2度の試行調査(2017年・2018年)を経て、2021年に初の共通テストが実施されました。
今回は、共通テスト世界史の傾向と、それに向けた具体的な学習法についてご紹介します。
目次
共通テスト世界史の出題内容
共通テスト世界史は、センター試験とは大きく問題形式が変わりました。
まず何といっても、与えられた資料としっかり向き合い、思考をめぐらせながら解答しなければならなくなった点が挙げられます。
センター試験世界史は、各設問に付随するリード文や図版などは、読み飛ばしても全く問題がないことが大半でした。
しかし共通テスト世界史では、会話文・史料・図版・グラフなど様々な資料を「読解」しなければ、先に進めません。
その意味で共通テスト世界史は、ある種の「処理能力」がシビアに問われる問題だと言えます。
時間内に手際よく問題をさばくには、それなりのトレーニングが必要になってくるでしょう。
とはいえ、あくまで「世界史」の試験であることは確かです。
したがって、世界史教科書に書かれている知識が「資料読解のツールとして」満遍なく必要です。
なお一部には、センター試験よりも純粋に難易度が高いと思われる問題も見られるため、油断は禁物です。
共通テスト世界史対策の基本的な学習方針
世界史の共通テスト対策では、以下の①②が王道です。
①質の高い通史知識をムラなくインプットする
②インプットした知識を使って実際の問題を解く訓練を積む
世界史の通史知識をムラなくインプットする
難関私大の入試で問われるような、世界史用語集の説明文レベルの微細な情報は必要ありません。
それよりも、各時代・地域の歴史の流れを正確に理解することが大切です。
共通テスト世界史対策では、用語のインプット数をいたずらに増やすよりも、歴史的事象の背景・原因・経過・結果・影響を把握することに努めましょう。
特定の時代や地域は深掘りされないため、教科書に記載された内容を「広く浅く知り尽くしている」状態がベストです。
そんな世界史学習をする上でオススメの参考書は『高校世界史をひとつひとつわかりやすく。』(学研プラス)です。
各時代の流れがフローチャートで示され、一目で流れを把握できると同時に、収録された問題で基本事項の習得も可能です。
問われる情報が細かすぎないため、教科書内容の効率的なマスターにはもってこいです。
また、この『高校世界史をひとつひとつわかりやすく。』に準拠した通史の解説講義が「学びエイド」という動画サイトで無料視聴できます。
自分の理解が不十分な単元だけ視聴するのが良いでしょう。
これだけで通史のインプットは完成します。
インプットした知識を使って実際の問題を解く訓練を積む
次に②の「インプットした知識を使って実際の問題を解く訓練を積む」ですが、これは過去問を実際に解いてみることに尽きます。
共通テストの過去問が収録された世界史問題集は数多く出版されていますので、こちらもオススメを紹介しておきます。
【共通テスト特有の問題のトレーニングに最適】
『大学入試共通テスト 世界史Bのグラフと資料の読み方が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)
『共通テスト世界史B 資料・図版の読解問題64』(旺文社)
【教科書順に共通テストの創作問題を解くなら】
『大学入試共通テスト 世界史トレーニング問題集』(山川出版社)
共通テスト対策での夏以降の勉強法
最後に、夏以降の共通テスト世界史対策についてです。
夏の段階だと、まだ通史学習が完成していない受験生が大半だと思います。
そこで、1学期の既習単元を中心に、通史知識のメンテナンスを兼ねて共通テスト問題集を解くと良いでしょう。
その場合、通史順に問題が配列されている『大学入試共通テスト 世界史トレーニング問題集』(山川出版社)がオススメです。
通史が終わった11月頃から、過去問をどんどん解き進めていきましょう。
通史知識がきちんと自分のものになっていれば、いわゆる「問題を解くための思考力」を養うのは、それほど時間はかからないと思われます。
この場合の「思考力」とは、問題を解くための「手順の順番」のようなもので、繰り返し類題を解くことで自然と身についていくものです。
正しい努力を積み重ねて、ぜひ共通テスト世界史で高得点を狙いましょう。