[連載小説]像に溺れる #51 永遠の光源――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 夜明けの宙ぶらりんの時間が、朝露となって森の中に残されている。 肌に触れる風がひんやりとした水気を含んで、そのうち露は消えてしまう。 人間の気分みたいだ。 太陽... 2021年9月4日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #50 万有の糸――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 風呂から上がって、全員同じ山吹色の服に着替えさせられた。 Tシャツをそのまま伸ばしたようなワンピースだ。 和を意識した牢獄みたいな、わけのわからない光景になって... 2021年8月28日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #49 ボサツ――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 案内された広間に出ると、体育館くらいのスペースに結構な人が集まっている。 服装はみんな普通で、偉いポジションの人とかではなさそうだ。 むしろ振る舞いに確信がない... 2021年8月21日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #48 優しい世界――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 停学を食らった。 髪を黒に戻せと言われて、戻さなかったからだ。 ひどく真っ当な因果関係に安心している自分がいる。 朝のホームルームの段階で呼び出され、学校から追... 2021年8月14日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #47 母の味――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 ひっきりになしに、ピンの弾ける音がフロアに響く。 何かと何かがぶつかる音は心地いい。 誰の玉だろうが、衝突する瞬間は同じ音を立てるから。 物理は平等でいい。 桂... 2021年8月7日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #46 卵とニワトリ――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 砂の上に美しい着地を決めてみせたので、私の髪はオレンジのまま、2学期が始まった。 なにやら因果がぶっ壊れているけど、事実そうなのだから仕方ない。 よくわからない... 2021年7月31日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #45 舞台装置――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 案内係に連れられトイレに向かい、便器に吐いたものを流す。 トイレは普通に新しく、洗浄機能がついていた。 水が湧くマークが、やたらシュールに見える。 洗面台で杯を... 2021年7月24日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #44 盃杯――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 祭壇は四本の柱に囲まれている。 柱の内側の空間は床が一段高くなっていて、照明の当たり方もアホみたいにつよい。 格闘技のリングに、金持ちの葬儀の祭壇をブチ込んだみ... 2021年7月17日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #43 善サイド――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 暫定パパの車は、酔っ払った桂木の軽とはえらい違いで、巨大な磁石に引っ張られるみたいにまっすぐ走る。 タイヤの音だけかすかに聞こえてくる暗い車内で、無言の暫定パパ... 2021年7月10日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #42 赤色灯――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 「てか腹減ったべ。どうする? おごるけど」 11時を回っていた。 暗闇でママが祈る姿が浮かぶ。 蛍光色の頭がそこにいるイメージがつかない。 シンプルに帰りたくな... 2021年7月3日 鹿間 羊市