早いもので私大入試も本格化してから随分と立ち,
国公立もあと数週間というところまで迫ってきました。
受験生の皆さんはいろんな思いを巡らせていることでしょう。
それぞれの不安と孤独
高卒生の中には,昨年の入試のことを思い出して不安で仕方ない人もいるでしょう。一方で現役生の中には,初めて経験する大学入試に呑まれてしまっている感覚を抱いている人もいるかもしれません。
本命の大学を前に受験した大学の結果が思わしくなく,どうしようもない不安に襲われている人も,迷いに迷いながら出願大学を決めた人もいるでしょう。
周囲から大学進学を反対され,あるいは様々な事情から,想像を絶する逆境の中での挑戦を強いられている人だって少なくないのではないかと思います。
いずれにせよ,言いたいことはただ一つ。
最後まで自分の可能性を信じてほしい。
暑苦しいとかキレイゴトだとか偽善者ぶるなとか,
まぁいろんな反応は予想できなくもないですが,
それでもやっぱり言っておきたいのです。
「決断」の価値
去年の結果を受けて再挑戦を決意した人,今年初めて受験に臨む人,第一志望に挑戦する人,受験校を迷った末に変えた人,それぞれいろんな背景があって今の場所にいる。
背負っている物だって人それぞれ違うでしょう。
でもきっと全員に共通して言えることは,
「そこを受ける(/受けない)と決断した」
ということ。
最終的に決断したということは,
それだけで十分誇れることだと僕は思います。
それが望み通りの選択であれ,苦渋の決断であれ。
他人には「無謀だ」と言われるかもしれない。
周りには「逃げだ」と言われるかもしれない。
それでもあなたは決断した。
何よりもその事実が尊く美しい。
周りに何と言われようとも,そこがあなたの第一志望なら決して卑屈になることなく,あとはそれを自らの手で掴めるように。
あるいは自分の決断を後悔していると感じるのなら,将来「あの選択をしてよかった」と思えるように日々を充実させていくだけです。
本当に大切なのはここからなんです。
受験にまつわるエピソード
偉そうなことを語れるほど人生経験が豊富ではないし,講師としてのキャリアだってEducational Loungeに寄稿してくださっている先生方と比べても決して長くない僕ですが,それでもやはりこの時期にはいろんな受験を思い出します。
そしてそのそれぞれにそれぞれの思いがあり,
物語がありました。
第一志望に合格した生徒,推薦入試は失意に終わり一般入試で合格できた生徒,会場への道中で何度も吐いたという我が弟,何となく指定校推薦で入った大学で人生を賭けるものに出会えた友人や,家庭の事情で受験を回避せざるを得なかった友人,そして様々な事情から泣く泣く受験校を変えた生徒たち。
体調に不安を抱えながらも自分の夢に向けて必死に努力した生徒,自分の本当にやりたいことを追求するために再挑戦を決めた生徒。当初思い描いていた本命とは違う場所に進学したけれど,その場所で必死に頑張って夢を叶えた生徒…。
不安と戦いながら,逆境と戦いながら,時には後悔しながら,それでも前を向いて何とか未来を切り開こうと必死になっていた,そんな人たちの記憶を消し去るなんて,僕にはできない。
「そんなん聞かされても…」と思うかもしれないけれど(苦笑),
ここまで読んでくれている受験生たちにも,本当にいろいろな思いがあるでしょう。
でも今は,それぞれが抱いているその思いを大切に,ただ前だけを見ながら受験に向かってほしいと心から思います。
枡見先生からの原稿を読んで
センター試験直後,
枡見先生から送られてきた原稿を読んだとき,僕の中でもこみ上げてくるものがありました。
以下抜粋
最後に,勝負を途中で投げ出さないこと。
受験シーズンは長い。
過ぎてしまえばあっという間だけど,
戦っている最中はとにかく長くしんどいものです。でもそれは他の受験生も一緒。我慢比べ。
投げ出したら負けです。問題が解けずに失敗して落ち込んだり,途中で不合格通知が届いて,心が挫けそうになることもあるかもしれません。
それでも,明日のために今できることをやりましょう。私大がダメでも国公立で勝てばいいじゃないか。
前期がダメでも後期で勝てばいいじゃないか。そういう心意気で試験に臨みましょう。
あとは体に気をつけて。読み終わったら画面を閉じてペンを持ちましょう。
君の受験に幸運を。
やっぱりいろいろと気になる時期でしょう。
隣の芝が青く見えるかもしれません。
「それでも,明日のために今できることをやりましょう」
その積み重ねが後々大きな何かを生み出してくれると信じることです。
小さき者へ
最後に,有島武郎「小さき者へ」の中で私の特に好きな,最後の一節を引用して結びの挨拶に代えさせてもらいます。
皆さんの受験に幸あらんことを。
応援しています。
小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。前途は遠い。そして暗い。しかし恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。
行け。勇んで。小さき者よ。