2025年度共通テスト英語(リーディング)から見る、高1・高2生の学習指針

こんにちは、由良です。

2025年に行われた共通テスト英語リーディングの問題を分析し、高1生や高2生に今の時期からできることをお伝えしたいと思います。

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2025年度 共通テスト[英語(リスニング)]の総評

2025年の共通テストリーディングは大問が2つ増えたものの、設問の数は6問減りました。全体の単語数としても昨年度の約6200語から約600語減り、約5680語となりました。

とはいえ、かなりの情報処理を要求される「最も時間が足りない試験」であるという共通テスト英語リーディングの性質は変わっていないと言えるでしょう。

共通テストの性質上、「問われている問題が難しい」というよりも「1問にかけられる時間が少ない」ことに悩まされる受験生は非常に多いと考えられます。高得点を目指していくにはこの問題を解くための解法を意識する必要があるでしょう。

「設問を見る→読む→解答する」の3ステップで問題を解く

通常の読解の学習では「読む→設問を見る→各選択肢の解答根拠を探す→選択肢を落とす→解答する」という5つのステップで答えを出すことが多いと思います。実際、この手順が最も正確に処理をすることができるでしょう。

しかし先述の通り、共通テストは時間の設定が非常に厳しい入試問題となっています。つまり5つステップを踏むほど時間に余裕がないのです。そのため「設問を見る→読む→解答する」の3ステップで問題を解く意識を持つようにしましょう。

設問を見るときに「何を答えるべきなのか」をしっかりと押さえたうえで文章を読むことが重要です。

また第3問と第4問を除くすべての設問で図表やイラストが使用されているというのも今年度の問題の大きな特徴ではないでしょうか。一般的な読解問題ではなかなか練習できない形式であり、共通テストのための勉強を行う必要性があります。

2025年度 共通テスト[英語(リスニング)]の設問分析

ここからは,それぞれの設問を見ていきましょう。

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第1問 パンフレットの読解

魚を飼ったことがない人に水槽をデコレーションするためのパンフレットを読んで解答する問題でした。

特筆すべきは問3で、マニュアルで勧められた通りにすると完成する水槽の絵を選ばせる問題です。例年第1問で絵を選ばせる問題は出題されていなかったので驚いた受験生もいるかもしれないですね。

先に選択肢の絵をよく分析(=それぞれの絵の違いに注目する)し、読みながら選択肢を1つずつ削っていくようにしましょう。

第2問 ブログ記事の読解

未来の移動手段として空を飛ぶ車を紹介しているブログ記事を読んで解答する問題でした。
文章自体はそこまで長くなく読みやすかったのではないかと思います。

特にこの第2問に限らず意識しなければならないことではありますが、パラフレーズ(=言い換え)を意識することで読みやすくなったのではないかと思います。

今年度も出題された”opinion”を問う問題

また昨年度と同じように、今年度も”opinion”を問う問題が出題されています。

そもそもopinionは「人によって異なるもの」を指します。先に選択肢を読み、それぞれの選択肢が「人によって異なるのか、それとも誰にとっても同じなのか」を分析するようにしましょう。

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第3問 物語文読解①

あるバンドについての物語文を読んで解答する問題でした。

物語文を読むときには「登場人物」「場面や感情の変化」「その変化のきっかけ」の3点を意識しながら読み進めるようにしましょう。

時系列を整理する問題は先に選択肢を読んでおくのが効果的

設問としては例年通り時系列を整理する問題が出題されています。この問題は先に選択肢を読んでおいて、出てきたタイミングで順番を決めていくほうが良いでしょう。

ただし、後から順番が変わってしまうこともありますので、「時間を表す表現(=〇〇なとき)」や「動詞の形(=過去完了形など)」に注意しながら読み進める必要があります。

また使用しない選択肢が1つ混ざっているので、使わない選択肢(=出てこない or 記述が間違っている)をしっかりと落とせるかが鍵を握っています。

第4問 原稿の修正

第4問は試作問題でも出題されていた新形式で、原稿を先生からのコメントに合わせて修正していく問題です。

今回は「スローライフ」について書いたエッセイをコメントに合わせて修正していく問題でした。設問もディスコースマーカーを挿入する問題と文挿入、さらに書かれている文を別の英文に書き換える問題でした。

この第4問では「抽象→具体」や「具体→抽象」を常日頃から意識しておくことが非常に重要になるでしょう。

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第5問 複数文の読解

会議を開催するためにやりとりをしているメールを読み、解答する問題でした。

さらに1通目のメールにはスケジュール表がついており、一見すると長く難しそうに見えます。しかし今回の問題は解答根拠の多くが2つ目のメールに書かれており、また対応させるのも例年に比べると答えは出しやすい問題でした。

第6問 物語文の読解②

スーパーヒーローに関する物語文を読んで、作者にメールで感想を送るという設定の問題でした。先に感想をしっかりと読み、解答しなければならないものが一体何かを分かった上で文章を読むことが重要です。

問1(出来事の順番を並び替える問題)では文章中の時系列が複雑に書かれていたこともあり、慣れていなければ苦戦することが予測できます。物語文は受験生が勉強する機会が論説文や説明文と比べると少ない形式の文章です。

今後センター試験の過去問や私立大学の過去問などを使い、物語文を読むことに慣れていく必要があるでしょう。

第7問 論説文の読解

動物の睡眠パターンに関しての文章を読み、発表するためのアウトラインを作っていくという設定の問題でした。

第6問と同様に先にアウトラインをしっかりと読み、問われる内容を頭に入れたうえで文章を読み始めることが重要です。

第4問でも触れましたが、「抽象→具体」や「具体→抽象」を意識して解答に必要な情報を拾っていく練習をすることで時間効率を高め、得点を上げることができるでしょう。

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第8問 エッセイを作成する

第8問も試作問題Aと同じ新形式の問題で、あるテーマについての様々な意見を読み(=Step1)、自分の意見を決め(=Step 2)、実際にエッセイを書く(=Step 3)という過程を埋めていく問題です。

「それぞれの人の意見を言い換える(=抽象化)」、「言い換え(=パラフレーズ)に気を付ける」、「共通点を意識する」といったほかの大問でも気を付けなければならないことをしっかりと使うことができれば、難易度としては比較的易しい問題でした。

実際に問題を解くときにはStep 1とStep2をまとめて解き、その後Step 3に進むと良いでしょう。

高校1・2年生に“今”意識してほしいこと

これまで共通テストの問題を使って“解き方”のような話をしてきました。しかし、今の時期から意識してほしいことはいわゆる「共通テスト対策」的な勉強ではなく、「当たり前のことを当たり前にできるようにする」ということです。

具体的に見ていきましょう。

高1・2生が取り組むべき学習
  1. 語彙力の強化
  2. 速読よりも精読を
  3. 文章の内容を覚える練習
  4. ライティングの学習を活用する
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①語彙力の強化:「見た瞬間に思い出せる」状態を作る

共通テストは第1問から第8問まで全て読解問題で構成されています。そのため語彙力の強化は必須です。

時間の制約が厳しいことも考えると、本番読みながら単語の意味を思い出そうとしたり、予測しようとする余裕はないと思っておきましょう。そのため単語帳や熟語帳に出てきているものは「見た瞬間に思い出せる」状態を作っておくことが必要です。

これは共通テストに限ったことではなく、国公立大学や私立大学の一般入試や英検など外部試験を利用する人すべてに言えることです。高3の夏の終わりまでに少なくとも単語帳1冊は完璧に覚えたと胸を張れる状態を作ることを目標としましょう。

②速読よりも精読を:1文1文を正確に読める状態を作る

これだけ時間を意識してしまうと、自ずと「速読」をしようとする受験生は今後も増えてくると思いますが、1度立ち止まって考えてみましょう。ゆっくりと正確性を意識してできないものを速く正確にできるのでしょうか?

共通テストに合わせた対策(いわゆる速読)の訓練は高3の秋以降で十分間に合うでしょう。そこまでに1文1文を正確に読める状態を作り出しましょう。

 

文法に忠実に、かつ正確に英文を理解する

「SVOCを書く」や「括弧をつける」、「スラッシュを引く」等様々な方法論がありますが、根本にあることは「文法に忠実に、かつ正確に英文を理解する」ということです。

毎年、冬期講習や直前講習で共通テスト対策の講座を担当していますが、いくら「どの順番で解く」や「どの選択肢を先に読む」といった話をしても、結局自分でその英文が読めず、時間内に解答を出し切ることが難しくなっている受講生もいます。

学校や予備校の授業でも英文や文章に触れる機会は多いと思いますので、まずは「1文が正確に理解できているか」に焦点を当てた勉強をするようにしましょう。

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③文章の内容を覚える練習:比較的簡単な文章から練習する

普段の勉強で長文読解に取り組むことは多いと思います。

文章の内容をできるだけ覚えて問題を解く訓練をしてみましょう。これは難易度の高い文章よりも、比較的簡単な文章で行うほうが良いです。

共通テストでは設問に解答するときに何度も戻って確認する時間がありません。設問を確認してから読む問題もありますが、全体内容の問題は読み切ったときの記憶に頼らないと時間内に解ききることは難しくなります。

今から簡単なレベルの文章題を演習するときは内容を覚えておく訓練をすることで、実際に共通テストに向けた対策を始めるときの負担を軽減することができます。

④ライティングの学習を活用する:共通テストは「記述の意識」をより問われている

2025年のリーディングでは、これまでの問題と比べて明確に「記述」や「エッセイライティング」との関係性を意識していることがはっきりしています。

「共通テストのためにライティングの勉強をしよう!」というわけではありませんが、国公立や私大の入試問題だけでなく、近年では英検を利用する受験生の数も非常に多くなっています。もしライティングの勉強をする機会があれば、その場しのぎの勉強をするよりも腰を据えて勉強すると共通テストにも非常に良い影響があるでしょう。

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抽象的な勉強ではなく、具体的な勉強から始める

さて、今年度の共通テストも終わり、次の共通テストまでのカウントダウンが始まりました。

とはいえ、「何から始めたら良いかわからない…」という高校生も多いことでしょう。そんなときは抽象的な勉強ではなく、具体的な勉強から始めてみましょう。

「なんとなく時間がなさそうだから速読を意識して……」と漫然と長文読解の勉強を始めても効果はあまり望めません。それならば、「まずは単語を1日に〇個覚える」や、「英文解釈(=精読)系の問題集を1日〇個ずつ進める」といった具体的な勉強をしたほうが効果は高いです。

今の自分にできることを1つ1つ積み上げていき、この記事を読んでいる皆さんが受験生になったときに自信を持って私大の入試や国公立の2次試験に臨めることを心から祈っています。

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