お疲れ様でございます。
日本史科の佐京です。
日本文化史重要ポイント、今日は「室町文化後編」として東山文化を中心にお話ししたいと思います。
前回の記事でお話しした北山文化は、室町幕府3代将軍足利義満の時期を中心とした文化でございました。
金閣に代表される、室町幕府全盛期の文化でしたね。
▼前回の記事(室町文化前編)はコチラ
今回は扱う東山文化はその北山文化のあと、8代将軍足利義政の時期を中心とした時期の文化です。
まずはキホン情報の整理からどうぞ!
目次
東山文化の基本情報
☆キホン情報の整理
時期:15c~16世紀前半
政治史的理解:室町文化の衰退・財政崩壊
中心人物:足利義政
外交史的理解:日明貿易
仏教史的理解:旧仏教の没落と鎌倉新仏教の発展
・中心寺院→銀閣
東山文化の仏教
さて、仏教です。
この時期は、政治史的理解のところからもわかるように室町幕府の衰退の時期でございます。
それは将軍権威が失墜したから。
では将軍権威を失墜させた具体的な事件、どんなものがあったか思い出せるでしょうか?
・(1441)嘉吉の乱
・(1467)応仁の乱
このあたりが出てくるといいですね!
で、将軍権威、幕府権威が失墜すると、当然ですが、従来幕府の保護・統制を受けていた臨済宗五山派も衰退してくるということになります。
林下・浄土真宗、日蓮宗の勢力が伸びる
そこで浮上してくるのが、幕府の保護など受けず、より自由な活動を求めて地方布教を進める「林下」と呼ばれる禅宗諸派です。
Point 林下
五山に属さない禅宗諸派。
臨済宗の非五山派(大徳寺派・妙心寺派)と曹洞宗(永平寺・総持寺など)が中心。
さらに、鎌倉仏教、なかでも浄土真宗、日蓮宗が一揆を形成して勢力を伸ばします。
Point 一向一揆
一向宗、つまり浄土真宗(本願寺派)の一揆。
本願寺8世の蓮如は北陸布教の拠点として越前吉崎道場を創建。
平易な言葉で浄土真宗の信仰について説明した「御文」、本願寺門徒の集団としての「講」の組織などによって惣村の自治的結合を利用した組織的な布教を展開した。
Point 法華一揆
法華宗、つまり日蓮宗の一揆。
日蓮宗の僧、日親は京都を中心に、中国・九州地方へ布教を進めた。
京都では、自治組織「町」の構成員である町衆を中心に布教が行われ、法華信仰を基盤とした法華一揆が形成された。
東山文化の美術
つづいて美術を見てまいりましょう。
銀閣・東求堂
建築の分野では何といっても銀閣ですね。
銀閣は足利義政が東山山荘内に建立したもの、禅宗様の潮音閣と書院造の心空殿の2層からなり、この点で3層からなる金閣とは異なります。
それと、これたまーに聞かれるのですが、銀閣には(今も昔も)「銀箔」は貼られていません!
2007年に行われた調査で確定されています。「銀閣」は「金閣」に対応した呼称とみるのがよさそうですね。
また、同じ敷地内には義政の持仏堂である慈照寺東求堂があり、東北隅にある同仁斎は書院造の代表として有名です。
Point 書院造
武家住宅の建築様式。違い棚や付書院、明障子を備え、畳を全面に敷き詰めている。
現代の和風住宅の原型。
自然を高度に抽象化した「枯山水」
庭園では禅の精神を反映した枯山水を取り上げましょう。
枯山水とは、水を用いずに石と砂利によって構成する禅宗寺院の庭園様式で、自然を高度に抽象化したものと言われます。
北山文化で取り上げた池泉回遊式庭園は広大な面積にのびやかな自然をそのまま利用していたのに対して、枯山水は規模も小さく、そもそも石と砂利しか使っていないので維持費が少なく経済的。
具体例としては大徳寺大仙院庭園ですとか、龍安寺の石庭が有名ですね。
▼龍安寺についてはコチラ
雪舟により大成された「水墨画」
絵画の分野では、北山文化の時期に登場した水墨画が雪舟により大成されます。
雪舟は備中国出身の京都相国寺の僧で、禅の精神の発露として水墨画を描いていました。
周防国にうつったあと大内氏の庇護により明に渡り、ここでさらにレベルアップして帰国します。
帰国後も雪舟は山口の雲谷庵というアトリエで引き続き創作活動を行い、四季山水図巻などの作品を生み出します。
大学受験日本史としては、大内氏→山口とか、大内氏→日明貿易といった結び付けを行うと、文化史と外交史とのつながりが見えきますよね。
おわりに
以上、室町時代の文化のポイントを前後編にわたってお伝えしました!
次回は安土桃山時代の文化をとりあげます。
それでは今日はこの辺で。
▼東山文化について詳しくはコチラ
〔画像:京都フリー写真素材〕
日本史科予備校講師。学びエイド認定鉄人講師。
首都圏の予備校を中心に出講し、その講義は「するする頭に入ってくる」「勉強しなきゃと意識が変わる」「出てきた土地に興味が湧く」と受験生に高い支持を得ている。
授業のコンセプトは「大学に行くのが楽しみになる授業」。
科目の内容はもちろんのこと、丸暗記のみに頼らない本番での知識の導き方・解き方、現場に足を運んで得た知見などをもとに大学に行っても役に立つ「受験科目」を展開。
受験生におくる言葉は「一生勉強、何のこれしき。」
「佐京由悠の日本文化史重要ポイント」
第1回 初の仏教文化、飛鳥文化
第2回 国家仏教の形成と白鳳文化
第3回 鎮護国家思想と天平文化
第4回 弘仁・貞観文化
第5回 国風文化(前編)
第6回 国風文化(後編)
第7回 院政期の文化
第8回 鎌倉文化(前編)
第9回 鎌倉文化(後編)
第10回 室町文化(前編)
第11回 室町文化(後編)