2025年度共通テスト国語(漢文)から見る、高1・高2生の学習指針

こんにちは。安田です。

2025年度の共通テスト、受験されたみなさんはお疲れさまでした。
今回は、次年度以降の受験生に向けて、今年度の共通テストを踏まえての漢文の学習についてお話ししていきます。

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2025年度共通テスト漢文の出題について

本文出典

皆川淇園『論語繹解』
田中履堂『学資談』

今回は、『論語』の一部に江戸時代の漢学者皆川淇園が著した注釈、および皆川淇園の弟子である田中履堂が著した読書論が出題されました。『論語』の引用部分以外は日本人の書いた漢文でしたが、特に違和感なく読めるかと思います。

漢文を読む上で、作品と注釈は切っても切り離せないものです。注釈を読むことで主となる作品の内容を把握でき、理解が深まります。今回も、注釈部分を丁寧に読みほどけるかが全体の鍵になっていました。

句形や語彙の知識だけでなく、もう一歩踏み込んだ活用が必要

国語全体を通して、ほとんどの設問で選択肢が4つになったことが大きな変化でした。選択肢の吟味にかける時間が減りましたから、全体として解きやすくなったのではないかなと思います。

漢文では大方の予想通り、複数テクストの読解でした。ここ数年出題されてきた漢詩は出題されませんでした。

句形や語彙の知識はもちろん必要ですが、さらにそれをもう一歩踏み込んで活用しないとなかなか自信を持って正解を選べない、という問題が増えた印象です。

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設問分析

問1 語句の意味

「女(なんじ)」「非与(ひなるか)」「毎(つねに)」

いずれも学習している中で触れる語彙だと思います。

漢字一字一字をどういう熟語の中で使うか、どういう文脈の中で使うか、という観点から見る習慣をつけておくと、知識が不足していても前後内容から意味を選ぶことは可能です。

この3問はしっかり取れるように頑張りたいですね。

問2 理由説明

傍線部の直前「是故(このゆえに)」に着目し、直前部分が答えになるというのを見抜く問題です。

傍線部の前文をしっかり読み解けるかが鍵になります。「因(よりて)」「以(もって)」など頻出の接続詞を正確に捉えられるようにしたいところです。

問3 傍線部の解釈(比較表現)

「A不如B」(AはBに如かず)

を軸にして、傍線部の解釈を選ぶ問題です。

この部分だけでも頑張れば選べますが、次の行にある「粗渉~」の部分が傍線部と対句の形になっていることに気づければ内容を見比べて選択することも可能です。

文章全体をきちんと読んでから問題に入る、という基本姿勢がしっかりしていると解きやすくなるタイプの問題です。

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問4 訓読

センター試験時代から続く頻出形式の問題です。

ポイントは基本句形や助字を軸に読み方を考えることで、今回であれば「S所V(SのVするところ)」「莫不A(Aせざるなし)」の組み合わせ部分を見抜くことが第一。さらに傍線部前後の内容と照らし合わせて考えていきます。

基礎知識と読解力をしっかり身につけて臨みたいですね。

問5 「又・亦(まタ)」の識別

同じ読み方をする語の意味を識別し、現代語の「また」の使い方と照合させて同じ意味用法のものを選ぶ問題です。

選択肢が現代語というのが珍しい形ですが、漢文が現代日本語に通じる一端を感じることができる、個人的に好みの問題でした。難易度的にはそれほど高くはないのでしっかり正解したいところ。

中学生時代に学習しているであろう国文法の知識も活きてくるのではないでしょうか。

問6 文章Ⅰ・Ⅱ全体の内容合致

本文全体を通しての内容把握問題です。

それぞれの文章の内容が分かれば、選択肢自体は比較的選びやすい(誤答となる選択肢が分かりやすい)ので、丁寧に読んで話が分かれば大丈夫です。

読解力の腕試しとしては標準的かなと思います。

2026年度共通テスト受験生が第5問対策で取り組むべきこと

大問構成や時間設定に変化はあったものの、漢文だけを見れば、それほど大きな変更はなく、例年通りに取り組めれば十分に満点も取れるレベルでした。選択肢の数が減少した(5択→4択)のが影響としては大きかったでしょう。

来年度以降の受験生が取り組むべきポイントを紹介します。

2026年度共通テストに向けた第5問対策
  1. ベース知識の習得
  2. 読解演習
  3. 複数テクスト形式への対策
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文構造・語彙・句形など、ベース知識を習得する

文構造、語彙、句形の知識は一通り身につけておきましょう。日常の学校での授業に加えて、問題集に1冊は取り組んでおくといいと思います。

また、今年度は出題がなかったものの、依然として漢詩はいつ出題されても不思議ではないですから、やはり基本知識は身につけておきましょう。

学校の授業で扱われる文章の精読、問題集や過去問を用いた読解演習

知識を身につけつつ、読解の実戦演習は欠かせません。

学校の授業で取り組む文章の精読はもちろん、問題集や過去問を用いて、時間制限ありの実戦型演習も重ねていきましょう。

複数テクスト形式への対策

特別にそれ用の対策がある、というほどでもないですが、複数テクスト形式の出題が続く可能性は高いですから、考え方や対応策も身につけておくとより高得点を狙えます。

2026年度共通テストに向けて、漢文学習のポイントまとめ

大学入学共通テストの最大の対策は「早いうちからしっかり勉強する」ことです。

みなさんの先輩の中には「直前にちょろっと」で満点を取ったよという人もいるかと思いますが、そういう人はもともとの基礎がしっかりしていた人がほとんどです。少しでも不安を感じる人は、早めから手を付けて焦らないようにしておくのが勝利への第一歩でしょう。

漢文学習のポイント5選

共通テスト対策も含めた、漢文学習の要点をまとめます。

漢文学習のポイント
  • 文構造、語彙、句形、漢詩の知識を身につける
  • センター試験時代の過去問も活用して演習を積む
  • 現代文での漢字・語彙学習をしっかりやる
  • 日々の授業や定期考査学習を通して背景知識にも触れていく
  • 他科目で学んだ知識と関連付けていく

特殊な勉強法はありません。日々の授業を通してコツコツと知識を広げつつ、演習を通して実戦力を養うことが肝要です。
漢文は対策に回す時間が不足しがちな科目です。他の科目が本格的に忙しくなる前に、しっかり形を作っておきましょう。

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