安田です。今回は漢詩についてお話しをしていきます。
直近のセンター試験や共通テストにおいて漢詩が出題され続けています。また、東大をはじめとする難関大の入試問題でもしばしば出題されています。
このような現状を踏まえると、きちんとした対策を練っておくことは不可欠です。万全の学習をしておきたいですね。
目次
漢詩とは
中国における文学は「韻文」から始まりました。
名もなき農民が口ずさんだ歌や、豊穣を天に感謝する際の祝詞、こういう自然発生した言の葉が文学のはじまりです。
中国文学の発祥はすなわち東アジア圏全体における文学の起こりと言っても差し支えなく、日本文学の根底にも大きく影響しています。
これらの作品群を基礎として、時代とともに変化をくり返し、現代の日本においても新たに創作され続けている、それが漢詩です。
その限られた字句からイメージされる世界の奥深さはまさに無限の宇宙です。
受験勉強で触れる上ではそこまで鑑賞する機会は少ないですが、ぜひともその一端でも味わってほしいな、と個人的には思っています。
漢詩の基本的学習法(共通テストに向けて)
まずは基礎的な句形と読解の学習を
漢詩は多少の特殊さはあれど、漢文の通常の学習をするのがまずは基本です。
その上で、学校の授業でしっかりと文章を読む練習を積むのが基本です。
▼句形学習法についてはこちらの記事で書いてます。
「読解につなげる句形学習!『漢文道場[基礎編]』の活用法」
▼文章を読む練習をしながら、内容把握をする力をつけましょう。こちらの記事で学習法を紹介しています。
「例題で確認!「漢文が読めない」悩みを克服するための2つのポイント」
漢詩の形式を押さえる
みなさんが一般的にイメージする漢詩(中学校の教科書で読んだことのあるもの)は、ほとんどが「近体詩」と呼ばれる、厳格な決まりごとに沿って作られたものです。
「絶句・律詩」と呼ばれるものですね。
「近体詩」以外では「古体詩」という、比較的自由に作られたものもあります。
「近体詩」は皆さんご存知の「五言絶句」「七言絶句」「五言律詩」「七言律詩」などです。
一句が何文字構成か、全体で句数がいくつか、というところだけで形式はほぼ判断できます。
まずはこれらを押さえるところからスタートしましょう。
押韻を押さえる
押韻はそれ自体が設問として問われることも多いですし、必ず押さえるべきものです。
声に出したときにリズムが大切になります。
そのリズムを整えるため、特定の句末に同じ響きの字を配置して調子を整えるのです。
これも実際は奥深くて、本来は単に音読みを充てればいいというものではないのですが、まずは知っている音読みで音を判断するようにしましょう。
それで多くの場合は問題ないはずです。
原則として、五言詩は偶数句末、七言詩は第一句末と偶数句末で押韻します。
あくまでも原則なので、たまに例外は出てきますが、まずは原則をしっかり覚えましょう。
構成を押さえる
特に近体詩においては、「起承転結」の構成になっていることを前提に読みましょう。
対句を押さえる
意味の深みを出したり、「歌」として全体のリズムを整えたりと、効果的に使われる技法です。
それ以外の箇所でも対句は多用されるので、「意味が反対の漢字が横に並んでいる」「返り点の打ち方が同じ」という句が並んでいる場合は、対句かな?と考えて読んでみると見えてきますよ。
本当は、平仄や換韻といった知識も重要なのですが、まずは上記5点にしっかり取り組んでもらえれば、たいていの問題を解く上で不自由はなくなるはずです。
難関大を受験する人は……
前提となる学習法は一緒です。
上記の内容に沿って学習しましょう。
押さえておくべき漢詩の知識自体はそれでほぼ十分です。
こういう深いところまで熟考するような読解や表現する技術は一朝一夕の受験勉強では容易には身につきません。
現代語訳は信頼できる先生に添削をお願いするとより効果が出ると思います。
おわりに
漢詩は非常に奥深く、大学入試にはほぼ影響のない平仄の話ですらこういう記事を何本も書けるくらいです。
私は李白が大好きで、李白の詩ひとつでもやはり筆が止まらなくなります。
皆さんは入試で点数を確保するのが最優先になりますが、色々と勉強する過程で少しでも面白さ、味わい深さの一端に触れてもらえればなと思っています。