現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。
基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。
小論文の「準備」の重要性
いよいよ12月。小論文の入試が行われるまで3か月をきりました。センター試験前後は小論文の演習から遠ざかりがちです。
したがって、年内にある程度の目途をつけ、センター試験後に再び小論文の演習を進められる「準備」を周到に行っておく必要があります。
では、受験生がするべき「準備」とはどのようなものでしょうか。それは大きく分けると2点に集約されます。
① 知識の増強
② 批判的読解の練習
それぞれについて詳しく説明していきます。
『○○だけ』に騙されない
知識の増強についてお伝えする前に、一つ非常に重要な前提があります。
『これだけ!○○系小論文』
『○○日間で完成させる!』
のようなキーワードに踊らされないでください。
そういうものに飛びつきたくなる気持ちはよーくわかります。
受験生も焦っているでしょうし、小論文以外の科目に時間を割かねばならない現実もあるでしょう。
しかしそういうものは「これだけ!」であり、「○○日間」分の内容しかありません。つまり、知識として「薄い」のです。「付け焼き刃」は簡単に見破られてしまいます。本当に合格したいなら、「骨太」の知識を身につける必要があります。
そのためにどのように取り組めばよいか、具体的に説明していきましょう。
電車での通学時間を「ネタ本」を読む時間に
時間のない中で効率的に学ぼうと思えば、やはりいわゆる「ネタ本」が第一選択肢になります。
しかし先述のような「これだけ!」系は避け、できるかぎり情報量の多いものを選択し、それを読みこんでいくのがよいでしょう。例えば学校の生き帰りに電車を利用している人なら、その時間にスマホをいじるのをやめて、「ネタ本」を読む時間にあててください。そうでない人なら、学校の休み時間などを利用してもいいですね。
志望系統別おすすめ本
では、具体的に志望系統別におすすめ本を紹介します。
医学系のキーワードやトピックについての知識が必要です。
法学、政治学、国際関係に関する知識は持っておく必要があります(経済学系の知識はあまり問われることがありません)。
教員養成系は小論文が必須の大学も多いですね。
そして確実に「教育制度」「子ども」がテーマとなると言っても過言ではないでしょう。
人文系学部は「ネタ本」が通用しない?
最後に人文系の学部ですが、ここだけは「ネタ本」では通用しない系統だと思っておいてください。
なぜなら、人文系の小論文はまさに大学で学ぶ内容の先取り要素が強いからです。
思い出してみてください。
現代文で取り上げられる文章は、哲学・思想系のものが多いですよね。そしてそれらは内容面で高校生に「馴染み深い」ものでしょうか。決してそんなことはありませんよね。つまり、知識レベルでいうと人文系学部の現代文・小論文で求められるのは、大学の教養課程で学ぶことに近いのです。
これは裏を返せば、現代文の授業で扱った文章のほとんどすべてが小論文の「ネタ」になるということでもあります。これまで現代文の授業で扱ってきた文章を再度読み込み、その内容を頭に入れておいてください。
もしそれだけでは不安だというなら、以下の本をおすすめします。
次回は②の「批判的読解」についてのお話です。