
こんにちは。
数学講師の大塚志喜です。
今回の記事では,センター試験数学IAでも共通テスト数学IAでも第1問でよく出題されている「数と式」分野についてお話ししていこうと思います。
ほとんど毎年出題されている分野ですから,しっかりと対策をして試験に臨みたいところです。
目次
全体像
「数と式」分野は大きく分けると
・実数
・1次不等式
に分けることができます。
1次不等式は解くだけですから,この記事では上ふたつの分野についてポイントを見ていくことにしましょう。
式の計算
まずは式の計算についてです。
この分野では文字式の計算をしていきます。
大きなテーマとしては展開と因数分解でしょうか。
式の計算では「手を動かした訓練」が鍵
式の計算ではとにかく手を動かした訓練が重要になります。
「項」や「次数」など,言葉をしっかりと覚えていかなければならないのは当然として,それ以外はあまり頭を使いません。
とにかく計算です。
数学Iの範囲内の因数分解が苦手だったりできなかったりする人のほとんどは,単純に実際に手を動かす機会が少なすぎるだけなんです。
受験数学は理屈だけでは得点になりません。
最後までゴリ押しできるパワーがなければ最終的な得点に結びつきません。
問題は学校の問題集にも大量に載っているはずです。
実数
次に実数についてです。
循環小数の扱い方,絶対値,根号の扱い方がメインですね。
「絶対値記号の扱い」と「2重根号の外し方」は理屈を自分の中に溶け込ませる
循環小数や有理化については理屈がわかってしまえばどんどん手が進んでいくと思います。
苦手な人が非常に多いのが「絶対値記号の扱い」と「2重根号の外し方」です。
ここは理屈をしっかりと自分の中に溶け込ませるのが重要になります。
また,2重根号の外し方を丸暗記で済ませようとすると,どっちが和でどっちが積なのか忘れてしまったり曖昧になってしまったりしたときに,もうどうしようもなくなります。
(例)2重根号の外し方
例えば$$\sqrt{5+2\sqrt{6}}$$の2重根号を解消してみましょう。
理屈を大切にします。
例えば$$\sqrt{5^2}=5$$ですよね。
ですから$\sqrt{5+2\sqrt{6}}$の2重根号を解消しようと思ったら$5+2\sqrt{6}=(\quad)^2$と変形することはできないだろうかと考えるわけです。
左辺に$\sqrt{\quad}$がありますから,右辺にも$\sqrt{\quad}$がありそうです。
ということで,右辺を$$(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2$$としてみましょう。展開すると$$(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2 =a+b+2\sqrt{ab}$$となります。これが$5+2\sqrt{6}$となればいいわけですから$$\begin{cases}
a+b&=5 \\
ab&=6
\end{cases}$$となるような$(a, b)$を見つけるとよいわけです。$a=3,b=2$がすぐに見えますね。もちろん$a=2,b=3$でも構いません。
さて最初に戻りましょう。$$5+2\sqrt{6}=(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2$$と置いていたわけですから,$$5+2\sqrt{6}=(\sqrt{3}+\sqrt{2})^2$$と書けることがわかったわけです。この計算により$$\begin{eqnarray}
\sqrt{5+2\sqrt{6}} &=& \sqrt{(\sqrt{3}+\sqrt{2})^2}\nonumber\\
&=& \sqrt{3}+\sqrt{2} \nonumber \end{eqnarray}$$と2重根号を解消することができます。
簡単でしたね。
和と積がそれぞれどっちかを覚える暇があったら,この理屈通りに計算練習をこなしてください。
また,$\sqrt{6}$にかけられている2の重要性にも納得がいくと思います。
このように,理屈で終わるのではなく,実践を通して理屈を自分の中に溶け込ませていくようにしましょう。
おわりに
さて,今回の記事はどうだったでしょうか。
しかもそれだけではなく,ここで身に付けなければならない計算力や考え方はその他の分野でもたくさん使っていきます。
ですから,曖昧な理解のまま試験に突入してはいけません。
しっかりと問題をこなして,実際にガリガリ計算できるところまで訓練するようにしてくださいね。
もちろん理屈も大切に。
では今回の記事はこれでおしまいにしようと思います。
また次の記事でお会いしましょう。