こんにちは。安田です。
2024年度の共通テスト、受験されたみなさんはお疲れさまでした。
今回は、高1・高2生に向けて、今年度の共通テストを踏まえた「漢文の学習指針」をお話ししていきます。
2024年度共通テスト(本試験)の問題はこちらからダウンロードできるので、ぜひ実際に取り組んでみてください。
目次
2024年度共通テスト(漢文)の出題について
全体概要
- 【詩】杜牧『華清宮』
- 【資料】蔡正孫『詩林広記』、程大昌『考古編』
今回は、晩唐の詩人である杜牧の詩、およびその内容について補足言及している4種の関連文との組み合わせとなりました。
今回の問題全体でキーになっている楊貴妃は、世界史では重要人物として学習する等、他科目との関連もかすかに感じられます。
そうでなくとも、便覧レベルの予備知識があるとそれだけでスムーズに解ける問題もあるので、日頃から丁寧に学習している人は親しみやすい内容でしょう。
ちなみに、2023年度は白居易の文章が出題されましたが、彼の代表作である『長恨歌』は玄宗と楊貴妃を題材にしています。
設問分析
それぞれの設問は以下のようになっていました。
問1 漢詩の形式と押韻
選択肢が律詩→絶句の順になっているので取り違えのないよう、慎重に確認しましょう(絶句→律詩の順で学ぶ人が多く、先入観による見落としがあり得るため)。
韻を踏んでいる漢字の音読みはしつつも、日本語読みは絶対ではないため、押韻はルールを覚えておきましょう。
問2 語彙の意味
センター試験時代から続く出題です。
(ア)「百姓」は「ひゃくせい」と読み、「農業を営む人」の意味である「百姓(ひゃくしょう)」とは微妙に異なるものの、選択肢的には結びつけて考えやすいのではないかと思います。
(イ)「人口に膾炙する」は漢字練習で覚えている人が多いかもしれません(受験対策用の漢字問題集にはよく掲載されています)。
(ウ)「因」は代表的な接続詞で、覚えるべき語です。
問3 返り点と書き下し文
これもセンター試験時代から頻出のタイプです。
「有所」の「有」はメジャーな返読文字ですから、ここで「所有り」と読めるだけでもある程度絞れます。
問4 資料を活用した漢詩の解釈
客観的に、資料から汲み取れる内容のみをきちんと抽出する必要があります。
同時に、詩の第四句もしっかり読むことが解釈ズレを防ぐポイントです。
複数テクストの相互参照が活きる問題です。
問5 資料文の読解
指定された2つの資料文を正しく読めることが不可欠。
時系列の整理をしつつ、ⅢとⅣの関係を掴めるかが鍵になります。
問6 資料を踏まえて漢詩を鑑賞
いわゆる内容把握の問題です。
ポイントは【詩】の鑑賞として正しいものを選ぶ、という点です。
資料から分かることと、漢詩から分かることを混同せずしっかり整理することが必要になります。
28字の詩の中から読み取れないことは答えにならない、というのを強く意識できるかが肝です。
2025年度共通テスト受験生が第4問対策で意識しておくポイント
まず、国語全体の構成が変わり、5大問90分になる予定ですから、時間の使い方は今年度までと変わります。
また、配点も変わり、古文・漢文で90点になります。
ですが、多少は本文や設問の分量変化があるにせよ、レベルや出題傾向に大きな違いは出ないと考えています。
基礎知識を固め、読解演習で経験を積むというスタンダードな学習を積み重ねていきましょう。
1.ベースとなる知識を習得する
文構造、語彙、句形の知識は一通り身につけておきましょう。
日常の学校での授業に加えて、問題集に1冊は取り組んでおくといいと思います。
2.複数テクストの読解を練習する
共通テストになってからの複数テクスト形式はそのまま続くと思われます。
過去問や各予備校の実戦問題集などを用いて、これらもポイントを意識しながら練習するといいでしょう。
考えられる変化としては、漢文の問題の中で現代語での説明などと絡めて文章が複数、という形式はあり得ます(今年度の古文問4のような形)。
いずれにせよ、意識を置くべき点は同じです。
しっかり備えておきましょう。
3.漢詩をしっかり学習する
また、センター試験終盤から共通テストに移行してのこの数年、漢詩の出題が非常に多くなっています。
2023年度は本文こそ詩ではなかったものの超有名な詩人の書いた文章でしたし、やはり「詩」は漢文を学ぶ上では重要な位置にあるものです。
漢詩についてもしっかり学習しておく必要があります。
2025年度共通テストに向けた漢文学習のポイントまとめ
大学入学共通テストの最大の対策は「早いうちからしっかり勉強する」ことです。
漢文学習の要点をまとめます。
- 文構造、語彙、句形、漢詩の知識を身につける
- センター試験時代の過去問も活用して演習を積む
- 現代文での漢字・語彙学習をしっかりやる
- 日々の授業や定期考査学習を通して背景知識にも触れていく
- 他科目で学んだ知識と関連付けていく
月並みですが、特別な勉強は今のところ必要ありません。
日々の授業を通してコツコツと知識を広げつつ、演習を通して実戦力を養いましょう。
漢文は対策に回す時間が不足しがちな科目です。
他の科目が本格的に忙しくなる前に、いち早く取り掛かりましょう。