こんにちは、羽場です。
今回は第2章の第5節の短文演習、青木貞茂『キャラクター・パワー』の本文を読む際に押さえておきたいポイントを解説します。
現代文学習の第一歩を踏み出そうとしている皆さんに宛てて、2023年3月にZ会から拙著『スマートステップ現代文』が刊行されました。
現代文の学習に悩んでいる受験生、これから現代文学習を始めようと思っている受験生はぜひ手に取ってみてください。
今回の記事は問題を解いた上で、本書の解説と合わせてご覧いただくとより効果的です。
目次
比喩が何を表しているかを具体化する
今回の節テーマは「比喩の役割」でした。
どんな形であれ、比喩表現というのは日常会話でも文章でもよく目にし、耳にするものでしょう。
しかし、適切な「比喩」というのは書き手(話し手)の思いを印象深く、的確に伝えてくれるものです。
したがって、文章内に登場した比喩表現をきちんと把握することは、その比喩を通して筆者が伝えたい内容を的確に把握する上で役に立ちます。
第①段落の読解――明治期の日本人の思想状況
第①段落を見ていきます。
「明治期の日本」について述べているこの段落、まずは傍線部Aに注目しましょう。
当時の「日本人の思想状況」について、比喩を用いていますね。
この比喩が何を表しているのかを考えていきましょう。
比喩を具体化するために「『何を』『何に』たとえているか」考える
比喩を把握する際の基本的なポイントは次のとおりです。
本文中に比喩表現が登場した場合、「何を何にたとえているか」をきちんと把握しながら読み進めます。
今回は「二階建て」と言われていることから、直後の1文(「一階には〜並べてある。」)に注目できるはずです。
二階=西洋の学問
という内容をおさえます。
第②③段落の読解――戦後の日本人の思想状況
さらに、続く第①段落最終文で、その「二階建ての家(=日本人の思想状況)」について疑問が提起されています。
これを踏まえて第②段落の読解に入っていきましょう。
冒頭の一文(「やがて〜しまいました。」)の前半で、またしても比喩が用いられています。
「梯子」の意味については、前段落最終文で「一階と二階を行き来する」ためのものであると述べられていました。
そして、
二階=西洋の学問
でしたね。
つまり、当時の「日本人の思想状況」は日本人としての考えと西洋の学問がそれぞれ独立していて、その間をつなぐ(=「統合」する)ものが存在していなかったということを読み取ってください。
第二次世界大戦・敗戦後の日本人の思想状況の変化
こうした状況の中、日本(日本人)は第二次世界大戦・敗戦へと展開していくことになります。
ここからは戦後の日本人の状況が説明されていますね。
つながりをおさえましょう。
「梯子」が存在しないまま「二階建ての家」に住む、つまり、日本人としての考えと西洋の学問がそれぞれ独立していて、その間をつなぐ(=「統合」する)ものが存在していなかった状態で、さらに「アメリカ的な」思想が導入されていきました。
これを第③段落最終文の1文前(「しかも、〜のっている」)で、抽象化してまとめているということがおさえられれば今回の文章はOKです。
というわけで、これを踏まえて問題を解いていきます。
『スマートステップ 現代文』書籍情報
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第2章「読解スキル編」補講 | |
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