
こんにちは。安田です。
令和4年度の共通テスト、受験されたみなさんはお疲れさまでした。
これから私立一般や国公立二次が続きますから、引き続き体調に留意して全力投球してほしいと思います。
今回は、高1・高2生に向けて、今回の共通テストを踏まえて、「漢文の学習指針」をお話ししていきます。
2022年共通テスト(漢文)の出題形式
漢詩と、その詩の序文がセットになって出題されました。
いわゆる「複数テキスト」と考えていいでしょう。
序文を読み、エピソードを踏まえた上で詩を読むことで内容が分かってくる、という感じです。
分量的にはあまり変化なし。
語の意味、返り点の付け方と書き下し文、基本的な句形、押韻や詩の形式、内容把握、心情説明といった、定番の問題が並んでおり、共通テストとは言ってもほぼセンター試験の延長と考えていいかと思います。
漢詩の形式が問われるのは久々でしたが、中学校で習う範囲ですのでそれほど苦戦はしないと思います。
また、この2年ほど漢詩が出題されていました。
基本的な対策を欠かさなかった受験生はその部分に関しては苦労しなかっただろうと思います。
今後の漢文学習について
今回の共通テスト、本文読解および設問に取り組むにあたって、どういう知識が必要だったかを考えると、これは旧センター試験からほとんど変化がありません。
・動詞を軸に文構造を取る(問2)
・基本的な句形の知識(問2、問3、問5)
・漢字そのものの意味を考える、熟語にして意味を考える(問1)
・漢詩の形式、対句、押韻、呼び名などの基礎知識(問4)
これらの力を合わせて序文をしっかり読んでいけば、内容は把握しやすかったのではないかと思います。
「返り点の問題」の対策法
特に、問2のような返り点の問題は苦手にしている人が多いと思います。
句形の知識も必要になってきますが、特に大切なのは「どこからどこに返ってくるか」です。
下から読んで上に返ってくる部分がつかめれば怖くないので、返読文字・再読文字は最重要。
そして、句形だけでなく、常に「動作を示す字」を考えながら読んでいくことです。
漢文の文構造を押さえよう、というお話はこちらの記事で書いています。
▼「例題で確認!『漢文が読めない』悩みを克服するための2つのポイント」
また、句形の学習はこちらの記事に詳しく書いていますので参考にしてみてください。
▼「漢文句形学習法【読解にむけて】」
まずは、句形や漢詩など、知識面を固める。
固めながら、教科書で学習済みの文章を用いて音読し、書き下し、訳す訓練をする。
ごく当たり前の学習ですが、積み重ねることで確実に読めて解けるようになります。
「複数テキスト」の対策法
共通テストの出題形式である複数テキスト対策についてはこちらの記事でも書いています。
▼「漢文の共通テスト対策に効果的な勉強法まとめ【複数問題文】」
片方をヒントにできる、そういう心構えが大切です。
今回でいうと、序文を軸に読んでいけば漢詩はある程度解釈できるでしょう。
文章量の多さを嘆くのではなく、読み取る材料がたくさんあると前向きに読んでいくのがコツです。
漢文は「今すぐ」勉強を始める
あと回しにしてしまうと、気づいたときにはもう本番という状況になりかねないのが漢文という科目です。
なぜでしょうか?
高校3年生は、思った以上に時間がありません。
他の科目の学習を考えると、どうしても漢文に使える時間は限られるでしょう。
特に、理系の人は理科や数学の比重が極めて高くなります。
文系の人は特に歴史でしょう。
日本史にしろ世界史にしろ、大変なボリュームです。
国公立大学志望なら共通テストでは数学や理科の基礎科目、公民科目もやらなければなりません。
高校3年生ではこれらに本格的に取り組まねばならず、どうしても配点が低めになっている漢文に回す時間は少ない。
あと回しにする隙間がない、と言えばいいでしょうか。
しかしながら、配点が低くても生命線になる人はたくさんいます。
特に今年のように理系科目が難化している場合、この漢文の50点で二次試験に望みが繋がっている人が何人もいます。
知識を頭に詰めるだけなら短期間でできるかもしれませんが、自在に使えるようにするには継続した練習が必要です。
まだ漢文に取り組み始めていない人は、今すぐに勉強を始めましょう。
基礎知識をひと通り学び、演習を通しながら定着させて使えるようにしていく。
早めに始めれば、それだけ貯金になります。
おわりに
今回の共通テストの漢文について、詳しい分析等は私が主宰する学習塾「寺子屋はじめ」のブログにて書いていますので、そちらも参考にしてもらえればと思います。
▼個別学習塾 寺子屋はじめ 公式ブログ「2022年度大学入学共通テスト 漢文雑感」
共通テストでは、年によって難化する科目がちらほらあります。
国語の中でも、現代文が難しい、古文が難しいということはあり得ます。
当然、漢文が難しいというのもありますが、比較的難易度は安定している科目です。
予想外に他の科目で崩されることがあっても、この漢文の50点は高得点を比較的狙いやすいです。
早いうちからしっかり備えておきましょう。

個別学習塾寺子屋はじめ塾長。
漢文を専門としつつも受験勉強のトータルプロデュースを行い、大学進学後を見据えた指導を行っている。
全国の大学受験生向けに国語のオンライン個別指導も行っており、難関国公立大の国語や医療系小論文の添削指導には特に定評がある。