間にそれは難しいでしょう。
(たとえば、私のこの写真を見たことがない人には私のクマらしさは全く伝わらないので、
「熊のような人」ってどんな人?という問いに対して「武川のような人」と答えられてもわからないように。)
よって、比喩表現は適切に抽象化して換言する必要があります。
表現の正しさ(2)ーー記述の抽象度(具体度)の確定
時期によっては質問が最も多く出る事項の一つが、
「どの程度抽象化すればいいのか
(=具体例を使ってもいいのか)」
ということです。
基本的には
「一般化」「抽象化」して答えていくことが求められる
という認識で構いません。
しかこれは一般化がしづらく、
それこそ「設問による」と言わざるを得ないです。
よって、実際の作業としては、
身近な頼りになる先生に記述の添削をお願いし、問題ごとに表現の抽象度について聞いていくことが良いと思います。
念のため、
「抽象と具体」の含み持つ意味合いについて触れておきます
抽象→意味の範囲が広い
Ex.果物が好き
→(恐らく)りんごもみかんもバナナもドリアンも好き。
具体→意味の範囲が狭い
Ex.みかんが好き
→りんごも好き?バナナは?ドリアン‥‥?
(つまりわからない)
冒頭に「基本的には抽象的に」といったのは
「具体的な内容の記述は限定的な意味内容になってしまう」
ということを踏まえてのことでした。
とは言え、
繰り返しますが設問によってその度合いは変わってくるので、
傍線部箇所、設問の指示を分析することによって
抽象度、具体度を確定させましょう。
表現の正しさ(3)ーー指示語、代名詞の明確化
指示語のみならず、代名詞表現も明確化が必要になります。
たとえば、こんな記述答案のケース。
「彼があれをそうしたことでこうなった」
うん。何が何だか全くわからない笑
「あれ」「これ」「そう」の内容は必ず明確化しましょう。
上記の話は「言われなくたって分かるわ!」と思いますが、
代名詞表現はどうでしょう。
無論、
「私」や「彼」という人称代名詞のみが
本文で使われているなら
そのまま使わざるをえませんが、
「固有名詞」や「一般名詞」に置換が可能であれば
換言してしまいましょう。
③内容の正しさ
①②を踏まえ、記述内容の正しさに入ります。
無論、③が正しくない限りは①②も意味が無いのですが、
設問や条件の指示、
傍線部を確認した上で正しい答案を目指しましょう!!
‥‥って、そこをどうするか、教えろよ!!となりますよね。
分かっております。
この点についてはまた次回以降複数回に分けてお話をします。
それでは!