こんにちは。安田です。
漢文という科目について色々と聞かれることが多いのですが、その中でも「漢文はいつからやればいいですか?」は、高校1・2年生からの質問の中では断トツで多いですね。
「いつからと言わずに今すぐ」と意地悪い言い方で(笑)返すのですが、実際のところはどうなのでしょうか。
そのあたりを今回は掘り下げて見たいと思います。
目次
「漢文は時間がかからない」は本当か?
「漢文は覚えることも少ないし、ちょっとやればすぐ点数取れるようになる」という話を聞いたことはありませんか?
私はもう飽きるほど聞きました。笑
さて、これは本当でしょうか?
漢文も「覚える量」は案外多い
まず覚える量について。
たしかに漢文は古文に比べると暗記するべき分量は少ないです。
基本となる句法を覚え、頻出語句を覚え、読解演習の中で漢文の世界を知っていけば、自然と読み解きできるようにはなっていきます。
当然、理科系や社会系の各科目と比べても、「暗記しないとどうしようもない」量は少ないです。
ですが、あくまでも漢文を「他の科目と比較した場合」です。
漢文だけでも参考書1冊分は頭に入れておかねば、となると分量はそれ相応にあります。
漢文に必要な語句を覚えるための「漢字の知識」も個人差がある
語句を覚えるという点でも、前提となる漢字の知識はかなり個人差があります。
単に漢字の読み書きができる人よりも、字を見て複数の使い方や読み方が頭に浮かんでくるという人が強いです。
逆に、漢字に苦手意識を持っている人だと、字を見て解釈を広げるのに苦労するので、思った以上に時間がかかります。
たしかに漢文は、きちんと基礎基本の知識や読解が固まっていれば短期間でグイッと伸びる科目でもあります。
しかし、高3の夏過ぎでもまだ「漢文の基礎知識があやふやだ」という場合はというと……。
漢文にほとんど勉強時間を割くこともできずに苦労したまま入試当日を迎えることになりかねません。
「いつからやればいいですか?」に対しては、「いつからと言わず今すぐ」と返す理由がなんとなくわかるかなと思います。
漢文は「やる余裕がない」となるからこそ「今すぐ」始める
そうはいっても、「漢文に時間を使うなんてできないよ!」が多くの大学受験生の声でしょう。
実際、そこまで手が回らないという受験生を数多く見てきています。
今すぐに取り組むべき漢文学習法
では、実際問題いつから漢文に手を付け始めればなんとかなるのか。
まず、高校3年生になるまでに、最低でも「ひと通りの句法を学んでおく」ことはやっておきましょう。
さらに、「学校の授業で扱った文章はスラスラ音読できて解釈できるようにしておく」こともやってください。
これは授業で内容はきっちり学んでいると思うので、それほど難しくはないと思います。
大学受験と学校の授業を切り離して考える人もいますが、限られた時間の中で漢文の実力を伸ばすことを考えれば、学校の授業をしっかり活用するのが一番です。
これまで何度もお伝えしてきましたが、そもそも漢文の勉強に時間を使うことは難しいのです。
いつからと言わず、今すぐにできることから漢文の勉強を始めていきましょう。
「漢文はいつからやればいいですか?」に対しての答えは「今すぐ!」です。
「漢文はいつからやればいいですか?」に対しての答えは「今すぐ!」。
特に、3年生になってから漢文の基礎をじっくりなんていう時間は、文系理系問わずありません。
ぜひ、3年生になる前にやれることをやりましょう。
【追記】大学受験で漢文も受験したほうが良いのか
大学受験において、漢文という科目がどれくらい「出てくる」ものなのかを整理しましょう。
大学入学共通テスト
第一に、大学入学共通テストです。
国語200点満点中の50点を占めます。
国公立大受験の全科目合計900点中の50点。
こう書くとあまり大きなウエイトを占めていないように見えますが、大半の受験生は合否ラインの前後数十点の中に位置するのが現実です。
つまり、この50点が合否を左右する可能性も十分に考えられます。
大多数の大学は古文漢文含めてのスコアで判断しますから、大学入学共通テストを受験する上では避けて通れません。
大学の個別試験
第二に、私立大学の一般選抜、および国公立大学の第2次学力試験など、大学個別の試験です。
これは学部学科によりけりですし、「漢文が課されない」ところも多くあります。
こればかりは受験する大学の入試要項を確認するしかありません。
過去問はあくまでも昨年までの出題です。
いきなり漢文が加えられたり、なくなったりする可能性もゼロではないですから、過去問だけを見て判断しないようにしましょう。
とはいえ、正直なところ出題自体は減っているのは現状です。
また、出題されていても現代文や古文との選択問題のこともしばしばあります。
漢文も基本的には「受験する」つもりでいたほうが良い
こう考えると、大学受験をする上で、漢文を本格的に勉強するかどうかは「受験する大学・学部による」としか言えません。
しかし、理系であっても国公立大学の大半は共通テストで漢文を課しているという点、私立でもいわゆる難関校に位置づけられる大学はおおむね漢文が必須で出題されていること。
これらを踏まえると、早い段階から諦めてしまっては進学の選択肢を大幅に狭めてしまいます。
最終的に受験で使うかどうかは後ほど確定するとしても、基本的には「受験する」つもりでいたほうがいいでしょう。
個別学習塾寺子屋はじめ塾長。
漢文を専門としつつも受験勉強のトータルプロデュースを行い、大学進学後を見据えた指導を行っている。
全国の大学受験生向けに国語のオンライン個別指導も行っており、難関国公立大の国語や医療系小論文の添削指導には特に定評がある。