大学入試の小論文の書き方:具体的なステップを徹底解説!

※本記事はプロモーションを含みます

「大学入試で小論文が課されているけれど、小論文なんて書いたことがない」「とりあえず過去問で対策しているけれど、一向に上達していない気がする」そんな悩みを抱えていませんか?

そもそも、小論文とはどのようなものか、きちんとイメージできていますか?

小論文は近年の入試で需要が高まっている一方で、自分では対策しづらいもの。今回は、小論文を書く具体的な流れ・書き方と最重要ポイントを解説していきます。ぜひ最後まで読んで、小論文のレベルアップに役立ててください。。

なお、拙著『スマートステップ小論文』では、今回の記事で紹介する内容をさらに詳しく解説しています。

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本記事で小論文を作り上げるイメージをつかみ、『スマートステップ小論文』でより具体的に理解、演習を積む。その後、過去問演習・添削等を通して万全な小論文対策を行なってもらえればと思います。

※本記事で使用している入試問題については大学に問い合わせた上で適切な処理を行っています。

小論文を書き上げるまでの流れは「理解→構想→作成→確認」

まずは試験本番で小論文を書き上げるまでの流れを確認しましょう。
ポイントは「理解→構想→作成→確認」です。

小論文を書く「流れ」
  1. 理解……資料や課題文、設問の要求、書くべきポイントを理解する
  2. 構想……答案の構成を考える
  3. 作成……答案を書き上げる
  4. 確認……自分の答案をチェックする

この4つのステップで小論文を完成させていきます。

初めて小論文を書くという人の中には、設問を何となく把握して、いきなり答案を作り始める人が一定数います。正直、これはお勧めしません。このような書き方をすると、完成度の低い答案になったり、途中で手が止まってしまったりしがちです。

まずは、問われていることや書くべきポイント、資料や文章がある場合はその内容をきちんと理解すること。その上で、何をどのように書くかを考え、「構成メモ」を作ってから書き始めるべきでしょう。

構成を考える時間をたいして取らない受験生もしばしば見かけます。しかし、多少時間をかけてでも構成をしっかりと練り上げるべきです。しっかりとした構成を考えることができていれば、実際に答案を書き上げる時間はそれほどかからないはず。少なくとも練習段階では丁寧に構成を考えることを心がけてください。

それぞれのステップをさらに掘り下げて解説していきます。

理解:資料や課題文、設問の要求、書くべきポイントを理解する

まずは「理解」の段階です。
このステップを適当に流してしまうと、どんなに良い答案になっているように感じたとしても得点になりません。

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小論文は「問われていることを把握する」ことから始まる

大学入試の小論文では、基本的に問いが用意されています。当然、受験生はその問いに答えていかなければなりません。当たり前に思うかもしれませんが、「問われていることを把握する」ことを改めて強く意識しましょう。

では、どのようにして「問われていることを把握」すれば良いのでしょうか。その鍵を握るのは、設問を分解すること、設問のポイントにマーキングすることです。もう少し細かく述べるなら、

問われていることを把握する
  1. 設問を分解する
  2. 設問で問われていること(要求されること)をチェックする
  3. 資料を見る/課題文を読解する際に意識すべきことをチェックする

この3つに取り組みましょう。「そんなことはしなくても把握できる」と考えるかもしれませんが、まずは意識的に取り組むことが必要です。

ただし、気を付けてほしいのは「線を引くことが目的ではない」ということです。あくまでも問われていることや意識しなければならないことに注目することが目的。見落とさないようにするために線を引くという意識でチェックしてください。

もう少し詳しくみていきましょう。

問われていることの把握①:設問を分解する

ここからは、

例題

筆者の主張に対してあなたはどう考るか。あなたにとっての●●と関連づけながら800字以内で論じなさい。

という例で考えてみましょう。

まずは

筆者の主張に対して/あなたはどう考るか。/あなたにとっての●●と/関連づけながら/800字以内で/論じなさい。

のような形で、適度に設問文を分解して(=区切って)いきます。

ところで、今回の問題で書かなければならないことは何でしょうか。

書くべき要素
  1. 筆者の主張
  2. それに対する自分の考え
  3. ●●の意義
  4. ●●の意義と自分の考えの関連性
  5. 論拠

この5つが書かれていなければなりません。ざっと問題を読むだけでは、これらの要素の中に漏れが出てくる可能性があります。①〜④のどの要素も漏らすことなく考え、解答していくために、まずは問題を分解していきましょう。

問われていることの把握②:問われていることをチェックする

先ほど細かく分解した設問文のうち、「問われていること」をチェックしていきましょう。

筆者の主張に対して/あなたはどう考るか。/あなたにとっての●●と/関連づけながら/800字以内で/論じなさい。

今回の問題で問われていることが

書くべき要素
  1. 筆者の主張
  2. それに対する自分の考え
  3. ●●の意義
  4. ●●の意義と自分の考えの関連性

であると把握できますね。ここに加えて、小論文には論拠が必要なので、⑤論拠も書いていかなければならないのは言うまでもありません。

問われていることの把握③:資料を見る/課題文を読解する際に意識すべきことをチェックする

設問文では「あなたにとっての●●と関連づけながら」と求められています。

したがって、筆者の主張に対する自分の意見も「●●」と関連する切り口で書く必要があるわけです。そこで、「筆者の主張」を読み取っていく際に、「●●」に関連する箇所があれば特に注目するべきであることが把握できます。

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このように、課題文が提示されている小論文の場合は課題文を読む際に意識をしておきたいポイントを把握した上で課題文の読解に入りましょう。

もちろん、「意識したいポイント『だけ』読む」ということは厳禁です。きちんと課題文の全体を読解してください。あくまで「見逃さないように気を付ける」程度の意識に留めたいところです。

資料が提示されている場合も同様です。設問文から「資料を見る際の切り口」「読み取るべきポイント」を把握できる場合があります。丁寧に設問文を読み、意識すべき内容が示されている場合はチェックしておきましょう。

資料/課題文の読解

課題文の読解については、現代文の読解と基本的に同様です。他の大学では現代文も使うという人はもちろん、「小論文のみ(=現代文は使わない)」という人も、現代文学習に取り組みましょう。

資料についてはその形式に応じて注目すべきポイントが存在しますが、共通テスト第3問などの「実用文の読解」が参考になるかもしれません。

構想:「構成メモ」をつくる

課題文や資料を丁寧に読解したら、今度は構成を考ていく段階です。ここでどこまでしっかり考られるかが小論文の完成度を左右すると思ってください。
この段階では「構成メモ」を作っていきます。

構成メモに書いていく際には次の6つのステップで検討していくと良いでしょう。

構成を考える
  1. テーマを考える
  2. 論点を考える
  3. 論点・テーマに対する自分の主張を考える
  4. 論拠を列挙する
  5. 実際に書く要素を選定する
  6. どのような構成で書くか「序論→本論→結論」をベースに考える

それぞれメモをとりながら考ていきましょう。
詳しく見ていきます。

構成メモを作る①:テーマを考える

先ほども述べたとおり、小論文では「問われていることに解答する」ことが求められます。自分が今から書こうとしている答案の「テーマ」をきちんと確認しましょう。

例題

人間の創造性について、この文章をふまえて、あなたの考えを320字以上400字以内で述べなさい。

(2023年 慶應義塾大学 文学部 設問Ⅱ)

「理解」のパートで説明した手順に沿ってこの設問の「テーマ」を考えてみましょう。分解・設問で問われていること(要求されること)をチェックするのでした。

人間の創造性について、/この文章をふまえて、/あなたの考えを/320字以上400字以内で/述べなさい。

今回のテーマは「人間の創造性」です。

構成メモを作る②:論点を考える

次に、実際に論じていく上での「論点」を設定していきます。同じテーマであっても、「論点」すなわち切り口が異なれば論じる内容も変わってくるものです。自分がどのような切り口で論じていくか、きちんと「論点」を考えましょう。

論点を考えるために重要なのは、自分で「問い」を設定してみることです。課題文や資料、設問文で与えられたテーマに対して「問い」の形で深掘りしていきます。先ほどの問題を例に考えてみましょう。

例題

人間の創造性について、この文章をふまえて、あなたの考えを320字以上400字以内で述べなさい。

(2023年 慶應義塾大学 文学部 設問Ⅱ)

今回は「人間の創造性」がテーマでした。そこで、まずは「人間の創造性とはどのようなものだろうか」「そもそも人間に創造性は必要なのだろうか」「人間の創造性はどのようにして手に入れられるのだろうか」など、問いを設定してみます。
※ただし、今回の場合は課題文を踏まえる必要があります。

ここで立てた問いに「論拠」とともに回答していくことで、これから解答として書いていく「論」というものが成立していきます。

構成メモを作る③:論点・テーマに対する自分の主張を考える

いよいよ、具体的に自分の「論」を考えていきます。この段階では、先ほど設定した問いに対する解答を考えていきましょう。

この際、最初から1つの問いに絞って答えるのではなく、できるだけ全ての問いに答えるつもりで考えていきます。
先ほどの例であれば、

「人間の創造性とはどのようなものだろうか」
「そもそも人間に創造性は必要なのだろうか」
「人間の創造性はどのようにして手に入れられるのだろうか」

という3つの問いを立てたので、それぞれに対する解答を考えます。多くの場合、これがそのまま自分の主張になっていきます。

構成メモを作る④:論拠を列挙する

小論文では「論理的に」文章を書いていくことが求められています。論理的に文章を書いていくためには、自分の考え(主張)が正しいと言える根拠(=論拠)が欠かせません。

先ほど考えた問いと答えの関係に注目してください。それぞれの問いに対して、そのように答えることができる理由を考えていきましょう。その際、具体例を用いても構いません。

論拠を考える際に意識しておきたい3つのポイント

論拠を考える上でまず意識しておきたいポイントは次の3つです。

論拠を考える
  1. 「なぜ」そう言えるのか考える
    こじつけ・独りよがりにならないような理由を挙げる。「本当にそう言えるのか」確認しましょう
  2. 実例がないか考える
    自分が主張したことが現実に(かつ一般的に)起こっているのであれば論拠になり得る
  3. 論拠を1つ見つけたらOKというわけではない
    一つの結果の背後には複数の原因・理由があることは多いものです。最初から絞りすぎず、多角的に考えましょう。
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構成メモを作る⑤:実際に書く要素を選定する

ここまでの段階で、小論文を書くのに必要な要素を考えてきました。その中から「実際に書く要素」を選んでいきます。

大学入試の小論文には基本的に、字数制限があります。限られた字数の中で論理的な文章を完成させるためには、論点を絞ることが欠かせません。多くのことを論じようとすれば、すべてが中途半端な答案になってしまいます。

答え(主張)と論拠のつながりが明確になっているものを選んで書く

先ほど考えた「問い→答え+論拠」の中で、答え(主張)と論拠のつながりが明確になっているものを選んでいきましょう。

選ぶ際のポイントは、「最も説得力のある、筋の通った論はどれか」という観点で見ていくことです。論拠については、つながりの強い順に番号を振っておくことをおすすめします。

ここまでに列挙してきた問いと答え、論拠はどれも自分の中ではある程度つながりがあり、説得力があるように思えるでしょう。とはいえ、第三者が見たときの印象は異なるかもしれません。「他の人に納得してもらうならどれか」という観点で、どの要素を書いていくか決定してください。

構成メモを作る⑥:どのような構成で書くか「序論→本論→結論」をベースに考える

最後に、「構成」を考えます。基本的には「序論→本論→結論」の形で考えると良いでしょう。

構成の基本
  • 序論:テーマ・論点を示す
  • 本論:主張・考えを論拠とともに展開する
  • 結論:主張・考えのまとめ、補足

まずは論点をきちんと設定し(問題によりますが、問いの形のままでもOKです)、その後で自分の論を展開します。最後に、答案で述べてきたことから導かれる結論(問いに対する答え)を簡潔に述べて、答案をまとめましょう。

字数の調整は「本論」の部分で行う

字数の調整は主に「本論」の部分で行います。

字数が足りないように思う場合は複数の論拠を提示する、具体例を挙げるなど、説得力を高める方向で字数を調整してください。逆に、字数を減らさなければならない場合は、主張と繋がりの弱い論拠を削る、具体例を削るなどして調整していきます。

もちろん、「序論→本論→結論」という「型」が全てではありません。これを基本として「ここからはじめる」というイメージを持ち、柔軟に考えていきましょう。

作成:答案を書き上げる

構成メモを作りながら構成を固めたら、いよいよ答案を作成していきます。基本的には構成メモを作った段階で考えた通りに書いていけば良いのですが、次の2つのポイントを意識してください。

答案作成時のポイント
  • 原稿用紙を正しく使う
  • 正しく伝わる文を書く
    長すぎる文は避ける・正しい文構造で書く・適切な語彙を用いる・文末表現に注意する・読点は意識的に用いる

特に指定のない限り、小論文は原稿用紙の使い方に従って書いていきます。

確認:自分の答案をチェックする

完成した答案は必ず読み直しましょう。確認作業を通して誤字脱字はもちろん、伝わりづらい表現や接続表現の誤りといった表記面でのミスは防げるものです。当然、内容は間違っていないかどうか、論理的な文章になっているかどうかについても確認してください。

答案のチェックポイント

特に意識しておくべきチェックポイントは以下のとおりです。

答案のチェックポイント
  • 誤字脱字は存在しないか
  • 文構造は正しいものになっているか
  • 接続表現は適切か
  • 事実誤認はないか
  • 曖昧な記憶を「事実」として述べていないか
  • 引用がある場合は正確に引用できているか
  • 特殊な例を無理やり一般化していないか
  • 主観的な考えと客観的な事実を混同していないか
  • 繋がりのない(弱い)例を出していないか

他にも、「自分のやりがちなミス」を記録しておき、確認する際には重点的にチェックすることも重要でしょう。自分のやりがちなミスを把握するために、添削指導を受ける中で指摘されがちな点は必ず記録しておくようにしてください。

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小論文学習は「自分で進められるもの」から始める

小論文の学習は、自分一人で行える部分と、「添削指導」のように他者の力を必要とする部分があります。

自分一人で進められる学習
  1. 「読む力」を学ぶ
  2. 「考え方」を学ぶ
  3. 「構成メモの作り方」を学ぶ
  4. 「書き方」を学ぶ
  5. 「知識」を習得する
他者の力を必要とする学習
  1. 演習して添削指導を受ける
  2. 添削を元に書き直す

まずは自分一人で取り組める部分から学習を始めましょう。
拙著『スマートステップ小論文』では、「自分一人で取り組む小論文学習」の部分を細かく分解し、講義+問題演習で一つ一つステップアップしていけるようになっています。小論文学習のスタートにぜひ取り組んでみてください。

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並行して、添削指導をお願いできる専門家・サービスを見つけましょう。学校や塾・予備校の先生の添削指導を受けられるという人はその機会を十分に活用してください。

ただし、小論文の添削は労力と専門性を必要とするものですし、先生方にある種の負担を強いることにはなるので、無理にお願いするのは難しいかもしれません。そのような場合は通信添削サービスを活用するのも一つの手段です。Z会の通信教育など、良質な教材と的確な添削指導を行ってくれるサービスを選択することをお勧めします。

小論文という科目は、読解力や基礎知識、分析力、論理的思考力、表現力といった、学問の基礎になる力を総合的に問う科目です。小論文の学習を通して、大学での学びにつながる基礎的な力を養っていってください。

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Educational Loungeでは法人様向けサービスとして「e-Lounge」という小論文指導・添削サービスを提供しています。

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※本記事はプロモーションを含む場合があります。

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