
こんにちは。数学講師の大塚志喜です。
今回の記事では、数学Iで扱う「数と式」の分野について書いていこうと思います。
「数と式」は、高校数学で一番初めに学習する分野です。
共通テストはもちろん、その他の分野でもここで学ぶ知識や技術はガンガン使っていくことになります。
苦手な部分を作らないようにしっかりと理解しておくことで先の学習にもつながります。
頑張っていきましょう。
目次
「数と式」の全体像は大きく「整式の計算」「実数」「1次不等式の計算」に分けられる
「数と式」では大きく
- 整式の計算
- 実数
- 1次不等式の計算
の3つに分けることができます。
「数と式」は, 公式を覚えるだけではマスターできない
この「数と式」、実はほとんどが中学の復習になっていて、中学での数学を「ちゃんと」やっていた人にとっては大部分が簡単に思えてしまう部分になっています。
煩雑な部分が増え、公式を覚えるだけではマスターすることはできません。
そういう人は、これから高校数学の勉強を始めるいいタイミングですから、今しっかりと勉強の仕方を学び、修正しておきましょう。
整式についての基本的な計算を扱う「整式の計算」は"用語の理解"から
ここでは整式についての基本的な計算を扱います。
基本的な用語をしっかり理解していないせいで、解答の意味がわからなくなってしまうことがよくあります。
用語はしっかりと覚えましょう。
整式の計算で一番重要な「展開と因数分解の計算」
整式の計算で一番大事になってくるのは、展開と因数分解の計算です。
あくまでも「因数分解は展開計算の逆計算なんだ」という気持ちを持つことが大切です。
公式に当てはめようと思うと、公式の種類や文字の個数が多くとても大変です。
例題を通して学ぶ「因数分解の基本」
一つ例を出してみようと思います。
$3x^2 - 4x - 7$を因数分解しなさい。
$3x^2 -4x-7$を因数分解するということは、$$3x^2 -4x-7= (○x+△)(□x+▽)$$の形にすればよい、といういことです。
ここで視点が $3x^2 -4x-7→(○x+△)(□x+▽)$でなく$3x^2 -4x-7←(○x+△)(□x+▽)$となって欲しいわけです。
つまり、
と考えて欲しいのです。
「これを展開すると$3x^2$が出てくるなあ」と当たり前に思えることが重要です。
あとは最後の$-7$に注目します。
たしかに右辺を展開すると左辺に戻ります。
これが正解です。
「たすき掛け」は身につけるだけ時間と労力の無駄?
やっていることは、教科書に載っている「たすき掛け」と全く同じです。
進んでいくと3次以上の整式が普通に出てきますから、たすき掛けは身につけるだけ時間と労力の無駄です。
今だけでなく、これから先も使える技術を今のうちに自分のものにしておきましょう。
「実数」――"有理化"と"絶対値"がテーマ
次に実数についてお話ししていきます。
有理化については、中学校からの発展ですし、やり方もほぼワンパターンですから困ることはほとんどないでしょう。
ここがしっかりと理解できないで先に進んでしまう人が毎年非常に多いです。
しっかりと記号の意味を押さえましょう。
算数や数学では、「複数の文字を用いた文字列」で「ひとつの数値」を表すことが多々ある
少し脱線した話をします。
$1234$を見たとき、みなさんにはこれがどう見えていますか?
「せんにひゃくきゅうじゅうよん」というひとつの「数値」が書いてあるように見えるのではないでしょうか。
つまりここでは、「$4$個の数字 (文字)」を用いて、「ひとつの数値」を表していることになっています。
このように算数や数学では、「複数の文字を用いた文字列」で「ひとつの数値」を表すことが多々あります。
このようなものが出てきたときには、ただ計算の仕方を練習するだけでは絶対にいけません。
その表記の"本質的な意味"を理解することがスタート
「この表記は〜という数値を意味している」というように、その表記の本質的な意味をしっかりと理解するところがスタートです。
最初のステップを飛ばしてしまうとわけがわからなくなってしまいます。
最初を大切にしてください。
絶対値とは数直線上の「長さ」のことである
ということで絶対値の説明をしてみようと思います。
絶対値とは以下のことを言います。
つまり絶対値とは数直線上の「長さ」のことであり、この長さのことを毎回「原点$(0)$と$a$との数直線上の距離」と書くのが面倒なので、以後「原点$(0)$と$a$との数直線上の距離」のことを「$|a|$」と書くことにしよう、ということです。
「絶対値」も結局は長さを表しているだけ
結局長さを表しているだけです。
ここから具体的な計算に入っていくと理解しやすいのではないでしょうか。
絶対値はこれから先でもたくさん登場するので、今のうちにしっかりと理解しておくようにしましょう。
「1次不等式」――方程式とは少し違う計算の感覚を磨く
1次不等式は比較的計算しやすいのではないでしょうか。
計算のやり方は方程式の計算とはとんど変わりません。
両辺に負の数をかけると不等号の向きが変わったり、連立するときにも少し注意が必要であったりします。
このような計算ミスは最後の最後までついてきます。
勉強し始めのこの時期にしっかりと計算練習をして、方程式とは少し違う計算の感覚を磨いてください。
おわりに
「数と式」という分野では、ほとんどが計算になっていてあまり面白く感じないかもしれません。
しかし、ここでしっかりと計算力を磨いておかなければ、これから先の学習にとても悪い影響を与えることになってしまいます。
今回はこの辺で失礼します。また次の記事でお会いしましょう。