この時期の受験生は,とにかく過去問8回分(地学基礎)をすべて解きましょう。
過去問を解く際のポイントを次の問題を使って確認したいと思います。
※一部発展事項を含みますが,理解が深まるので挑戦してみてください。
目次
例題を通して地学基礎の過去問を解く際のポイントを確認する
大気圏と地球内部について述べた文として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 大気の密度は地表で最小になるが,地球内部の密度は地球の中心部で最大となる。
② 地表付近の大気中の平均的な音速よりも,地殻を伝わる地震波の平均的な速度の方が速い。
③ 大気圏も地球内部も,地表から遠ざかるにつれて温度が高くなる。
④ 大気圏は気体で構成されているが,地球内部は固体で構成されている。
解答時の頭の中
① 密度なんて覚えてない。これどうなんだろ。△
② 数値覚えている。多分これが正解。○
③ これは明らかに違うな。成層圏とか温度下がったよね?×
④ これも明らかに違うな。外核は液体だったな。×
地学基礎では1問を利用して様々な分野の知識を確認していくのが大切
問1の正解は②,合っていたから次。
これでは他の問題に対応できませんね。
各選択肢を使って,どのように勉強していけばよいのでしょうか。
選択肢を使って勉強する方法——例題の選択肢①の場合
「密度が大きいものと小さいものがあるとき,密度が大きいものが下に移動する。」という性質がわかっているかがポイントになります(中学校の理科の範囲)。
したがって,大気の密度は地表面で最大になると考えるのが適切です。
地球の内部の密度については発展事項の内容ですが,地下深部ほど密度が大きいことは考えればわかりますので,しっかりと理解しましょう。
このような解説があればよいのですが,事実のみ書かれている場合もあります。
疑問点が出たらできる限り調べるのが大事です。
学校に地学の先生がいらっしゃる場合は,質問してみましょう。
一人で進めていく場合は,このあたりのバランス感覚が重要になります。
選択肢を使って勉強する方法——例題の選択肢①の場合
地表付近の平均的な音速は340[m/s]であるが,地震波はP波で5~7[km/s],S波で3~4[km/s]です。
音速は常識的数値です。
ここは覚えればよいのだなと判断しましょう。
選択肢を使って勉強する方法——例題の選択肢①の場合
成層圏,熱圏では高度が上昇すると温度が高くなります。
ここで, 温度構造以外のポイントも確認していくのが大切です。
・オゾン層ってどの層に存在?
・オーロラって熱圏で起こるんだったな。
など,教科書や参考書の該当部分を確認しておくべきです。
選択肢を使って勉強する方法——例題の選択肢①の場合
マントルは流動性があるが固体であることに注意しましょう。
ここで,「地殻・マントル・核/リソスフェア・アセノスフェア・核」について,一気に確認していけばよいのです。
地学基礎では1問を利用して様々な分野の知識を確認していくのが大切
このように,近年のセンター試験は複数の分野を1問に詰め込んでいる形になっている問題が一定数出題されます。
今まで使用している参考書・教科書があると思いますので,それを主軸にして,情報をまとめていきましょう。
基幹となる本を完璧にしていきましょう。
首都圏の予備校・塾で数学・地学を担当。
大学での専門は固体地球科学・信号処理。今後の人生で役に立つ地学(地球科学)がモットー。「覚えること」と「理解すること」を明確に区別し、単なる暗記に留まらない指導を心がけている。