三次関数のグラフの常識――解説編
第1問の解説
正解は ③, ④, ⑤です。
関数$f(x)=ax^3 +bx^2 +cx+d(a > 0)$について考えてみます。
$f'(x)$は$x$の2次式となるから, 二次方程式$f'(x)=0$の解は,
異なる$2$実解 重解 実数解なし
に限られます。したがって, $f(x)$の増減表は下の$3$種類しかありません。
つまり, $y=f(x)$のグラフの概形も$3$種類です。
また, ①は一次関数, ⑥, ⑦, ⑧は四次関数のグラフです。さらに, 三次関数のグラフは点対称のグラフになります。
第2問の解説
正解は ③です。
$x^3 −x=(x+1)x(x−1)$であるから, 方程式$x^3 −x=0$の実数解は$x=−1, 0, 1$です。これは,$y=x^3 −x$のグラフが$y=0$のグラフ, すなわち$x$軸と, $x=−1, 0, 1$の$3$点で交わることを意味します。ちなみに対称の中心は$x=0$ に対応する点になります。
第3問の解説
正解は②です。
方程式$x(x−3)^2 =0$の実数解は$x=0, 3$(重解)です。これは, $y=x(x−3)^2$のグラフが$y=0$のグラフ, すなわちx 軸と, $x=0$で交わり, $x=3$で接することを意味します。
関数$f(x)=x(x−3)^2$の$0 \leqq x \leqq 3$における最大値をとる$x$の値は何でしょう。
第4問の解説
正解は$x=1$です。
極値を$2$つもつ三次関数のグラフは適切な処理(平行移動など) をすると,$y=ax(x−3α)^2 (a,α > 0)$のグラフと一致します。$f(x)=ax(x−3α)^2$とおき, 方程式$f(α)=f(x)$を解くと, $x=α$(重解)$,4α$となります。したがって, $y=f(x)$グラフを書くと下のようになります。
三次関数のグラフが点対称であることを考えると, 極値を$2$つもつ三次関数のグラフは, 長方形$8$等分の中に収まります。
第5問の解説
正解は$x=−1, 2$です。
三次関数のグラフCの点対称の中心をPとし, 点AにおけるCの接線とCの交点のうちAでない方をBとします。
図のように,$x$座標の差が$1 : 2$になるという性質があります。これは長方形$8$等分の中に収まることの拡張です。平行四辺形$8$等分の中に収まります。
$y=x^3 −x$のグラフは第2 問で見たように原点対称であるから, 今回は下の図のようになります。
おわりに
今回紹介した性質は, 答えを出すだけなら時間もかけずに比較的易しい計算のみで出せるので便利です。
記述試験ではしっかり増減を調べたり,方程式を解いたりする必要があるので注意です。
ただ, 共通テストのようなマークシート式の試験などでは威力を発揮すると思います。
それでは, 今回はこの辺で!