もう混乱しない!十分条件と必要条件、必要十分条件を徹底解説

こんにちは。数学講師の大塚志喜です。

今回の記事では、必要条件と十分条件について解説していきたいと思います。

この分野は共通テストで問われることもかなり多く、しっかりと抜け目なく身につけておきたい分野です。早いうちに基本からしっかりと固めておきましょう。

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命題とは?

まずは、命題について解説していきます。

命題とは、「正しいか正しくないかが客観的に定まる文や式」のことをいいます。

命題が正しいとき、「その命題は真である」または「成り立つ」といい、正しくないとき、「偽である」または「成り立たない」といいます。正しいか正しくないかが客観的に定まらない文や式は、命題とはいいません。

例えば、「$100$は自然数である」は命題で、この命題は真です。一方で、「$100$は大きい数である」は命題ではありません。大きいか小さいかは人によって基準が異なりますので、「客観的に」正しいかどうかが判断できませんよね。

「クジラは魚類である」は命題か

では練習です。「クジラは魚類である」は命題でしょうか。考えてみましょう。

「いやいやクジラは哺乳類でしょう? こんなの間違えてるから命題じゃない!」なんて思ってしまいませんでしたか?
その通りです。クジラは哺乳類ですから、「クジラは魚類である」という文は「正しくないと客観的に判断できます」よね?

なので、この文は命題です。命題は命題でも、偽の命題です。気をつけてくださいね。

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命題の真偽を判定していく方法

では、一般に「命題の真偽」はどのように判定していくのかをお話ししていきます。ここを適当に流してしまうと最後まで曖昧になってしまいますから、しっかりと理解しておきましょう。

命題は「PならばQ」という構造をしている

一般に命題は、「$\rm{P}$ならば$\rm{Q}$」という構造をしています。

ただし$\rm{P}$、$\rm{Q}$ は、例えば$x < 1$のように、$x$にさまざまな値を代入するごとに真偽が決まる文がきます。このような文を「($x$についての) 条件」といいます。このときの条件$\rm{P}$を命題の「仮定」、条件$\rm{Q}$を命題の「結論」といいます。

まずは何が仮定で何が結論かをしっかりと把握しましょう。

ここがよくわかっていなかったり、逆になったりしてしまうと完全に違う方向に向かっていってしまいますので気をつけてください。

命題が真である/偽であるとはどういうことか

その命題が真であるとは

条件$\rm{P}$が成り立てば、どんなことがあっても条件$\rm{Q}$も成り立つ

ことです。また、命題が偽であるとは

条件$\rm{P}$が成り立っているにも関わらず条件$\rm{Q}$が成り立たないような事例がたった一つでも存在すること

です。ちなみにこのような事例のことを「反例」といいます。簡単に言い換えると、命題が偽であるとは、「反例がたった一つでも存在すること」です。

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十分条件か、必要条件かの判定

さて、それでは今回の記事の主題に入っていきましょう。十分条件と必要条件についてお話ししていきます。

2つの条件$\rm{P}$、$\rm{Q}$について、

「$\rm{P}$ならば$\rm{Q}$が真」であるとき、「$\rm{P}$は$\rm{Q}$の十分条件である」といい、「$\rm{Q}$ならば$\rm{P}$が真」であるとき、「$\rm{P}$は$\rm{Q}$の必要条件である」

といいます。

また、$\rm{P}$が$\rm{Q}$の十分条件でもあり必要条件でもある場合には、

「$\rm{P}$は$\rm{Q}$の必要十分条件である」または「$\rm{P}$と$\rm{Q}$は同値である」

などといいます。これは定義ですので、とりあえずしっかりと覚えなければなりません。実例を通して、練習してみましょう。

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十分性、必要性の判定練習

次の例を考えてみましょう。ただし、$x$、$y$、$z$ は実数とします。

例題

条件$\rm{P}$:$x + y + z^2 = 0$、条件$\rm{Q}$:$x = y = z = 0$について、次の4つの中から正しいものを選んでみましょう。

  1.  $\rm{P}$は$\rm{Q}$ の十分条件であるが必要条件ではない。
  2. $\rm{P}$は$\rm{Q}$の必要条件であるが十分条件ではない。
  3.  $\rm{P}$と$\rm{Q}$は同値である。
  4.  $\rm{P}$は$\rm{Q}$の必要条件でも十分条件でもない。

どうでしょうか。

これをしっかりと判定するコツは、「$\rm{P}$ならば$\rm{Q}$」と「$\rm{Q}$ならば$\rm{P}$」を完全に別物として考えることです。先ほどもお話ししましたが、過程と結論が逆になってしまうだけで全く異なる命題になってしまいます。

頭の中もごちゃごちゃになってしまいますから、ここは一気に考えようとはせず、必ず別々に考えていくようにしてください。

PならばQ

まずはこちらから考えてみましょう。

$\rm{P}$が仮定ですから、$x + y + z^2 = 0$をみたす$x$、$y$、$z$を考えます。この中で、たった一つでも条件$\rm{Q}$である$x = y = z = 0$をみたさない事例が存在すれば、この命題は偽となります。

どうでしょうか。

$x = 1$、$y = -1$、$z = 0$ のときを考えてみましょう。このとき、$\rm{P}$は成り立っていますよね?
しかし、$\rm{Q}$は成り立っていません。

したがって、「$x = 1$、$y = -1$、$z = 0$」が反例となりますので、この命題は偽となります。

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QならばP

「$x = y = z = 0$」が成り立っていれば、そりゃあ絶対に「$x + y + z^2 = 0$」になりますよね。ということでこちらの命題は真です。

以上により、$\rm{P}$は$\rm{Q}$の必要条件であるが十分条件ではないことがわかりましたので、正しい選択肢は2ということになります。どうだったでしょうか。

まとめ

今回の記事はいかがだったでしょうか。
まずは十分条件になっているかどうか、必要条件になっているかどうかを確実に判定できるようになることがスタートです。

これをしっかりと身につけた上で、今度はそれを利用したり、そもそも十分条件や必要条件とはどんな状況を表しているのかを考えていくようにすると、より内容が身につきますので、教科書や問題集の例題、練習問題を利用して演習を積んでいってくださいね。

それではまた次の記事でお会いしましょう。

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※本記事はプロモーションを含む場合があります。

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