こんにちは。数学講師の大塚志喜です。
今回の記事では,数学ⅠAの分野で高得点を取るために,どんなことを意識して勉強していけばいいかについてお話ししていこうと思います。
しかし,なぜ高得点が取れるようにならないかはやはり人によって原因は異なります。
今回の記事では,たとえば模擬試験で「(1)から間違えることもあり,偏差値が50になかなか届かない」という人と,「偏差値50は取れるが,60以上,できれば満点近くを狙っていきたい」という人にむけて話をしていこうと思います。
数学ⅡBや数学Ⅲと比べると数学ⅠAはそこまで分量が多いわけではありませんから,正しい順序で内容を身につけていけばそこそこの努力である程度のレベルまで到達することが可能です。しかしただひたすら問題を解いているだけではやはり効率が悪いです。身につけるべき能力をしっかり意識して段階的に勉強していきましょう。
目次
偏差値50までは「計算力」と「常識」を身につける
まずは偏差値を50にのせる勉強の仕方について話していきます。
意識して欲しいのは「計算力」と「常識」を身につけることです。
計算力を身につける
まずは計算力です。
偏差値が50になかなか届かない人のほとんどは内容ではなくそのまえの計算力がしっかりと身についていない可能性が非常に高いです。
まずは必要な計算力を身につけましょう。
たとえば
とか,
と,計算するところまでいけない状態では,絶対に高得点を狙うステージまで辿りつきません。
長い問題の解答の中で,「〜の結果を知りたいからこの計算をしなければならないな」と,どんな計算をするのか自分で決めなければならなくなります。
やれと言われてできないレベルの人が,自分で何をやればいいか判断するなどできるわけがありません。
まずはやれと言われたらすぐにできるような状態にしておくことが一番大切な準備になります。
常識を身につける
次に,常識を身につけておきましょう。
具体的にいうと,平方完成をすればそこから放物線の頂点を知ることができる,三角比の値を知ることができれば直角三角形の辺の長さを今までよりも簡単に計算できるようになる,などです。
このように実際に問題を解き始めるのは当たり前の計算が身についた後の方が効率よく身につけることができます。
ここでの積み重ねが後のさらなる飛躍につながっていきます。
逆に,教科書の例題レベルの知識に穴があると,必ずどこかでつまづくことになります。
後で苦労しないためにも,教科書の例題,練習問題はしっかりと理解しておきましょう。
ここまでしっかり基本レベルが徹底できれば偏差値50にすぐ届くはずです。
このレベル帯の人に必要なのは特殊な方法や問題集ではありません。
教科書レベルの徹底です。これに尽きます。
章末問題など少しレベルが高めの問題は偏差値50までは正直あまり必要ありません。
例題,練習問題を完璧に解けるようになることを目標にまずは勉強を進めていきましょう。
偏差値50からその先へ——応用問題に挑戦する
教科書の例題,練習問題レベルの問題がしっかりできるようになったら,いよいよ応用問題に挑戦していきます。
ここまでで身につけてきた基本を組み合わせて使うだけで,ある程度のレベルの問題はしっかり理解できるようになっているはずです。
まずは教科書の章末問題に挑戦しましょう。
単純な解法暗記に走らない
ただしここで大切にして欲しいのは,ただ単に「この問題はこう解く」とひたすら解法を覚えることに終始する勉強の仕方にだけはならないで欲しいということです。
覚えるなとは言っていません。
とにかく覚えるだけの勉強スタイルはやめて欲しいということです。
考え方を理解し,納得してから解法を覚える
皆さんが身につけなければならないのは,「解いたことのない問題を解ける能力」です。
「なるほど,この問題を読んでこういうふうに思ったからこんな解き方を思いついたのか」「問題にこんなことが書いてあるからあの問題と同じ解き方で解けると思ったのか」ということを大切にしながら,しっかりと納得していくことが,これから先の自分を助けてくれることでしょう。
このベースがない状態で勉強していくと,「見たことがある問題は解けるけれども,模擬しけんなどで出される見たことのない問題が全然解けません」という,絵に描いたような「成績がなかなか伸びない受験生」になってしまうというわけです。
あとはこれの繰り返しです。
どんどん扱う問題のレベルが上がっていけばそれに従って得点できる問題もどんどん増えていくはずですので,少なくとも何も考えずにただひたすら適当に問題を解いていくという勉強法を続けるよりもはるかに効率的に,しかも上位レベルに挑戦しても困ることのない自力がついていくというわけです。
おわりに
ここまで述べた内容は決して特殊な方法ではありません。
むしろ,本来推奨されないはずの数学への接し方が当たり前の勉強法として今の受験業界に蔓延っていると僕は思っています。
当たり前のことを当たり前に頑張るからこそ,きちんとした能力と結果がついてきます。
目先の小さな点数に捉われることなく,自分の本当の目標を達成できる力を,普段の勉強を頑張って身につけていけるように頑張ってください。
首都圏、西日本の大手予備校に出講。
単なる解法の暗記→再現に留まらず、なぜそう解くのか、どうしてそう解こうと思えるのかまでを徹底講義。「数学をやらされている」ではなく「自分たちが数学をやっているんだ」という授業を展開。