どうも, みなさんこんにちは。高橋佳佑です。
今回は, これから高校数学を学ぶ方々へお話したいことがあってこの記事を書いています。
まずは問題を考えてもらい, 解説を通してポイントをお話しした後, 勉強法について考えてみましょう。
今回, 問題の出題形式は, 現在行われている共通テストと同じものにしています。
目次
多くの受験生が最初に受験する「大学入学共通テスト」
多くの国公立大学の受験では1月中旬に行われる共通テストと, 2月末に行われる大学ごとの個別の試験の総合点で合否が決まります。
また, 私立大学でも共通テストの得点により合否が決まる受験方法があります。
毎年多くの受験生が最初にテストを受験するのが共通テストです。
出題の内容は教科書の内容の理解と, 思考力や判断力を問うものになっています。
▼具体的な内容はこちらを参考にしてください。
共通テストの「形式」
今回は出題内容以前の形式についてお話しします。
主に高校1 年生が学習する数学IAのテストでは, 解答用紙は以下のようになっています。
実際の問題用紙の2ページ目に答え方の注意がきちんと書いてありますが, 今回必要になるものを抜粋すれば,
また, 主に高校2 年生が学習する数学IIBのテストの解答用紙は解答用紙は以下のようになってます。
解答の仕方はIAと同様になりますが, 答える記号が少し異なることに注意です。
共通テストでは数字だけでなく符号や文字を選んだりしなければいけません。
共通テスト形式の例題で共通テストの「形式」を確認
では, ここで問題に挑戦してもらいましょう。中学生でも解答可能な問題です。
それでは上の問題を通して高校数学で意識してほしいポイントをお話しします。
(1)の解説
(1) まず, 素数とは$2$以上の自然数で$1$とその数以外に正の約数をもたない自然数です。
例えば, $2, 3, 5, 7, · · · · · ·$です。
実際に探してみることにしましょう。
$n$は素数だから$2$以上の数を代入して調べてみます。
本来は$n$は素数なので, $n= 4, 6$などは調べる必要はありませんが, 様子を調べるために載せました。
この段階で, $n, n + 2, n + 4$ が素数になっているものを探してみると$n = 3$が見つかります。
$n = 2$ のときは, $4, 6$と偶数が出てきて条件を満たしません。
$4$以上の数が, なぜ条件を満たさないのか考えてみましょう。素数でない数として, $4, 6, 8, · · · · · ·$などの偶数や$6, 9, 12, · · · · · ·$などの$3$の倍数が出ていることに気付きます。
ここでは$3$の倍数に注目してみましょう。
すると$3$の倍数が規則的に現れるのが分かるでしょうか。
$n$ の数をこれより大きくしても必ず$3$の倍数が現れると推測できるでしょう。
したがって, $n, n + 2, n + 4$がすべて素数となる正の整数$n$は$3$のみの$1$個であるから, アの答えは「①$1$個存在する」です。
高校数学の場合
ここまでは中学生の解答です。
共通テストのようなマークシートで解答する試験や, 答えのみを聞かれる場合は不要です。
実際に答えが$3$のみであることを示してみましょう。
$n = 3$のときは, $n + 2 = 5, n + 4 = 7$となり条件を満たします。
数学Aで改めて学習する内容ですが, すべての整数は$3$で割り切れるか, $3$で割ると$1$余るか, $3$で割ると$2$余る, すなわち$3$の倍数か, $3$の倍数より$1$大きいか, $3$の倍数より$2$大きいから, $m$を整数として,$$n = 3m, 3m + 1, 3m + 2$$と表されます。
$n ≧ 4$のときをそれぞれの場合において考えてみましょう。
(ii) $n= 3m + 1$のときは, $n + 2 = 3m + 3 = 3(m + 1)$となり, これは$3$の倍数です。
(iii) $n = 3m + 2$のときは, $n + 4 = 3m + 6 = 3(m + 2)$となり, これは$3$の倍数です。
つまり, $n\geqq 4$のときは, $3$の倍数が必ず現れるので, $n, n + 2, n + 4$がすべて素数になることはありません。
以上より, 求める$n$ は$3$のみであることが示せました。
このように, 高校数学では,
② 必要に応じて場合分けする。
という姿勢が大切です。
(2)の解説
(2) 解説を行う前に等号の性質について考えてみましょう。
次のことは正しいでしょうか。
実はこれはいつでも正しいとは限りません。実際, $a = 1, b = 2, c = 0$としてみてください。
$1 × 0 = 0, 2 × 0 = 0$ですが,$ 1 = 2$ではありません。
0で割ることは定義されない
高校数学では特に意識して欲しいポイントの3つめですが,
$0$で割ることを認めてしまうと$1 = 2$のように不都合が起こってしまいます。
つまり, 上の等式でいうと, $c= 0$のときと, $c \neq 0$のときを別々に考えないといけません。
したがって, ここでも場合分けをします。
実際に方程式$ax = b$を場合分けをして解いてみます。
(i)$a \neq 0$のときは, 両辺$a$で割ることができますから,
$$x=\frac{b}{a}$$
となるので, イの答えは$0$, ウの答えは「②$x =\frac{b}{a}$」
(ii)$a = 0$のとき, 方程式は$0 × x = b$となります。
$0 × x$は$x$がどんな数でも$0$になります。今回$b$は$0$でない数ですから, 等号が成り立つことはありません。
よって, エの答えは「⑥解はない」となります。
このように, 文字で割り算をするときは細心の注意を払いましょう。
高校数学の学習法
高校数学を学習する際のポイントを3つを改めて見てみましょう。
- 答えが求められるだけでなく, それが正しいことを示す
- 必要に応じて場合分けする
- 0で割ることは定義されない
それぞれ学習するときに意識してほしいがあります。
① 答えが求められるだけでなく, それが正しいことを示す。
時間を空けて, 例えば1週間後に自分で読んで, 納得できるものを目指してください。
最初のうちは, 教科書や先生の板書を真似ることで慣れていけばいいです。
② 必要に応じて場合分けする。
例えば, 遠足のしおりを作ることを想像してください。
集合場所も, 晴れなら校庭または運動場, 雨なら体育館など, 日頃から場合分けをするシチュエーションがあります。
数学においても, 状況によってそのあとの流れが変わることがあります。
今回の例だと, $n = 3m, 3m + 1, 3m + 2$としたところや, $a = 0$か$a \neq 0$としたところです。
いろいろな状況をきちんと考えることが大事です。
慣れないうちは, 解説を読み, なぜ場合分けが起こるのかをきちんと考えてください。
また, 授業を受ける際は, なぜ場合分けが起こるのかをきちんと聞きましょう。
③0で割ることは定義されない。
実は中学までもそうだったのですが, 数学においては定義が重要です。
簡単な計算1つにおいても, 定義されているかどうかが重要になってきます。
とはいえ, 計算に関しては, まずは慣れて正しく計算できるようにしましょう。
その上で, 定義が理解できればよいです。
新しく出てくる記号に関しては定義やその意味を理解し, 使い方に慣れるまで演習をしましょう。
おわりに
今回はこれから高校数学を学ぶ方々へ, 高校数学で注意すべきポイントを3つ紹介しました。
これら以外にも学習するうえでのポイントはあります。
ただ, やっぱり問題が解けるようになることの方がモチベーションにも繋がりますし, 何よりうれしいと思います。
少なくとも2回以上は復習が必要ですね。
何も意識せず問題を解いて終わりにしていると, 問題がただ解けるだけで理解が足りず成績が伸びにくくなると思うので注意です。
解けた問題こそ, 上で紹介したポイントなどを考えてみてほしいです。
それでは, 今回はこの辺で!