2022年共通テスト現代文から見る、高1・2生が取り組むべき現代文学習とは?

みなさんこんにちは、羽場です。

この記事を書いているのが1月17日。
昨日・一昨日の2日にわたって行われた令和4年度共通テスト、受験されたみなさんお疲れさまでした。

思うところはいろいろあるのではないかと思いますが、まだまだ始まったばかり。
ひとしきり考えた後は、次に目を向けてください。

今回は今年度の共通テストを踏まえて、高1・高2生に向けた「現代文の学習指針」を書いていきたいと思います。

いつも以上に文字が多く感じるかもしれませんが、最近の大学入試を見ていると、この文章量(3400字程度)を読み切るのも対策の一つだというイメージで読んでいただければと思っています。

文構造・文脈を正確に把握し、正確な読解を

2022年の共通テスト(現代文)を解いてみた感想は当然さまざまだと思います。
ただ、「面倒だ」と感じた人は多いのではないでしょうか。

本年の共通テスト(現代文)は、本文の内容・表現はもちろん、設問文や選択肢まで丁寧に読解し、解答を導く必要がありました。
もしかすると「二択で間違えた」という人もいるかもしれません。

 

2021年からの主な変更点

また、形式面で見てみると、2021年度共通テストからの変更点も(予想できた部分も含め)多く見られます。
特徴的だったのは次のような内容でしょう。

第1問の特徴的な変更点
・複数テクストの出題
・問1(漢字)で一部出題形式の変化
・問5で表現に関する説明問題
・問6が「メモ」の形式に。

 

また、第2問では以下の通りでした。

第2問の特徴的な変更点
・語彙問題が出題されなかった
・問4で呼称の変化に注目させる出題(小問)
・問5が【ノート】による整理の形式に。
・俳句の出題(さほど影響なし)

 

試行調査のときに出題され、話題になっていた「実用文」の出題は昨年に引き続き出題されませんでした。

とはいえ、まだ出題形式・傾向が落ち着いたとは言えないため、来年の共通テストに向けた準備としては、さまざまな形式に備えておく必要、どのような出題でも落ち着いて取り組む姿勢を培う必要はありそうです。

 

語彙力は変わらず重要

2022年の共通テスト(現代文)では、これまで第2問の問1で出題されてきた語義を問う問題が出題されませんでした。
この問題は毎年受験生を悩ませていた問題なので、喜ばしく思った受験生もいるかもしれません。

とはいえ、語義を問う問題が出題されなかったからといって語彙力が重要でなくなったわけではありません。
第1問は「昇華」という語をきちんと理解していたかどうかが鍵を握っていたように感じますし、小説の表現も軽い文体とは言えません。

語義把握問題が出題されなくなったことは、むしろ「語彙力は前提」であることの裏返しだと捉えておいた方が良いのではないかと思っています。
現代文読解の基本として、引き続き語彙力の強化に励んでください。

▼「語彙力強化」に特化したこちらの記事も参考にしてください。

第1問 論理的文章の読解

本文読解は「目の前の文章と格闘する」姿勢を

2022年共通テストの第1問は「食べる」ことに関する複数のテクストが掲載されました。

【文章Ⅰ】檜垣立哉『食べることの哲学』
【文章Ⅱ】藤原辰史『食べるとはどういうことか』

【文章Ⅰ】の檜垣立哉『食べることの哲学』は2019年の北海道大学をはじめとして、これまで大学入試の中で出題されたことがある出典です。
昨年の第一日程も北海道大学で出題されたことのある出典(香川 雅信『江戸の妖怪革命』)だったことから、今後の出典についても受験生にとって必ずしも「初見」の文章ではない可能性があると言えそうです。

模試などでも経験があるかもしれませんが、自分の知っている/読んだことのある文章が出た場合は「先入観」を持って適当に文章を読んでしまうことのないように気をつけましょう。

あくまで、「目の前の本文と格闘する」姿勢を貫いてください。

 

本文読解はそれぞれの文章の話題をきちんと押さえることが鍵

複数の文章が出題されたとはいえ、【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】それぞれがきちんと読解できていることが重要です。

たしかに問6では二つの文章を比較することが要求されているような問題が出題されました。

ただ、【メモ】をよく見てみると〈2〉の見出しとして「捉え方の違い」と書かれています。
したがって、【文章Ⅱ】のまとめ部分を参考に【文章Ⅰ】の内容を確認すれば容易に解答できたと考えられます。

来年もこのような形とは限りませんが、それぞれの文章をきちんと理解すること、設問と真剣に向き合うことが重要なのは間違いなさそうです。

 

精密な設問要求の把握と選択肢分析

当たり前のように聞こえることを書きます。

設問・選択肢をよく読んでください。

第1問・第2問ともにです。

本年の共通テスト現代文を最初に解いた個人的な印象は「全てではないが、設問の誘導が細かい」ということでした。
(これは別に「昨年から大きく変わった」という訳ではないでしょう。)

たとえば、第1問の問2・問6、第2問の問1・問5。
また、第1問の問5「表現」を問う問題は、選択肢をしっかりと分析して解くことが必要です。

多くの受験生が、「本文を正確に理解しよう」という意識で読解に臨むと思います。
ただ、設問や選択肢については本文ほどの真摯さで向き合っていない場合も多いという印象があります。

80分間集中し続けるというのは厳しいと感じるかもしれません。
それでも、現代文(国語)の共通テストで要求されているのは、

本文を正確に理解し、設問に正確に解答する

ことです。
どちらか一方ではありません。

現代文の学習を通して「読解体力」「思考体力」を養うことも意識しておきましょう。

 

第2問 文学的文章の読解

リード文を無駄にしない

黒井千次「庭の男」からの出題でした。

本文については、場面展開に注意しつつ「心情や行動とその要因に注目しながら読解する」という小説読解の基本を身につけることが必要です。

その上で、今回の出題では「案山子と雀」についてリード文を通してきちんと把握できているかどうかが鍵だったように思います。
設問(問6)でも問われている内容ではありますし、本文理解をする上でも大切でした。

リード文については「読解(/解答)に必要だから書かれている」という意識を持つことが重要です。
書かれていることを整理しながら正確に把握した上で本文読解に入りましょう。

 

心情説明問題の基本を習得する

2021年の共通テスト同様、小説では心情説明が多く出題されました。

言動に現れた心情を掴むためには、その原因に注目することが欠かせません。
「原因となった事態→心理→言動」という流れを意識しましょう。

細かい部分についてははもちろん設問を解く際に改めて確認すれば良いものではあります。
とはいえ、本文通読のときにも心理や言動のきっかけとなった事態には注目しておく習慣をつけておくとよいでしょう。

 

ノート型の問題はノートを「活用する」意識を

第2問の問5で(おそらく)「主体的・対話的な学び」に基づいて、まとめた【ノート】に関する出題がありました。
※2021年共通テスト第1問(問5)・平成30年試行調査第1問(問2)も【ノート】に関する出題

この問題で用意されている【ノート】は本文に基づいて「より深い学び」のために作成された(とされる)ものです。
今後、このような形式の出題ではこのノートにまとめられた内容を「活用」して本文内容を整理する意識を持つことが要求されていくと考えられます。

これは、普段から練習できるかもしれません。

授業中にとったノートを復習する際に、「なぜこの流れでまとめているのか」「こういう思考の流れだ」ということを確認すると、ただノートをざっと見直すより復習の効果も高まりますし、一石二鳥です。

 

おわりに

共通テストが終わり、さまざまな意見・反応を目にします。

私自身、思うところがないわけではありませんが、一方で受験というのは「制度に合わせる」ことも必要です。

共通テストが受験生にとってより良い形で実施されてほしいと願うと同時に、次なる受験生の皆さんは「どのような形式で出題されても対応できる」ことを目指して、早め早めから準備を進めていくことをおすすめします。

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