世界史学習において、文化史というのは一つの「鬼門」です。
教える側からしても、文化史はその力量の差が如実に出てしまう分野といえます。それは普通の通史のように「用意されたセオリーとしての流れ」が存在しないため、ともすれば「事項の羅列」を繰り返してしのぐ羽目になるからです。
いったいどのようにして克服していけばよいのでしょうか。
今回は、世界史の文化史克服法を解説していきたいと思います。
目次
世界史の文化史も政治史と関連づけ、ジャンルごとに時代をつなぐ
「流れ」なきところに「流れ」を見出す。これが世界史での文化史克服の第一歩です。
そのためには、以下の2点を意識しましょう。
- 政治史との関連づけ
- ジャンルごとに時代をつなぐ
順に説明します。
文化史学習のポイント①:文化史を「政治史」と関連づけて学習する
世界史では、文化史の学習を政治史(通史)の後に行うのが一般的ですね。
せっかく政治史で歴史の「ストーリー」を頭に入れたのですから、それに文化史事項を紐づけてやれば良いのです。これはよく耳にするアドバイスだと思いますが、どうも難しく感じる高校生が多いようです。
登場人物が、政治史でいうと「いつ頃に活躍したのか」書き出してみる
その場合はまず、文化史に登場する人物が、政治史でいうと「いつ頃に活躍したのか」を書き出してみましょう。
これは高校生が自分一人で取り組みやすい作業です。
もう少し歴史的内容に踏み込みたい場合は講義・参考書を利用する
もう少し歴史的内容に踏み込んだ高度な関連付けをしたい場合は、学びエイドに提供中の僕の文化史講座や、市販の参考書『タテヨコ総整理 世界史×文化史 集中講義12 新装版』(旺文社)などを参考にすることをオススメします。
文化史学習のポイント②:ジャンルごとに時代をつなぐ
文化史学習に関しては、教科書通りの単元の区切りにこだわらない方が良い場合があります。
たとえば、
という世界史後半における文化史の難所があります。これらは内容も膨大ですから、いっそのこと
などのように細かくジャンルを意識しながら時代をワープしていくのも手です。
つまり、絵画史ならば17世紀のバロック美術から20世紀の超現実主義まで通しでやってしまうのです。
文化史を正しく細分化して繋ぎ直すことで「流れ」を見やすくする
このやり方のメリットは、とにかく「流れ」が見えやすいこと。
定期試験のように時代が区切られている場合は難しいかもしれませんが、受験勉強では通史の学習が一定以上終わった後にまとめて文化史に取り組むことも多いため、このやり方は極めて有効です。
世界史の文化史を記憶に残すために使いたい3つのツール
さて、うまく「流れ」を演出しながら文化史に取り組む重要性は述べた通りです。
その上で、より「記憶に残す」ために推奨するツールを最後に紹介しましょう。
- 図説・資料集
- マンガ
- 高校倫理の参考書
文化史を記憶に残すためのツール――①図説・資料集
これらの重要性はいうまでもありませんね。
もちろん入試の図版問題にも強くなります。
オススメは『最新世界史図説 タペストリー』(帝国書院)と『ニューステージ世界史詳覧』(浜島書店)です。
文化史を記憶に残すためのツール②――マンガ
世界史の通史に関するマンガはたくさん出回っていますが、文化史学習にピンポイントで役立つものは少ないと言わざるを得ません。
そんな中にあって、イースト・プレスの「まんがで読破」シリーズは大変オススメです。
絵も新しくてクセがなく、一冊が長すぎず短すぎず、シリーズの出版点数も非常に多いといった長所があります。
受験勉強の息抜きにもちょうど良いでしょう。
文化史を記憶に残すためのツール③――高校倫理の参考書
世界文化史と内容的にリンクする部分が多く、きちんとした文化史理解をしたい学生に倫理の参考書はもってこいです。
オススメは相澤理先生の『大学入試 マンガで倫理が面白いほどわかる本』です。
世界史に登場する人物や思想を詳解したページは本編286ページ中、170ページもあり、ある種の「ハイレベル世界文化史参考書」と位置付けることもできるでしょう。
一度きちんと理解したものは忘れない
通常の世界史参考書では紙幅の都合で文化史の解説は簡単なものになりがちで、また学校や予備校の授業でも文化史に割ける時間はそれほど多くないのが現実です。そのため、「分かったたような分からないような」のレベルで文化史学習が止まっている受験生が大半でしょう。
もちろん文化史にハマりすぎては世界史の受験勉強としては失敗ですが、「一度きちんと理解したものは忘れない」のも事実。
今回紹介した本などを参考にしつつ、一歩進んだ理解を獲得すれば、遠回りしているようで実は得点力アップの近道かもしれません。