[連載小説]像に溺れる #59 白昼夢――像に溺れる 窓から見える空が明るみはじめ、表の道路を車がランダムに走り去っていく。 ファミレスの時計は5時を回っている。 結局、ヤナガワサンとの会話は進まず、ぼんやりと空間... 2021年10月30日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #58 不自由な像――像に溺れる テストが返却されてから、母の機嫌がはっきりと悪くなった。 家の中の酸素が薄くなり、胃に鉛が混入したみたいに体が重い。 通知表の成績は変わらなかったが、平均点が5... 2021年10月23日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #57 時間と自由――像に溺れる ファミレスの四人がけテーブルに、プリントやら教科書やらが散乱している。 ぼくの目の前には、ヤナガワサンと遠藤がいる。 どうしてこうなったのかわからないまま、ぼく... 2021年10月16日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #56 偽善――像に溺れる 雨に散った桜の花びらが、ぐちゃりぐちゃりと靴の裏にこびりつく。 まっすぐな通りに整然と並ぶ桜の木々は、道沿いにある大学の入学式を朗らかに祝っておきながら、雨に見... 2021年10月9日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #55 解放――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 ギターがギャンギャン唸っている。 会場の視線は坂本の消えた方向に集中している。 抜け出し、暫定パパの背後に忍び寄る。 勢いをつけ、股間に思い切り蹴りを入れた。 ... 2021年10月2日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #54 不浄――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 「お前はどうなりたいんだよ」 やたら上からの言葉が口をついて出てくる。 やっぱりそのまま、自分に返ってくる気がした。 「ないよ、そんなの。いなくなりたい」 坂本... 2021年9月25日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #53 寂――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 裸足になる。 夏なのに、水気を含んだ土はぴとっとつめたい。 ギターが鳴り止み、頭はクールだ。 水溜まりに足をつけてみる。 ぬるっとした感触に、身の毛がよだつ。 ... 2021年9月18日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #52 神木――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 しばらく川沿いに歩いてみることにした。 次はデカい岩だ。 このまま川沿いのどこかにあるのが自然な気がする。 いま視界にある岩よりデカいの、ときたらやっぱり上流だ... 2021年9月11日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #51 永遠の光源――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 夜明けの宙ぶらりんの時間が、朝露となって森の中に残されている。 肌に触れる風がひんやりとした水気を含んで、そのうち露は消えてしまう。 人間の気分みたいだ。 太陽... 2021年9月4日 鹿間 羊市
[連載小説]像に溺れる #50 万有の糸――像に溺れる【ANOTHER STORY―ヤナガワ―】 風呂から上がって、全員同じ山吹色の服に着替えさせられた。 Tシャツをそのまま伸ばしたようなワンピースだ。 和を意識した牢獄みたいな、わけのわからない光景になって... 2021年8月28日 鹿間 羊市