こんにちは。数学講師の大塚志喜です。
今回の記事では、「集合」について解説していきたいと思います。
集合の考え方は、しっかりと身につけば数学全般で役に立つとても大切な分野です。
考え方だけでなく記号の意味やその使い方についてもしっかりと勉強していきましょう。
目次
集合とは「ある条件を満たすモノ全体の集まり」
まずは集合をしっかりと定義しましょう。数学での集合とは、
のことです。
さらにここでいう条件とは、「満たすか満たさないかが客観的に判断できる条件」のことです。なので「けっこう大きい数」など、人によって解釈が変わるようなものはここでは条件とは言いません。
集合を作っているひとつひとつのモノのことを、その集合の「要素」や「元」といいます。たとえば、$A$を$10$以下の偶数全体の集合とすると、$A$は$2$、$4$、$6$、$8$、$10$ を要素に持つ集合であると言えます。
集合で用いる記号
ここで、記号を導入します。
$x$が集合$A$の要素であることを$x \in A$、$y$が集合$A$の要素ではないことを$y \notin A$と書きます。
この記号は知っていると今後とても便利になりますので、しっかりと覚えてください。
集合の表し方には2通りの書き方がある
次に、集合の表し方です。
すべて言葉で説明していては大変ですので、集合には書き方があります。
書き方には次のふたつの方法があります。
- 外延的記法
- 内包的記法
集合の要素をすべて書く「外延的記法」
外延的記法とは、「集合の要素をすべて書いてしまう」表記方法です。
例えば先ほどの集合$A$は、
$$A = \{ 2,4,6,8,10\}$$
のように、全ての要素を列挙し、中括弧でくくります。
外延的記法では、見ただけで集合の要素が全てわかりますので、その集合がどんな集合なのかがとてもわかりやすいです。
外延的記法には弱点がある
実は外延的記法には弱点があります。それは、要素の数があまりにも多いときに困ってしまうということです。
要素が無限にありますので、書き切ることができませんよね。
このように要素が無限にある集合や、無限とは言わなくても例えば要素が$5000$個あるような集合の要素を全部書き出すなんていうのは現実的に無理があります。
なので、このような場合でもその集合がどんな集合なのかわかるような記法が必要なわけです。
要素の数があまりにも多いときに活用する「内包的記法」
そこで登場するのが「内包的記法」になります。
具体例で説明していきましょう。
のように表記します。$|$の前に書いてある$x$とは、集合の要素を仮に$x$と書いているだけです。
$|$の後ろには、その$x$が満たす条件が書いてあります。
なので、今回の場合は、
と言っています。
つまり、$A$は$-2 < x < 1$を満たす実数$x$すべての集合になります。このような$x$は無限に存在しますから、今回の集合を外延的記法で表記することは不可能です。
そんな集合であっても、内包的記法を用いることで非常にシンプルに書き表すことができます。
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「部分集合」「共通部分と和集合」「空集合」「補集合」