2025年度共通テスト英語(リスニング)から見る、高1・高2生の学習指針

こんにちは!高山のぞみです。

今回は,2025年1月18日に行われた共通テスト英語(リスニング)の問題を分析し,高2生や高1生にどのような対策をしていけばよいかをお伝えしたいと思います。部分的な解説も含まれるため,実際に問題を解いてから読むことをおすすめします。

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2025年度 共通テスト[英語(リスニング)]の総評

2025年度の共通テストは新課程入試となり,第5問の問題形式が変わることが予告されていました。しかし,大学入試センターの試作問題(第C問)で出されていた形式と「見た目」が異なっていたため,戸惑った受験生も多かったのではないかと予想されます。

また,予告されていませんでしたが,第6問Bが4人から3人の会話へと変更されていました。さらに,第4問A問18~21がイラストの並びかえ問題からグラフの穴埋め問題へ変更されていましたが,第4問Aについてはこれまでもイラストの並び替え問題とグラフの穴埋め問題が交互に出題されてきたため,対策をしていれば安心して取り組むことができたと思います。

前半は難化したものの後半は易化し、全体としては昨年同程度の難易度

読み上げられた総語数や選択肢の総語数はおおよそ昨年並みですが,大きな形式の変更がなかった第1問~第3問で解きづらい問題が含まれていたため前半はやや難化した印象がありました。

一方,形式が変更された大問を含む後半は易化していたため,全体的にみて昨年と同程度の難易度だったと言えるでしょう。

2025年度 共通テスト[英語(リスニング)]の設問解析

ここからは,それぞれの設問を見ていきましょう。

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第1問 A:短文言い換え問題 B:イラスト選択問題

第1問はA・Bともに短文が読み上げられる問題です。

Aは,例えばCan you drive me home, Lily?と英文が読み上げられ,The speaker is asking Lily for a ride.のように言い換えまたは意図を表す選択肢を選ぶ問題です。昨年に比べておおむね同じ難易度です。

ただし,問2で出題されたLet’s not do …の形は馴染みがない人も多かったかもしれません。

第1問B 内容理解,基本的なフレーズや文法知識が要求された出題

Bは,ある物や状況の描写が読み上げられ,それにあてはまるイラストを選ぶ問題です。昨年までは3問でしたが,4問に変更されています。

問5・6・8のように似たイラストで選択肢が構成されている場合,聞き取る前に2・3箇所違うポイントを見つけておきましょう。また,問7のようにバラバラの動きをしているイラストの場合は,各選択肢の特徴的な部分を事前に把握しておくと聞き取りやすくなります。

問5ではリスニングで頻出のthe other one「もう一方のもの」が出題されていました。Bには,問5のように最後までしっかり聞き取らないと選べない問題が含まれており,昨年よりやや難しくなったと言えます。両問題とも,例年通り読み上げられた英文の音だけではなく,内容を理解することや,基本的なフレーズや文法知識が問われていました。

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第2問 イラスト選択問題

第2問は,2人の2往復の会話が読み上げられ,その内容に当てはまるイラストを選ぶ問題です。第1問Bが1問増えたことに伴い,第2問が1問減っています

音声が流れる前にイラストを「読む」ことが重要

会話が進むにつれて選択肢を絞っていく必要があるので,音声が流れる前にイラストを「読んで」,それぞれにどのような特徴や違いがあるのかを確認しておきましょう。確認すべきポイントは第1問Bと同様です。

問9では,会話の中で男女両方のスマートフォン上のアプリの配置について述べられており,設問文が読み上げられるまでどちらが正解になるのか選べない問題で,これまでにあまりなかったタイプの形式でした。

一方,問10・問11は聞き取りながら選択肢を絞っていくタイプのイラスト選択問題では定番の形式でした。全体として,昨年に比べてやや解きづらい問題が含まれていた印象です。

第3問 会話文問題

第3問は,2人の2.5往復の会話が読み上げられ,その内容に関する問題に適した答えを選択する問題です。

事前に日本語で書かれた状況・問題文・選択肢を読み,会話のテーマや聞き取りのポイントとなる箇所を見つけておくことで,1回の読み上げにも対応できます。

特に,選択肢を読むときには繰り返し出てくる語や正反対の意味の語を見つけておくと聞き取りやすくなります。

難度が高かった問14・問15

問14は,選択肢からタクシーとバスのどちらを選択するのか,その理由や追加情報を意識して聞き取らなければならないとわかります。タクシーに乗ることはわかりやすかったものの,the taxi fare is just a bit more than two bus ticketsから選択肢①のpay moreにたどり着くのは,難しく感じた人もいたのではないかと思います。

また問15では,設問文のWhen is the concert?を読んでいなければ,会話が「練習の日時」について進むため,選択肢②のTomorrow at 10:00を選んでしまうような作りになっていました。さらに,解答の根拠となるIt’s the day after tomorrow.「明後日だよ」がIn two days.と言い換えられていたので,この点でも難易度が高かったと言えます。

その他の問題については,例年通りの形式で進めやすいものが多かったと言えます。

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第4問 A:問18~21グラフ穴埋め問題・問22~25表穴埋め問題・B:条件選択問題

第4問はやや短めのモノローグが読み上げられる問題で構成されています。

Aの問18~21は,昨年はイラストを並びかえる問題でしたが,今年はグラフを完成させる問題でした。これまでもイラスト描写問題とグラフ穴埋め問題は交互に出題されていたため,予想通りだったと言えます。

事前にグラフの傾向を読み取り、選択肢にも目を通す

今回のようなグラフ問題の場合,必ずグラフのタイトル・縦軸・横軸・それぞれのグラフの傾向を事前に読み取り,選択肢にも目を通しておくことが重要です。折れ線グラフの場合,上昇傾向・下降傾向・横ばい状態などが読み上げの中で説明されることが予想されます。

rose consistentlyやsteadily decreasedなどのフレーズは英作文でも頻繁に使われるため,知識があると解きやすかったのではないかと思います。

カタカナと英語の発音が大きく違う単語は出会うたびに確認する

ただし,選択肢④のYogurtは/jóugərt/「ヨゥガー(ト)」とカタカナと英語の発音が大きく違うため,戸惑った人もいたかもしれません。

このようなカタカナ語は数が多く,発音も異なる場合が多いため,出会う度に正しい発音を確認するようにしましょう。

フレーズを入れる穴埋め形式は聞き取りながら埋めていく

問22~25は,表の穴埋め問題で,数字の聞き取りと計算ではなく,昨年同様フレーズを埋めていく形式でした。

数字が出題される場合はメモを取ることに集中してその後問題を解くことになりますが,フレーズを入れる形式の場合,聞き取りながら穴埋めしていく方がやりやすいでしょう。

今年は天気予報が出題され,読み上げではa lot of showersやclearと言われていた部分が,選択肢ではRainyやSunnyと言い換えられていました。このような天気予報特有の語彙に苦戦した人もいたかもしれません。昨年に比べて難易度がやや上がっていたと言えます。

条件を簡潔に英訳しておく

Bは4人の提案を聞き取り,条件に当てはまるアイデアを選ぶ問題です。

今年度のテーマは「サーフィンをする海」で,昨年までと同様に表にCondition A・B・Cとしか書かれていなかったため,「海にサーファーが少ないこと」→ not crowdedのように条件を簡潔に英訳しておくことが重要でした。

このメモはあくまで自分が聞き取りやすくするためのものなので,簡易的な形式で問題ありません。4人が様々な言い方でそれぞれの条件について言及しますが,今年度は条件に当てはまるか否かが判断できないものや言及されなかった条件もなかったため,比較的取り組みやすかったと思います。

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第5問 講義問題

第5問は,昨年から大きく形式が変わり,大学入試センターの試作問題(第C問)で出されていた形式とも一見すると見た目が大きく異なっていたため,驚いた人も多かったでしょう。

しかし,予告されていた問題形式と違ったのは活動1・活動2のように問題が区切られた点だけで,本質的には予告された形式とほぼ同じだったと言えます。

問題形式が変化しても落ち着いて事前に最大限の情報を得る

共通テストでは毎年多少なりとも問題形式が変わることが想定されます。どのような問題形式になっていても,読み上げが始まる前に問題文や選択肢を読むくことで対応できるので,落ち着いて最大限の情報を得るようにしてください。

第5問は,まずは状況から「社会学の授業」「活動1~3がある」ということを読み取り,活動1から「贈答文化」というテーマを読み取ります。次いでワークシートを読み始めますが,空所が含まれないタイトルや英文も全て目を通すようにしてください。

「今この内容が読み上げられたということは,もうすぐ該当箇所だ」という目印になります。

ワークシート型の問題は選択肢も目を通し,キーワードを見つける

ワークシートのスタイルは昨年と同様でした。同様に選択肢も目を通し,キーワードを見つけることが大切です。

今年の問28~31では,選択肢が全て形容詞で構成されており,関連語でまとめることは難しかったものの,内容自体は理解しやすいものでした。

講義自体は昨年とほぼ同じ約280語で,内容も理解しやすいものだったと思います。ただし,問27は読み上げ中にone-thirdというフレーズが出てきたため,その数値を含む選択肢を選んでしまわないように注意が必要でした。

また問28~31は講義中でcontentが使われていた部分が選択肢ではsatisfiedと言い換えられており,英文を聞き取りその言い換えを正確に理解する必要がありましたが,それほど難易度の高いものではありませんでした。

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2025年度からの新形式問題だった問32

活動2に該当する問32が今年からの新形式問題です。この問題は講義との内容一致問題ですが,テスト冊子に印刷がなく,Student A・Bの二人の発言を聞き取ったうえで講義に一致するか否かを判定するという比較的難易度が高い形式です。

メモを取る欄が設けられており,活動2という名前が付いていたので,試作問題から見た目が異なって見えたものの,形式自体は同じでした。数値などの細かい情報ではなかったため,形式の難易度の割には判別しやすかったと思います。

続く問33も活動3という名称や,「あなたは,JoeとMayとの三人で……ティスカッションの準備をしています」という状況説明が加わっていますが,昨年までの形式と同じでした。

講義内容・グラフ・ディスカッションのすべてを参照する必要がある問題ですが,答え自体は昨年同様,グラフからの情報で選択肢を絞ることができました。第5問全体の難易度としては,形式の変化を考慮しても昨年とほぼ同程度だったと言えるでしょう。

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第6問 A:長めの会話文問題  B:3人の会話文問題

第6問Aは,2人による長めの会話文を聞き,それに関する2問に答える問題です。状況から,会話のテーマは「食事のとり方」についてだとわかります。

事前に選択肢を読んでおくことで,問34は「どう食べたら」「どうなるのか」を聞き取り,問35は食事についてどうするのかを聞き取らなければならないことが把握できます。

会話の内容も明確で選択肢も選びやすかったため,解きやすい問題だったと言えるでしょう。

4人ではなく3人の会話を聞く形式になった第6問B

Bは,昨年までの4人の会話を聞く問題から3人の会話を聞く問題に変更されていました。また,昨年までは問36の条件に該当する人を選ぶ形式でしたが,2022年までの該当する人数を選ぶ形式に戻っていました。ただし,3人の会話形式となったことで,選択肢に「0人」が含まれるようになっています。

会話の展開は,状況から「鳥にえさを与えること」についての話題だと把握し,問36では条件を,問37では設問文から誰の意見の根拠を選ぶかを確認し,選択肢のグラフのタイトルを読み取っておく必要があるという点は昨年と同様でした。

問37は,男性はDoug一人だけだったので声で混乱することもなく,さらにグラフのタイトルがそれぞれ異なっていたため,非常に解きやすくなっていたと思います。

会話の展開としては,最初に鳥のえさやりに肯定的だったHarukaとEmilyがDougの意見を受けて否定的になったことを聞き取ることがポイントでした。第6問は,A・B共に易化していました。

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高校1・2年生に向けてのアドバイス

これまで今年度の問題の分析や,解く前にすべきことなどをお話してきました。最後に,その内容を踏まえて高1・2年生の皆さんに心がけてほしいことをお伝えします。

高1・2生の学習指針
  • 「聞く力」をつける
  • 「解く力」をつける

「聞く力」をつける

初めて共通テスト(リスニング)を聞くと,「思っていたよりも聞き取れなかった」という感想を抱く人も多いと思います。

問題を解く練習をする前にまずは「聞く力」をつけてください。具体的には,単語やフレーズを覚える際には発音も意識することと,ディクテーション(英語を流して書き取る)ことや,音声をまねして音読することなどが有効な対策です。遅くとも高3の夏までには「聞く力」の基礎を付けておくことを目指しましょう。
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「解く力」をつける

リスニングの問題を解く際には,音声が流れる前の時間で効率的に準備をすることが重要です。

「聞く力」がつくと,それだけで模試などの成績は各段と上がると思いますが,準備をして待ち構えて聞くという「解く力」がつくと,リスニングで安定して高得点をとることができるようになります。

「解く力」をつけるには,問題演習をすることが一番です。遅くとも高3の夏には演習を始めるようにしましょう。

「聞く力」「解く力」をつけるための学習法は以下で詳しく説明していますので,ぜひ参照してみてください。

リスニングには英語の総合力が求められ、相乗効果も期待できる

高1・2生の時点でリスニング学習の重要性に気付き,対策を始めることができれば,リスニングに関しては不安要素がない状態で受験学年を迎えることができます。

また,リスニングは読み上げ文で聞こえてきたものをそのまま選ぶのではなく,言い換えられている選択肢を選ぶことになるため,単語力が不可欠です。さらに,音声が流れる前に選択肢を素早く読む力や,読み上げられる英文そのものを理解するための読解力も求められます。

つまり,リスニングには英語の総合力が必要です。英語全般の力をつけることでリスニング力が向上しますし,リスニング力を鍛えることで英語全般の力も底上げされます

ぜひ,早い段階からリスニング対策を始めて,英語を武器にしてください!

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