仁和寺~御室桜咲き誇る門跡寺院~【佐京由悠の京都の歩き方】

お疲れさまでございます!
第12回目に取り上げるのは、前回の龍安寺から嵐山方面へ徒歩11分ほどにある仁和寺でございます。

後述しますが、金閣寺~龍安寺~仁和寺の3つの世界遺産をむすぶ観光道路「きぬかけの路」があり、今日とりあげる仁和寺がこの最終地点です。

まずは歴史からみてみましょう。

【歴史】仁和寺の歴史

【歴史】仁和寺の歴史

(886)光孝天皇の勅願寺として造営開始
(888)天皇没(87)後、宇多法皇が遺志を継ぎ落成=仁和寺の成立
(904)宇多法皇、境内に造営した僧房「御室」に移住
(931)宇多法皇が仁和寺で死去
(1467)応仁の乱→東軍により全焼
(1646)仁和寺の伽藍の再建が完了
(1868)戊辰戦争→仁和寺宮嘉彰親王(純仁法親王)が「征夷大将軍」に
(1887)火災により一部焼失
(1914)再建

 

光孝天皇の勅願寺として造営が始まる

886年、平安時代ですが、まず光孝天皇の勅願寺として造営が始まります。

Point 勅願寺
勅願寺とは、天皇や上皇の発願によって造られた寺院のこと。
南禅寺(亀山天皇)や醍醐寺(醍醐天皇)なども有名。

 

宇多天皇によって「仁和寺」が完成

しかし、887年に天皇が死んでしまい、そのあとを継いだ宇多天皇に引き継がれます。

そして宇多天皇によって888年に完成したのが、この仁和寺です。
当時の元号「仁和」をとってこの名がつけられました。

やがて天皇は出家し、宇多法皇となって僧房「御室」に移住し、晩年を過ごします。

 

再建の歴史

その後、応仁の乱で戦火に見舞われますが、江戸時代に再建されることとなります。

このとき、本尊の阿弥陀三尊像は事前に持ち出され無事で、別の寺院で保管されていたようです。
この阿弥陀三尊像は霊宝館で春と秋の2回見ることができますよ!

戊辰戦争では、3歳でこの仁和寺を相続した仁和寺宮嘉彰親王が新政府軍側の大将として鳥羽・伏見の戦いに参加しています。
そして火災を経て、大正期となる1914年に再建されて今に至るのが仁和寺の歴史です。

 

【みどころ】仁和寺の見所

【みどころ】仁和寺の見所

金堂

本尊を安置するお堂で、仁和寺にもちゃんとあります。
仁和寺のいまの金堂は慶長年間に造られた、内裏の紫宸殿を移築したものです。
先述の通り、本尊は霊宝館に安置されていますが、この金堂の気品のあるたたずまい自体がみものです。

Point 紫宸殿
内裏の正殿のこと。天皇の元服などの儀式が行われる。

 

水掛不動(菅公腰掛石)

宇多天皇のブレーンであった菅原道真ゆかりのスポット。

菅原道真といえば、学問の神さまとして北野天満宮に祀られている平安時代の学者です。
901年に大宰府に左遷されたことでも知られていますね。

この菅公腰掛石、この左遷事件(昌泰の変という)のあとに成立した天神信仰によるものともいわれています。

Point 菅原道真左遷事件(昌泰の変)
901年、藤原時平の讒言により菅原道真が大宰府に左遷された事件。
当時醍醐天皇のもとで時平は左大臣、道真は右大臣であり、時平が道真排斥を行った。
道真は怨霊になったとされ、北野天満宮に祀られこれが天神信仰となった。

▼昌泰の変についてはコチラ

 

御室桜

仁和寺の西側一帯にある遅咲きの桜の林です。
江戸時代の京都名所案内『京城勝覧』や与謝蕪村の歌にも詠まれている名所です。

 

【周辺スポット】仁和寺の周辺スポット――きぬかけの路

【周辺スポット】仁和寺の周辺スポット――きぬかけの路

仁和寺の「周辺スポット」といえばまずは龍安寺と金閣寺なのですが、この2箇所と仁和寺の約2.5㎞を結ぶのが、この記事冒頭でも登場した「きぬかけの路」です。

正式名称は「京都市道183号衣笠宇多野線」といいまして、一般公募によって名づけられた観光道路です。
宇多天皇が衣笠山に絹をかけ、夏に雪景色を楽しんだという故事に由来するものです。

めちゃくちゃオシャレじゃないか(笑)。
道にはカフェや食事処もあるので、休憩しながら移動するのもいいですね。

 

仁和寺の基本情報

基本データ
・アクセス:市バス「御室仁和寺」バス停下車すぐ
嵐山電鉄「御室仁和寺」駅徒歩3分
京福電車(嵐電)「龍安寺」駅下車徒歩7分
・拝観料:大人・高校生500円 高校生以下 無料
*霊宝館(期間限定)の料金
・拝観時間:3月~11月 9:00~17:00
12月~2月 9:00~16:30
*新型コロナウイルス流行前の情報です。

★「仁和寺」についての解説動画はコチラから!
『佐京由悠の中学生からの京都の歩き方~修学旅行を100倍楽しむために~』

〔画像:京都フリー写真素材


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