『スマートステップ 現代文』執筆で活躍した3つのツール

こんにちは、羽場です。

今回の記事では『スマートステップ現代文』完成までの裏側で行なっていた具体的な作業の進め方をご紹介します。
主に同業の方や原稿と向き合う必要のある方に向けた内容です。

『スマートステップ 現代文』の執筆・校正で役立ったツール

本書執筆で使用したツールはこちらです。

  • Notion
  • Microsoft Word
  • Adobe Illustrator(図版の作成に使用)
  • iPad Pro(第3世代)
  • Apple pencil(第2世代)
  • GoodNotes5

中でも、NotionとiPad Pro+Apple Pencil、GoodNotes5は大活躍でした。

原稿執筆はNotionをアウトライナー的に活用

noteなどで気楽に文章を書く際には特に何も考えず、勢いに任せて書きながら考えている私。書きながら考えているので、文章の展開が飛びに飛ぶことが多いのですが、ものによってはそんなことが許されるはずありません。

当然、このEducational Loungeをはじめとして、構造を意識して書く記事原稿を執筆することもあるわけです。そんなときは普段、Apple純正のメモを使って箇条書きにしながら原稿執筆を行なっています。

とはいえ、書籍原稿ともなるとこれまで以上に構造を意識する必要がある気がしていました。

 

アウトライナーとの出会い

そんな中、またしても千葉雅也先生の『勉強の哲学』を思い出すことになるのです。

そして、この本の制作過程を紹介した『メイキング・オブ・勉強の哲学』の中で、千葉先生が執筆に際しアウトライナー(アウトライン・プロセッサ)を活用していたことを知りました。

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自分がやろうとしていることを叶えるためには、どうやらアウトライナーを使うのが良さそう。そこで、『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』を入手し読んでみて、やはりこれだと確信しました。

そんなこんなで、僕も初めてアウトライナー(アウトライン・プロセッサー)を活用して書いてみようと考えたわけです。

 

時間の制約の中で

アウトライナーを活用することを決めた後、まずはWorkflowyやDynalistあたりを見てみることに。が、ここから先は時間との勝負。ツール探しに時間をかけている余裕はあまりありませんでした。

幸いにも僕は原稿を書くスピード自体は早いのですが、企画承認から最初の原稿締め切りまでは2週間。しかも予備校の新年度がスタートするタイミング。まとまった時間を取るのが難しかったこともあり、新しいツールの使い方を学習しながら原稿を執筆していく余裕はなさそう。

それならば、使い慣れたツールでアウトライナーと同じような使い方をしていくのが一番良いだろうという気がしてきました。

 

Notionをアウトライナー化する

そこでふと思いついたのがNotion。Toggleリストを活用すればアウトライナーのような使い方が十分に可能なのではないかと。

Educational Loungeのデータ管理や各種案件、入試問題分析などの個人的な仕事やプライベートでもNotionをよく使っているものの、ほぼデータベースとしての使い方ばかりしていたので最初は考えもしていませんでした。

でも、よくよく考えてみるとアウトライナーとして活用できそう。
物は試しで、とりあえずはじめはNotionで書いてみて、ダメだったらその時考えれば良い。

そんなことを考えながら、次の瞬間にはNotionで新規ページを作成していたわけです。

 

アウトライナーとしてだけでなく、ブロックエディターとしても使えそう

Notion本来の用途とは異なるのかもしれませんが、個人的にToggleリストを使った構造化との相性が非常によかったので、最初の原稿を納品した後もそのまま最後まで進めることに。

一部お見せするとこんな感じです(これより先の要素は本書でご確認ください)。
挙げ句の果てには、もともとアウトライナーとして箇条書きを構築していっただけだったはずが、気づけば「原稿もこのまま書けるのでは?」と思い始める始末。
そして、このときもNotionはブロックエディターとしての優秀さを発揮してくれました。

これまでブロックエディターとしてはCraftもたまに使っていましたが、アウトライナーとブロックエディターをいちいち使い分けるのが面倒に感じてしまい、本書の原稿はNotionに一本化していくことに。

最終的には第1章ほぼ全ての原稿をNotionで、Wordは装飾指示と微調整のみという形に落ち着いていました。
Notion、やはり良いです。

 

校正はiPadのGoodNotes5とゲラ刷りの2段階で

続いて校正段階。この段階はおそらく他の方とさほど違わないはず。

校了までは何度か著者校正が必要になってくるわけですが、そこで活躍したのはiPadアプリのGoodNotes5。アプリ自体はPCでも使えますが、PCではほぼ使用していません。

初校、再校……と校正を重ねていくものの、回数にはやはり限りがある一方で、自分の納得がいくものにしていくためにはチェックを怠りたくはないものです。

そして回数に限りがあるのみならず、やはりまとまった時間を確保するのはなかなか難しい。

となると、外出先での微妙な空き時間も無駄にはしたくないのが人間の性というものでしょう。そこで、iPadに取り込んだデータにApple Pencilでガシガシ書き込んでいきます。

 

画面で校正し終えたらゲラ刷りの確認へ

iPadでの校正を終えた章・節は、ゲラ刷りを使った紙での校正に入ります。

iPadで十分じゃないかと思うかもしれませんが、やはり実際の紙でも確認したかったんですね。

実際の書籍と紙も違えば色味も微妙に異なるでしょうが、やはり読者のみなさんは紙でご覧になるわけです。紙で見たら印象が違う部分があるかもしれないですし、紙で見るからこそ気づくものもあるかもしれないと。

さらには、この手順でいくと決意することで、少なくとも一つの期間に2回は目を通すことになります。おそらく何度校正を重ねても、出版された後は「こうすればよかった」という部分は出てくるのでしょうが、その後悔をできるだけ減らしておきたい。そんな思いで何度も向き合ってきました。

この作業を時間の許す限り繰り返し、ようやく『スマートステップ 現代文』原稿が僕の手を離れたわけです。

……が、やはり実際の書籍として完成してみた後は何かしらあるかもしれません。
万が一お気づきのことがございましたら、ぜひご一報ください。

 

『スマートステップ 現代文』書籍情報

  • 書名:『スマートステップ現代文』
  • 出版社:Z会
  • 著者:羽場雅希[著]・Z会編集部[編]
  • 発売日:2023年3月10日
  • 定価:1,100円(税込:1,210円)

『スマートステップ 現代文』予講
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