こんにちは。
数学講師の大塚志喜です。
今回の記事では、学校での定期試験を大学入試にどう活かしていくかについてお話ししていこうと思います。
高等学校に通っている以上、定期試験から逃げることはできません。
しかしこの定期試験を、「ただその場で点数が取れてしまえばあとはどうでもよい試験」と思ってしまう人がとても多いように感じます。
特に、早いうちから大学受験を見据えている人ほどこの傾向があるように思います。
僕はとてももったいないことだと思っています。
どうせ受けなければならない試験なのですから、自分のためにそれを最大限活用した方がいいに決まっています。
どう活用し、どう自分のためにしていくのか考えていきましょう。
目次
定期試験は「定期検診」である
まず、「定期試験を乗り越える」という感覚を捨てましょう。
定期試験の本来の位置付けは、皆さんを苦しめるためにあるのではなく「ここまで学んだ内容がしっかりと定着しているか」を測る試験です。
つまり、普段から学校で扱う内容をしっかりと身につけている人にとっては障害でもなんでもありません。
ただの「普段の学習内容定期検診」です。
「試験直前になって必死に睡眠時間を削って勉強した」なんてことは本来おこるべきでないはずです。
普段の学習がちゃんとしている人ほど,定期試験の直前だろうが特に普段と変わらないはずです。
むしろ学校が早く終わったり、部活動が休止になったりすることでより多くの自由な時間が生じるはずです。
そっちのほうがよっぽど大学入試のための時間を取ることができます。
後の有意義な時間を増やし無駄な時間を減らすためにも、普段の勉強が大切になります。
毎日の授業時間を大切にしましょう。
学校の授業は無駄? そんなことはないです。
つぎに普段の学習についてお話ししていこうと思います。
非常に多いのが、学校の授業を蔑ろにして市販の参考書や問題集に手を出しまうパターンです。
正直これは非常にもったいないパターンだと思います。
なぜならば、学校の授業は「教科書の解説をベースに実施されている」からです。
学校教科書は本当にすごい本だと思います。
ここまで広い偏差値帯に対応した本などそうそうありません。
しかも数学についていえば,ここまで公式成り立ちや、なぜ成り立つかが書かれている本はそうありません。
教科書は本当にすごい本だと思います。
学校の授業を最大限活用する方法は「予習」して臨むこと
しかし、教科書には致命的な欠点があります。
それは「独学での習得が非常に困難である」という点です。
最近色々な教科書を読む機会が以前よりも多くなり、その度に「この表現では初学者にはなかなか伝わりにくいだろうなあ」と感じます。
もう1行途中計算があったり、一言その立式や変形の理由があるだけで理解度がガラッと変わるような場面に幾度となく出逢います。
それを補完してくれるのが学校の授業だと思います。
だからこそ予習が大切です。
問題を全部解いて来なさいなんて言いません。
大切なのは、授業の前に「何がわかっていて、何がわからないのか」をはっきりさせることです。
正直復習よりもこちらの方が大事なのではないかと僕は思っています。
復習は授業が終わればいつでもできますが、予習は授業の前しかできません。
予習しないで授業に臨むことは、「自分がわからないことが何かをはっきり自覚した状態で、そのわからないことをわかることに変える機会」の損失になります。
これほど勿体無いことはありません。
このように、「授業はとりあえず座っていれば先生が何かを与えてくれる時間」ではなく「自分に必要なものを自分で回収する時間」という考えを持って受けるようにしてみましょう。
数学の授業の「予習」
例えば数学の授業では、教科書を読み、例題を教科書の真似をして解いてみて、練習問題を解くことができるかどうかやってみてください。
おそらくなかなかできない問題が多いのではないかと思います。
また、解けたとしてもとても大変な思いをして解いたという人も多いと思います。
その初見での体験が大切になります。
その体験をした上で授業に参加すると、より印象に残り、自分のものになりやすくなります。
予習を大切にするだけで、授業がものすごく有用な時間になります。
定期試験で測られるのは、そんな普段の授業の定着度です。
普段の授業を大切にしている人ほど、定期試験のための勉強などほんの少しの復習ですむはずなのです。
普段の授業を大切にすることが、やはり定期試験をうまく自分のためのものにするコツでもあるわけです。
定期試験は超狭範囲超簡単大学入試
さて、ここまでは定期試験により効率良く取り組むお話をしてきました。
つぎは定期テストそのものの話をしていきます。
定期試験の問題は大学入試とは違うから点数を取りに行く意味がない
と思っている学生をたまに見かけます。
それはとても大きな勘違いです。
そもそも定期試験の出題範囲を思い出してみてください。
教科書と、その教科書に準拠した問題集のはずです。
そして、大学入試の出題範囲は「学習指導要領」すなわち教科書です。
もろかぶりなわけです(笑)。
しかも定期試験の出題範囲はせいぜい学校の授業 2~3ヶ月程度の非常に狭い範囲の、教科書の練習問題や章末問題レベルの問題しか出ません。
冷静に考えてください。
このレベルの試験で困っているようでは、高校の全学習範囲が試験範囲である大学入試にはそもそも対応できません。
定期試験は大学入試までのチェックテストなのです。
「大学入試を見据えているのだから定期試験は点数を取って当たり前だ」という感覚をとにかく早く持ってほしいと思います。
定期試験を大切にしてほしい最大の理由
最後に、定期試験を大切にしてほしい最大の理由をお話しします。
とくに数学が苦手と自称する浪人生に多いのですが、4月の時点で$(a+b)^2$の展開計算ができなかったり、平方完成ができなかったりする学生が普通にたくさんいます。
高校初期の学習内容が全く身についていないわけです。
間違いなく「数学を最初から捨てていた」か「毎回の定期試験をただ必死に乗り越えるだけで、終わったらその内容はきれいに忘れてしまった」のどちらかではないかと思います。
定期試験は「乗り越える」ものではない
特に後者を回避するために、定期試験は「乗り越える」ものではないという気持ちを持ってもらいたいのです。
これは数学だけでなく他の科目でも言えるのではないかと思います。
完璧に全てを覚えていなさいとはもちろん言いません。
最低でも「こんなのだったなあ」というのは残しておいてもらいたいのです。
今まで学習内容がほぼ身につけていない人が1年で大学受験の準備をするのと、ある程度身についている人が1年で大学受験の準備をするのとでは雲泥の差があります。
とてつもなく大きな差です。
定期試験に毎回しっかりと取り組むことによって、受験直前期のリードが大きく変わってきます。
このリードが大きければ大きいほど、結果だけでなくそこまでの途中経過にもとてつもなく大きな影響が出てきます。
大学入試を見据えているからこそ、学校の授業と定期試験を最大限利用するのが大きなメリットになると思います。
おわりに
今回のお話はいかがだったでしょうか。
高校生活は人生に1度しかありませんから全力で楽しんでもらいたいです。
しかし、現役での大学受験も人生で一度しかありません。
社会に出るのが1年2年遅れることがデメリットになる職業もそれなりにあるようです。
できる限り早く大学に行って、早く社会に出てほしいというのが僕の本音です。
だからこそ、より効率良く過ごして、遊び面でも学習面でも不安のない高校生活を送ってほしいと思います。
では今回はこの辺で失礼します。
また次の記事でお会いしましょう。
首都圏、西日本の大手予備校に出講。
単なる解法の暗記→再現に留まらず、なぜそう解くのか、どうしてそう解こうと思えるのかまでを徹底講義。「数学をやらされている」ではなく「自分たちが数学をやっているんだ」という授業を展開。