こんにちは、安田です。
今回は理系の進路を選択している人の漢文学習について、なるべくシンプルにお伝えできればと思います。
目次
理系受験生にとっての「漢文の重要性」
国公立大学を志望している理系の皆さんは大学入学共通テストで漢文が必須となる人が多いと思います。
大学によって配点比率は違いますが、基本的には900点中50点です。
この重みをどう考えるでしょうか。
2022年度のように、数学や化学、生物といった科目で大幅に平均点が下がる事態、すなわち多くの受験生が「想定より得点できない」という状況になると、難化しづらい科目でいかに安定的に点数を確保しているか、が大きく響いてきます。
漢文は共通テストで「安定感」を出しやすい
漢文は共通テストで難化しづらい科目の中でも特に「おいしい」科目です。
(こういう言い方は個人的には好きではありませんが、実際に「全体の点数をまとめあげる」上で非常に安定感を出しやすい科目であることは間違いありません。)
実際、本年度は私の出講先でも理系の人で満点か1ミスで切り抜けている人ほど全体のスコアがいい感じにまとまって、共通テスト利用入試で私立大学を押さえられた、という例が多かったです。
今後の共通テストがどう変容していくかは分かりませんが、いかに理系バリバリの人と雖も、理系科目すべてで安定的に高得点が取れる人は少ないと思います。
漢文50点の安定化はかなり有効な戦略です
自分の専門だからというわけではないですが、漢文50点の安定化、かなり有効です。
特に国語は初日ですから、「できた!」と思える科目が一つでもあれば、良いテンションでその後の英語、そして2日目に臨めます。
いかに最後までメンタルと体力をキープするかも共通テストでは非常に重要です。
漢文に時間を回す余裕がなくなりがちな理系受験生の漢文学習法
「漢文に対して時間を回す余裕がない」という人は多いと思いますし、現実問題として、他の科目の比重が高いというのは否めません。
特に理系の人はそうなるのも無理はないと思います。
共通テスト900点、2次400点で英数200点ずつ、という大学を受験する場合、1300点満点のうち英語と数学がそれぞれ400点ずつという重みがありますから、必然、そこに勉強時間の大半を注ぎ込むでしょう。
受験まであと1年を切っている、という高校3年生であればなおさらです。
(念のため申し上げておくと、必ずしもそのような作戦がよいというわけではありません。)
まずは「学校の授業・教科書」をフル活用する
ではどうしたらよいか。
まずは「学校の授業・教科書」をフル活用する、というのが第一です。
授業時間にできる限り吸収し身につけることができれば、その分、学習時間を他科目に使えます。
教科書に掲載されている文章はいずれも堅実なものですし、句形もきっちり学習できるようになっています。
・書き下し文にする
・口語訳する
・白文を作って返り点と送りがなを振る
学校の授業で扱った文や詩であれば、これらの「答え」に当たるものはノートなりプリントなりに残っていますから、勉強はしやすいでしょう。
特別なドリルや問題集がなくとも、予習や定期考査前の学習でしっかりこれらをやるだけで、過去問や実戦演習に入るための下地は十分に鍛えられます。
知識面でわからないことが出てくれば、手持ちの『漢文必携』などの句形・語彙知識の参考書で確認していくのがベストです。
▼参考記事:「漢文の成績向上に役立つ効果的な復習法【教科書・模試・問題集・過去問】」
余裕があれば漢文問題集を活用して知識面の強化をする
多少なりとも余裕があれば、句形のドリルなど使って知識面の強化をしてもいいでしょう。
『基礎からのジャンプアップノート 漢文句法・演習ドリル(旺文社)』
『ステップアップノート10漢文句形ドリルと演習(河合出版)』
あたりは鉄板なのでだいたいの書店にも置いていると思います。
ですが、「あれもこれも」とはなかなかいかないのが現実です。
まずは、日常を疎かにしないのが第一。
特に3年生になると時間は限られますから、2年生までに日々の学習にきちんと取り組むのが一番です。
共通テスト漢文の過去問演習に取り組む
ここ数年は連続で漢詩が出題されるなど傾向的な変化はありますが、問われている中身は根本的には変わらないのが大学入学共通テストの漢文です。
したがって、過去問にしっかりと取り組み、問題が解けるだけではなく、「話がわかる」「だいたい訳せる」状態まできっちり復習する、という学習をするのが効果的です。
市販の過去問題集よりも古い年度の問題も学校にはあるでしょうし、国語の先生に相談してみるのもいいでしょう。
▼参考記事:「漢文の過去問を最大限活用して『本番を想定した練習』を行うために効果的な学習法」
おわりに
理系の進路を考えている高校生は、どうしても数学や化学(人によっては物理や生物)に力を入れることになります。
ですから、「共通テストだけに必要」になる科目については、どれだけ学校の授業ベースの学習で実力をつけるかという観点が重要なのです。
国語を教える身としては、なるべくたくさん勉強していろいろな素材に触れ、言葉の感覚を磨き、豊かな世界に触れてほしいという気持ちはあります。
無論、自分の塾では文系・理系関係なくそういう世界が味わえるようにと考えています。
ですが、高校生の持つ時間は有限で、さらに理系であればなおさら漢文に時間を回す余裕がある人は少数でしょう(2次試験で漢文が課される東大などは当然+αの対策をすることを勧めますが)。
ならば、誰もが必須となる学校の授業や定期考査の学習、この時間をいかに濃いものにできるか、が極めて重要になるのです。
これから高校3年生という人でも遅くありません。
さっそく今このときから意識を強く持ってスタートしましょう。
個別学習塾寺子屋はじめ塾長。
漢文を専門としつつも受験勉強のトータルプロデュースを行い、大学進学後を見据えた指導を行っている。
全国の大学受験生向けに国語のオンライン個別指導も行っており、難関国公立大の国語や医療系小論文の添削指導には特に定評がある。