【単元別】数学Ⅰの復習の仕方

こんにちは。数学講師の大塚志喜です。
今回の記事では数学Ⅰの復習の仕方について話していこうと思います。
まずは全体を通して意識してほしいことを話してから,各単元についての話へと進めていきたいと思います。

まずは数Ⅰに出てくる用語とその意味をしっかりと覚える

まずは全体を通して意識してほしいことをお話ししていきたいと思います。

単元によらずしっかり意識してほしいことは,「用語とその意味をしっかりと覚えること」です。

 

用語とその意味をしっかりと覚えるべき理由

例えば「有理化」「対称式」「平方完成」「判別式」「三角比」「中央値」「相関係数」……など,たくさんの用語があるはずです。
まずは言葉をしっかりと覚えないと,頭を使うところまで行くことができません。

 

各単元大事な用語はそんなに多くはないはずですから,まずはしっかり言葉を覚えましょう。

また,各用語を覚えていく中でそれに関連した計算を身につけていくと効率よく勉強できて,しかも印象に残りやすいのではないかと思います。

 

まずはこれだけを正しくやれば偏差値で50を切ることは通常あり得ません。
偏差値が50に届かないという人はまず,「覚えるべき言葉をしっかり理解して覚える」ことが偏差値爆上げの起爆剤となります。

知識をひたすら詰め込んでいくことは少しきついかもしれませんが,数学では必ず理由があってその用語が存在しています。
意味をしっかり理解しながら進めると格段に楽にいろいろなことを覚えていきやすいはずです。

 

全体で意識してほしいことはこんな感じです。

 

数学Ⅰ各単元ごとの復習法

ここからは各単元ごとの話をしていきます。

 

「数と式」の復習法

この分野でとにかく身につけたいのは計算力ですが,それだけではありません。

「有理化」など計算で大切な用語や, これから先ずっと使っていくような「実数」「無理数」などの言葉も登場します。
各計算ができるようになるだけでなく用語もしっかり覚えていくようにしてください。

ここが曖昧だと数学Ⅱでまた苦労することになります。

 

「因数分解」の考え方

また,計算についてですが,展開はゴリゴリできるようになってくれる人が多いのですが,因数分解がなかなか身につかない人が非常に多い印象です。

因数分解は所詮展開の逆計算です。
たすきがけなど小手先の技術に頼らず,「展開したらこうなっているのだから展開前はこうなっていなければならないはずだ」というように展開の計算力を利用してできるようになりましょう。

 

数学Ⅱで組み立て除法という技術も出てきますが,これやたすきがけなどに頼って因数分解をできた気分になっているといつまで経っても因数分解の計算力は身につきません。あくまでも展開の逆計算を意識して計算練習をしていただきたいと思います。

後の勉強で必ず活きるところが出てきますので,数学Ⅰの復習をしているうちにしっかりとできるようになっておきたいところです。

 

「集合と論証」の復習法

この分野は適当に扱われがちですが,数学では集合の考え方が最も基礎的なところでの土台になります。

例えば集合Aは集合Bの部分集合であるという意味の記号A $\subset$ Bと,モノaが集合Aの要素であるという意味の記号a $\in$ Aなど,かなり似た記号が出てきますが意味は全然違います。

 

しっかりと使いこなせるように,いろいろな集合や集合に関する情報を記号を使って表記する練習を積むと,その練習の中でそれぞれの記号を正しく覚えていきやすいはずです。

 

論証の訓練は答案作成に不可欠

また,論証についてですが,ここの訓練はちゃんとした答案を作成するために絶対に必要な単元です。

 

ただ「証明できました」で終わるのではなく,「誰が読んでも正しく読み手に伝わる」証明を書く練習をするのが大切です。

記述答案をしっかり作ろうとすると,読む人が読めば曖昧なところがしっかりと伝わってきます。
そこを修正して新しい問題で答案を作り,また修正して……を繰り返し,客観性を持つ論理的な文章の書き方を身につけてもらいたいところです。

 

ここに関しては一人では絶対にできるようにはなりません。
自分の近くにいる,数学がちゃんとできる人に答案を見てもらい,不足しているところをブラッシュアップしていかなければなりません。

まずは信頼できる先生を自分の近くで見つけましょう。

「2次関数」の復習法

2次関数の考え方や計算技術は最後の最後までついてきます。
ここで確実にしてしまいたいところです。

といっても分量は他と比べて大したことはありません。

一番大切なことは,2次関数のグラフである放物線の形や位置をしっかりと各関数で読み取れるようになることです。

 

何か文字が含まれていても,「ああ,結局こんな感じの放物線がこの辺にあるのか」と読み取れるようになるのが大切で,それができるようになってしまえば多少グラフが動いたり定義域が変化してもなんとかなります。

まずは平方完成をしっかりできるようになって,その結果からグラフの情報をしっかりと読み取れるようになりましょう。

 

それさえスムーズにできるようになってしまえばあとはほとんど問題ありません。
あとはじっくり2次関数の決定や最大・最小問題に取り組みましょう。

グラフもまともに描けないのにそれらの問題に向かっていくことはただの特攻です。
結局初見の問題を解けるようにはなりません。

 

絶対にやめましょう。

「図形と計量」の復習法

この単元は苦手な人が非常に多い幾何分野になります。
中学での勉強よりも公式や考え方が格段に増えて,「この問題では一体どの公式,解き方を使えば良いのかがわかりません!」という相談が毎年数多く寄せられます。

解決方法は2つあると思っています。

ひとつは,とにかく沢山の問題を解いて経験を積むことです。

 

しかし,これで容量がパンクしてしまうからこその相談だと思います。
そんな相談をしに来る人に僕は必ず次のような質問をすることにしています。

正弦定理は覚えていますか?

すると大体の人は覚えていますと返してきます。
書いてごらんと言うと正しく公式を書くことができる子がほとんどです。

しかし,次の質問に大体の人は凍りつきます。

ではどうしてこんな等式が成り立つのか,理由は説明できますか?

幾何分野の勉強の一番大事なところはここにあると僕は思っています。

まずは,「公式を覚える,練習問題で使う」ではなく,「なぜその公式が成り立つのか,その理由をしっかりと理解し他人に説明できるようになること」が非常に大切になってくるのです。

 

そうするとその説明の中に,様々な考え方,補助線の引き方,着目する図形が現れます。
ただ問題を解いているだけでは手に入らない,「その考え方を用いる理由」がそこにはあるからです。

一見遠回りのように思えて,実は見たことのない図形問題を解けるようになる一番の近道がそこにあると僕は思っています。

この分野に限ったことではなく全分野で言えることなのですが,理由のわからない公式はなくしましょう。
それが実は一番着実で,一番効率的な数学の勉強の仕方なのです。

 

これができるようになってくると数学の勉強が本当に楽しくなってきますよ。

データの分析の復習法

さて,最後の単元です。

ここで重要なのは「用語の定義と意味をしっかり覚える」「定義に従ってゴリゴリ計算できるようになる」「楽に計算する工夫を身につける」です。

 

しかし最後の工夫に関してはゴリゴリした計算から勝手に出てくるようになるので,実質大切になってくるのは最初のふたつということになります。

この単元では「言葉を知らない」というのが致命的になりますので,まずは言葉をしっかり覚え,そしてその定義通りに数値計算ができるように計算練習を積んでいきましょう。

 

しかし,ただ数値が出せるだけでは肝心な「分析」ができるようにはなりません。
自分が計算した数値がもつ意味をしっかりと理解しておくことも非常に重要になってきます。

中央値とは,四分位数とは,分散とは,標準偏差とは,共分散とは,相関係数とは一体何を表している数値なのかをしっかりとわかっておかなければ,そのデータの特徴を読み取ることができず結局何の役にも立ちません。

 

逆に意味がしっかりわかっていれば,その意味から公式を思い出すことができます。
意味をしっかり覚えていくことは公式を覚えることにもつながっています。

それと,ここでの計算は数学Bで学習する$ \sum$ の記号を用いるととても綺麗に記述できたり,とてもコンパクトに計算することができるようになります。

$\sum$ の計算練習をしてから戻ってきてもいいのかもしれません。

 

最後に

いろいろと書いてきましたが,数学で出来るようにならなければならないことなど,他科目に比べてそう多くありません。
やるべきことを正しく身につけていけば必ず結果に結びつきます。

 

定義の暗記や計算練習など地道な努力が必要になりますが,その正しい努力が結果に一番結びつきやすいのが数学です。

こうすればすぐに問題が解けるようになる,短期間で数学ができるようになるなど怪しげな方法論の誘惑に負けず,ひたむきな努力を積み重ねていきましょう。

 

今回はこんな感じでおしまいにしたいと思います。
ではまた次の記事でお会いしましょう。

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