[連載小説]像に溺れる #10 SNSの亡霊――像に溺れる 五時間目開始のチャイムが鳴っても、ぼくはそこを動く気になれなかった。 鼻腔にはまだ、煙たいバニラの粒子が残っている気がする。 オレンジのパーマといい、妖しいバニ... 2020年11月21日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #9 空虚な像――像に溺れる 昼休みの教室が苦手で、いつも四時間目のチャイムと同時に教室から抜け出している。 弁当のにおいが入り混じって、それだけでも気分のいいものではないのに、そんな中で参... 2020年11月14日 鹿間 羊市
コラム 2周年に寄せて 本日、Educational Loungeは公開2周年を迎えました。 開設当初はどこまで続けられるかも需要はあるのかもわからない状態だったにもかかわらず、無事に... 2020年11月8日 羽場 雅希
[連載小説]像に溺れる #8 淘汰されるべきもの――像に溺れる ぼくはぼくの像が、現実に他人の思考の中心点として機能する可能性について想像した。 それはきっと気分がいいものだろうと思われた。 ぼくはスマホのインカメラで自分の... 2020年11月7日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #7 像の交錯――像に溺れる 雨を含んだ重たい雲がにわかに現れ、熱をもった地表に蓋をし、余熱で地上を蒸し上げようとしていた。校門を出ると、水分を含んだ土のにおいと下水の腐臭が入り混じり、篭も... 2020年10月31日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #6 注釈を加えているもの――像に溺れる ヤナガワサンが停学処分となってからも、ぼくの頭は彼女のオレンジのパーマで占められ続けていた。それはあまりに鮮明なイメージとして焼き付いていたので、ぼくは目の前の... 2020年10月24日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #5 内面世界による救済――像に溺れる 像には「内側」が存在しない。像はいかなる意思も記憶も所持することがない、単なるデータの塊として存在している。それらはゲームのグラフィックのように、コードによって... 2020年10月17日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #4「像」の世界——像に溺れる 自宅の最寄りの駅からは、よく手入れされた並木通りが南に向かってまっすぐに伸び、日中の街並みはいつも陽光に包まれている。四つの車線の端には、並木と花壇のスペースが... 2020年10月10日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #3「孤立」という状況——像に溺れる 孤立という状況は物理的な距離とは関係なく生じるもので、彼女とぼくたちの間には精神的な断層のようなものができていた。ヤナガワサンの席の位置は変わっていないのに。 ... 2020年10月3日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #2場違いなオレンジ——像に溺れる チャイムが鳴り、担任の岡本先生が入ってくる。一斉に伸びる背筋とともに、気怠さと緩慢さはしまいこまれて、起立、気を付け、礼の号令が、ひと息ごとに夏休みを飛び越して... 2020年9月26日 鹿間 羊市