こんにちは。日本史の河原です。
今回は少し趣向を変えて、日本史が好きな受験生におすすめしたい一般書を紹介しようと思います。
ちょうど22年の受験生は受験を終えた頃かと思いますが、受験を通して日本史により興味を持った方もいるでしょう。
そんな方に向けて、おすすめの書籍を選ばせていただきました。
目次
日本史好きの受験生におすすめしたい一般書籍
選考にあたり、以下の点を考慮しました。
①大学受験日本史の知識があれば読み通すことができる
②高校生や大学生でも手に取りやすい価格帯
③専門家が執筆している
歴史好きの方は小説から入る方も多いかと思いますが、今回は歴史学のおもしろさにも触れていただきたいという思いから、専門家が執筆した本に限定して紹介します。紹介する本は以下の通りです。
- 日本史リブレットシリーズ(山川出版社)
- 呉座勇一『陰謀の中世史』(角川新書)
- 神田千里『織田信長』(ちくま新書)
- 藤原彰『飢死した英霊たち』(ちくま学芸文庫)
- 野口悠紀雄『戦後経済史 私たちはどこで間違えたのか』(日経ビジネス人文庫)
簡単に紹介していきましょう。
日本史リブレットシリーズ
「〇〇時代に興味を持ったけど何を読めばいいかな?」「××という人物についてもっと知りたい」という方におすすめしたいのが、日本史リブレットシリーズです。
「日本史リブレット」は1つのテーマを少し深堀りした内容で、「日本史リブレット 人」は人物の生涯を最新の研究成果も交えて紹介されています。
100ページくらいの薄い本なので、日本史好きの高校生も読めると思いますよ。
呉座勇一『陰謀の中世史』
インターネットで日本史について調べるとしばしば、トンデモ説や陰謀論に出くわします。
そんな陰謀論を最新研究に照らして検証する本です。
本能寺の変の黒幕が誰だったのか気になる方や応仁の乱の黒幕が日野富子だったと習った方はぜひ本書を手に取ってみてください。
意外な結末が待っています。
ちなみに、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ている方は、著者の近著『頼朝と義時 武家政権の誕生』(講談社新書)もおすすめです。
神田千里『織田信長』
日本史の好きな人物ランキングでいつも上位にランクインする日本史屈指の英雄である織田信長ですが、最新の研究によって信長のイメージが徐々に変わりつつあることをご存じでしょうか。
信長といえば、全国統一を目指し旧勢力を排除して新しい時代を築いた時代の風雲児というイメージがありますが、本書によると信長は朝廷や室町幕府などを尊重していました。
この本を読んだ当時の衝撃は今でも覚えています。
信長ファンには少しショックな内容かもしれませんが、新たな信長の魅力を知る一冊となるはずです。
藤原彰『飢死した英霊たち』
授業でも紹介する本です。
アジア・太平洋戦争における日本軍人の死因は特攻隊や玉砕を想起する方も多いと思いますが、実際は餓死や戦病死の方が多かったということを明らかにしています。
その事実が何を意味するのか、日本がなぜアメリカに敗北したのかという点も考察していますが、その考察は現代の日本の諸問題にも当てはめて考えることもできそうです。
野口悠紀雄『戦後経済史 私たちはどこで間違えたのか』
最後は戦後史から1冊。
平成不況以降、日本経済の低迷が続きますが、その原因を考察しています。
日本の戦後復興や高度経済成長は、戦前の国家総動員体制が要因という主張には驚きましたが説得力があります。
経済に興味がある方はぜひ手に取っていただきたい1冊です。
著者は大蔵官僚から経済学者になった経歴の持ち主で、ところどころに挿入されている著者の自伝も戦後の時代の雰囲気を知ることができて興味深いです。