[小論文]12月の学習指針(受験生)②


①に続いて、次は「批判的読解」の練習についてお話しします。

「客観的読解」と「批判的読解」

現代文の授業では、文章を「客観的に」読む練習をしているはずです。

ここでいう「客観的」とは、「主観を排除し、書かれている内容を書かれている通りに理解して、その論理展開を追っていく」という読み方です。
これはもちろん現代文に限らず、小論文でも、もっと言えば全科目で重要な読み方だといえるでしょう。

しかし一方で、小論文では「客観的読解」だけではよい答案を作ることができません。なぜなら、小論文の設問では「あなたの考え」を問われるからです。

現代文の設問で「あなたの考え」が問われることは少ないですよね。あったとしてもせいぜい1問。ほとんどの設問が本文の内容に関するものです。

他方、小論文では設問が2つ~3つ、しかもすべてが記述式問題で、最後に字数の多い意見論述が出てくるというのがお決まりのパターン。
そして字数が多くなれば何を書いてよいかわからなくなり、その結果「本文の引用や具体例、自分の体験で字数を埋めよう」と思ってしまう人も少なくありません。

でも、それって小学生の時の遠足の後作文や読書感想文と同じじゃないですか? できごとやあらすじをだらだらと書いて、最後に「おもしろかったです」と書いておしまい。それを大学受験生がやってしまっていいのでしょうか。そりゃあまずいですよね。

そこで出てくるのが「批判的読解」という考え方なのです。

「批判的読解」とは?

「批判的読解」を説明する前に、まずは「批判」という言葉について理解を深めましょう。

批判

  物事の可否に検討を加え、評価・判定すること。 「学説-」 「 -を仰ぐ」
②  誤っている点やよくない点を指摘し、あげつらうこと。 「政府の外交方針を-する」
③  〘哲〙 〔ドイツKritik〕 人間の知識や思想・行為などについて、その意味内容の成立する基礎を把握することにより、その起源・妥当性・限界などを明らかにすること。

(引用:大辞林第三版)

私たちは通常、「批判」という語を上記の②の意味で使っています。しかしここでいう「批判的読解」の「批判」とは①の意味です。

つまり「批判的読解」とは、現代文で学んだ「客観的読解」に立脚し、そのうえで本文の内容について「検討を加え、評価・判定する」ことなのです。

批判的読解のコツ

こう書くと批判的読解を行うのは何だかとても難しいことのような気がしますよね。確かに簡単にできることではありませんが、その「コツ」はあります。

批判的読解のコツは、文章に「ツッコミ」を入れることです。

漫才でいえば、あなたがツッコミ担当、本文がボケ担当です。
本文の内容に

「なんでやねん?」
「何言ってんの?」
「はあ? どういうこと?」

とツッコミを入れられる場所を探す。

こういう練習が批判的読解の精度を高めます。そして文章に的確な「ツッコミ」を入れられるようになると、自ずと小論文の立論の質も高まり、結果的によりよい小論文が書けるようになるのです。
ぜひ批判的読解の練習をしてみてください。

批判的読解についてより詳細に学びたければ、学びエイドというサイトで配信している「難関大学小論文入試対策講座」第4章をご覧ください。

それでは、この記事を読んでくれたあなたが、より質の高い学習を進められるようお祈り申し上げます。

受験まであとわずか。
追い込みの時期です。
がんばっていきましょう。

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