春水堂って読めない‥‥
こんにちは!
最近、暑いですね。いや、暑すぎますね。
先週滞在していた博多も暑かったです。暑すぎて天神の地下街で思わずピーチタピオカミルクティを頼んでしまいました。34歳、タピりました。
ところで、このお店「春水堂」と書いて「しゅんすいどう」と読むと思いきや、「チュンスイタン」と読むらしいです。出講先の高3生に教えてもらいました。(おじさんになったなぁと痛感しました。ツラい。)
夏の教室でよくある光景
さて、暑い日々は我々講師もついつい教室の空調の温度を低く設定しがちです。こちらは動いているので、冷房が効いていても暑い。しかし、皆さんは座っている。じっとしているとなんか寒いぞ、と思うものの目の前には汗だくのおっさん講師がひとり喋っている。なんか暑そうだな‥‥と思いつつも、風邪をひいては元も子もない。意を決して手を挙げる。
「先生、寒いです」
さて、この言葉はどういう意味か。こんな話を授業でするとだいたい3通りの反応に分かれます。
②教室の温度が低いです。空調の温度を上げてください。
③先生のギャグが寒いです。滑ってます。
③は‥‥なんかごめんなさい。でも、ある意味ではしっかりと読み取っています。
まずは①と②について確認をしましょう。
①は自分の今の状態を示している。
②は①を踏まえて先生に行動を促している。
①と答えた生徒に「本当にそれだけ?」と聞くとだいたい②と答え直します。
そして、この発言は多くの場合②の意味合いで為されるものと思われます。
デノテーションとコノテーション
今の話を少し掘り下げると、ロラン・バルトという人物に出会うことになります。
彼は当時のファッション雑誌やジャーナリズムにおいて使われている言葉を研究し、「言葉は明示的な意味とともにその背後に別の意味合いを持つこと」に言及しました。
この「明示的な意味」を「デノテーション」といい、「背後にある意味」を「コノテーション」と呼びます。
具体例を挙げましょう。
「バラ」という言葉は
・コノテーション→愛情、情熱
という意味合いを持ちます。
つまり、文字としてのバラはそのまま赤い花ですが、それは愛や情熱といった意味合いを含んでいる。だから古今の作品で愛の告白にバラが添えられているのです。そこでタンポポを差し出したら‥‥そこにはまた異なるコノテーションがあると考えられます。(素朴さ、など)
なぜ、こんな話をしたのか。
学校や予備校の授業を受けていて「先生や講師の説明する内容がわからない」、「なぜこの文章がそのような解釈になるかわからない」という質問の対応している時に、デノテーションとコノテーションの架橋が上手くできていないと感じることがしばしばがあります。
いわゆる「字面」(=表面上の言葉の意味/デノテーション)でしか文章が追えていない状態です。
例えば
という文がある場合、字面で考えると「来年」のことを述べていますが、同時に「今年」のことも含意しているのがお分かりでしょうか。
「今季の優勝は苦しそうだ‥‥」という意味内容まで含んでいることを理解することも文章読解で求められることがある作業になります。
コノテーションを理解するために必要なこと
先程の阪神タイガースの例文でのコノテーションを理解するためにはいくつかの要素が必要になります。
→文法的知識
②阪神タイガースというプロ野球の球団がある
→語彙知識
③今季の阪神タイガースはセ・リーグで苦しい戦いを強いられている
→背景知識
これらの知識の組み合わせがあなたの読解力を豊かするのです。
‥‥つまり、いつも通り結論は「語彙力をつけよう!」になるわけです。
これだけ繰り返すのも、結局文章読解は語彙や文法というある程度客観性をもった知識を元にして、書き手の言いたいことに迫っていく営みにほかならないからです。
そして、書き手の言いたいことは言葉で表現されています。言葉に対して敏感に、そして謙虚に向き合っていきましょう。
それでは。
首都圏、西日本の予備校に出講する現代文講師。
文章の情報構造を客観的に把握しつつ、その意味内容の理解に深く斬り込む授業に定評がある。
【note】https://note.mu/tkgwnohitorigoto