どうも, みなさんこんにちは。
高橋佳佑です。
今回は2022年度(令和4年度) 共通テスト数学ⅡBから見る現高1,2年生の学習方針についてお話しします。
今回の問題を通して, 今後受験するに当たって日頃の勉強の仕方を改めて考えてみましょう。
目次
2022 年度(令和4 年度) 共通テスト数学IIB について
2022年1月21日に発表された中間集計では数学ⅡBの平均点等は以下のようになっています。
参考として, 過去のデータも同時に掲載します。
共通テスト2021年度は第1日程のものです。
共通テスト | センター試験 | ||||||
年 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 |
平均点 (点) | 43.06 | 59.93 | 49.03 | 53.21 | 51.07 | 52.07 | 47.92 |
標準偏差(点) | 17.05 | 23.62 | 22.63 | 23.00 | 22.63 | 24.29 | 22.25 |
平均点が去年に比べると下がっていますね。
原因を探すために具体的に見てみましょう。
2022年度共通テスト数学ⅡBの出題分析
共通テスト独特の出題や, 普段の勉強ではなかなか出会わない問題形式を太字で表してあります。
第1問[1] 図形と方程式
円と直線に関する話題で, 内容は易しいです。
知識的にはⅠAⅡB総合です。
(2)の出題のされ方が特徴的で,1つの問題に対して2つのアプローチを考えるというものでした。
第1問[2] 対数の大小関係
前半は具体的な対数の値の計算や定義の確認でした。
後半になると文字が増えてきて処理の仕方に悩んでしまう人もいたでしょう。
(3)の問題では1つの不等式の解き方と結果が書いてあり, そこから不等式を解いて$a, b$の関係式を選択肢から選ぶものでした。
第2問[1] 微分
三次関数のグラフの形状に関する話題と, 方程式の実数解の個数をグラフの共有点の個数に対応させて考える典型問題でした。
(2)の選択肢の表現を見ると, 問題を解くことと, 数学的に言えることをきちんと選べるかを問うているのだと感じます。
また,(1),(2)の問題は三次関数のグラフの知識があるとさくさく答えられる問題でした。
第2問[2] 積分
2つの三次関数のグラフと面積に関する問題でした。
具体的な積分計算は1回のみで, 残りは式を選択肢から選ぶものでした。
その選択肢も
のようなもので正しく立式できないと正解できないものです。
実際には8個の選択肢がありました。
共有点の$x$座標はすでに直前で聞かれているので, その過程で出た式が使えます。
グラフの上下関係を不等式の大小関係に対応させて考えるとよいでしょう。
第3問 確率分布と統計的な推測
この分野は安定していますね。
出題の傾向もセンター試験のときからあまり変化がありません。
今回前半は, 二項分布の正規分布による近似と標本比率に関する話題でした。
後半は連続型確率変数に関する話題で, 期待値を積分で計算しますが, 必要な計算は結果が書かれていました。
あとは自分で連立方程式を解くという流れです。
計算は若干面倒な部分もありましたが, 得点しやすい問題でした。
第4問 数列
問題の設定が長く, 文字だけだと情報を処理しきれないでしょう。
なので, 見開きのページでグラフが与えられているんです。
問題文の設定を読みながらグラフの意味を考えると解きやすくなるのではないでしょうか。
ただ, 数列という分野だという考えに縛られていると, それらしき問題はしばらく出てこないので困惑するかもしれません。
次のページにやっと漸化式に関する問いが出てきます。
2021年の共通テストⅡBの第4問もそうでしたが, 設定から自分で漸化式を立てて解くという出題でした。
つまり, 設定の複雑な問題を, 誘導に乗って解くという出題のされ方でした。
第5問 ベクトル
ベクトルの問題も文章が多く手際よく図形を把握し, 誘導の意図を理解しないと時間がかかってしまうものでした。
それ次第で計算量が変わってしまうものの,内容は標準的でした。
2021年度第1日程のときと同様に,ベクトルの式から点の位置を決定する問題が出題されています。
今回も,式から読み取れることを選択肢から選ぶ形式でした。
以上が2022年の共通テストのⅡBの出題の内容です。
与えられた情報量も計算量も多く, 時間内で処理するのは大変だと思います。
それに加え,出題形式も独特で, 意図が把握できなかったことが難しかった要因ではないでしょうか。
あるいは数学IAの後の科目ということもあり, 負の感情を引きずった可能性もあるかもしれません。
▼参考:「2022年度共通テスト数学IAから見る高1、高2生が取り組むべき数学の学習方針」
共通テスト(数学ⅡB)において注目すべきポイント
共通テストにおいて注目すべきことをまとめると, 以下のようになります。
・不等式の解き方と結果が書いてあり, それを利用する
・数学的に言えることをきちんと選べる
・知識があるとさくさく答えられる
・式を選択肢から選ぶ
・必要な計算は結果が書かれている
・グラフが与えられている
・設定の複雑な問題を, 誘導に乗って解く
・式から読み取れることを選択肢から選ぶ
以上を踏まえ, どう勉強するか、次の記事で考えてみましょう。
理学部数学科を卒業した後、首都圏の塾や予備校で受験数学を指導。
定義を大切にし、定理や公式の原理から問題解決の突破口を見つけ、実際に問題を解くときの考え方を示しながら答案を作成していく授業には定評がある。