[連載小説]像に溺れる #71 導師――像に溺れる 意識が溶け出していくような暗闇のなか、反復される祈りの言葉。 光とともに距離が消え失せ、空間がひとつのかたまりみたいに感じられる。 自分の声も他人の声も無差別に... 2022年1月29日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #70 示威――像に溺れる ヤナガワサンとファミレスで話した次の日、昼休み明けに登校してきたヤナガワサンの姿に、教室は静まりかえってしまった。 髪の毛が、ほとんど白に近い金になっていたのだ... 2022年1月22日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #69 発心――像に溺れる 「やながわさんは、あの団体の集まりに行ったことはあるの?」 口をついて出た疑問に、ヤナガワサンは眉間に皺を寄せながら「あー」と低く答えた。 「実際ヤベえんだけど... 2022年1月15日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #68 存在証明――像に溺れる 「気づいたんだけどさ」 ポテトを齧りながら、ヤナガワサンはそう切り出した。 午後4時前のファミレスは閑散としており、ぼくらの他には大学生と思しきカップルと、カウ... 2022年1月8日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #67 精算――像に溺れる 自転車の一件があってから、母から毎日のように塾に通うことを勧められるようになった。 レールを引き直そうという母の意図は明らかだったけれども、反抗的な感情は不思議... 2021年12月25日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #66 共鳴――像に溺れる ヤナガワサンとその母親には、血縁関係を想像させるものがないように思えた。 ヤナガワサンの鋭い目つきとは対照的に、母親の方はどこか疲れたような、焦点が定まっていな... 2021年12月18日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #65 回合――像に溺れる 警察から連絡があったことを告げる母の声には、苛立ちに加え、あまり耳にしたことのない焦りのトーンが混じっていた。 警察という単語とともに、焦りはぼくの脳にも伝染し... 2021年12月11日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #64 胸騒――像に溺れる 車窓越しに眺める日没後の空は、色あせはじめたジーンズみたいに、変質過程の一点を切り出したような曖昧な色彩を放っている。 電車が駅に止まって、開いたドアから吹き込... 2021年12月4日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #63 後暗――像に溺れる 冬の海辺に吹く風は、当然ぼくらのことなど配慮するはずもなく、冷気の塊を顔面にそのまま叩きつけてくる。 人気のない波打ち際を、老人に連れられた犬が跳ねるようにして... 2021年11月27日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #62 銹像――像に溺れる 海に着くまで、ヤナガワサンは自分について、あるいは親について、とても多くのことを語った。 それらは形のうえでは波瀾万丈なものだったけれども、ヤナガワサンの語り口... 2021年11月20日 鹿間 羊市