こんにちは。
数学講師の大塚志喜です。

今回は,数学IAの新課程を学習する上で気をつけておきたいことについてお話ししていきます。
旧課程から少し増えた部分や減った部分もありますので,そのあたりについて確認していこうと思います。

数学ⅠAの新課程における旧課程からの変更点

数学Iはほとんど変化なし

数学Iではほとんど変化がありません。
データの分析で仮説検定の考え方が増えたくらいですね。

この話は今まで数学Iにはなかった話ですので,たとえば先輩から参考書や問題集をもらったとしても問題はついていないと思います。
それ以外は大きな違いはないようです。

 

数学Aはかなり大きな変化が見られる

数学Aではかなり大きな変化が見られます。

「整数の性質」が「数学と人間の活動」という分野に変わります。
そして共通テストから姿を消します。

そして,これまで共通テストの数学Aに関しては選択問題になっていましたが,新課程では強制的に「図形の性質」と「場合の数と確率」を解答させられることになっています。

しかし,整数の性質という分野は旧課程で初めて教科書に登場した単元でしたが,その前から2次試験では普通に出題されていましたので,2次試験の対策には整数が必要になるのではないかと考えられます。

また,「場合の数と確率」では旧課程のそのまた旧課程にあった「期待値」が戻ってきました。

 

変更点をふまえた学習の注意点

以上の変更点をふまえると,新課程では少し旧課程とは違う重点の置き方をしなければならないのではないかと思います。

 

仮説検定では意味をしっかりと理解する

まず仮説検定です。

統計学的な考え方を要求されますが,意味さえしっかりと理解してしまえば大したことはありません。

解き方を一生懸命覚えるのではなく,コイン投げの結果などとの比較をなぜしているのか考えながらもんだを解けるようにしていきましょう。

 

期待値は「計算の仕方」のバリエーションを増やす

次に「期待値」です。

期待値は,定義式自体は単純でその通りに計算するだけなのですが,中には面白い計算で期待値を求めるなど,定義通りだけではなかなかうまくいかない場面が多々あります。

そのような計算の仕方のバリエーションを増やしていくことを意識しながら学習を進めていくとよいのではないかなと思います。

 

図形の性質の対処法

次は図形の性質についてです。

選択分野ではなくなってしまいましたから,かならず図形の問題を解かなければならなくなりました。
そのために早いうちにできることをとにかくやっておきましょう。

 

中学で学習する図形の知識が必須

まず,中学で学習する図形の知識は必須です。

毎年のことなのですが,三角形の合同条件が言えない,相似条件も覚えていない,高校入試で頻繁に出題されるような合同や相似の証明問題に手も足も出ないといった高校生や高卒生がとてもたくさんいます。

確かに図形的センスは存在するのかもしれませんが,センスで差がつくのは当たり前の知識がしっかりと頭の中に入ってからです。
まずはそこまで努力で自分の実力を持っていかなければなりません。

数学A の教科書レベルの学習から始めるのではなく,しっかりと中学レベルの問題が解けるような状態を作るところからしっかりと始めていきましょう。

 

中学数学の復習におすすめの教材

おすすめは旺文社さんから出ている「全国高校入試問題正解 分野別過去問 図形」です。

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全部とは言いません。

7割~9割くらい解けるような状態であれば数学Aに移ってもよさそうです。
証明が全く書けない,(1) の問題すら解けないという人は中学校分野の図形を完璧に近づけましょう。

しっかりと土台を作っておけば教科書で学習する図形問題もそれほど高い難易度というわけではありません。
まずは素直に自分の立ち位置を確認してから学習する内容を決めたらいいのではないかと思います。

 

共通テストの先も数学を使う予定がある人は「整数」の学習も早めに行いたい

最後に整数についてです。

共通テストからは除外されましたが,2次試験では出てきても全くおかしくはないと思います。
共通テストの先も数学を使う予定があるのであれば,早いうちに学習しておいた方がいいと思います。

名前が変わっても学習する上で大事な土台は変わりません。
整数の学習については以前の記事でまとめておきましたので,そちらを参照していただければと思います。

▼参照:「整数の性質の学習を効果的に進めていくために役立つ3つの指針」

おわりに

さて,今回の記事はいかがだったでしょうか。

僕の個人的な感想としては,図形の性質が共通テストの選択分野ではなくなってしまい,図形についての知識や技術がより多く、、、、必要とされることになりましたから,特に図形に苦手意識を持っている人の負担はかなり大きくなったのではないかと思っています。

しかしこれは記事を書いている現在から約2年後のお話です。
十分鍛える時間はありますので,特に図形については早いうちから色々な問題に触れてほしいものです。

では今回はこの辺で失礼します。
また次の記事でお会いしましょう。

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