現行のセンター試験に代表される選択肢問題。
特に現代文の学習を始めたばかりの生徒から,
「2択まで絞って違う方を選んでしまいました」
という話をよく聞きます。
2択まで絞れたなら正解に近い!
と考えたい気持ちはわからなくもないですが,
残念ながら誤りは誤り。
何とかしていきたいものですよね。
どうしましょうか。
よくある誤解
実は現代文の学習に際し,
よくある誤解の一つが
「記号選択問題と記述問題では考え方が違う」
というもの。
もちろん「選択肢の選び方」や「記述解答の書き方」という部分については異なる部分もありますし,個別に練習していかなければならないのは間違いないでしょう。
しかしながら,多くの場合それが記号選択問題であろうと,記述問題であろうと根本の部分は変わりません。
根本とはすなわち,
①本文理解
②設問要求の理解
③解答のイメージ
という3つです。
本文内容がある程度理解できており,設問で要求されていること(=聞かれていること)を正確に読み取り,解答のイメージを掴んだ上で,そのイメージに沿った選択肢を選ぶ,あるいはそのイメージを的確に表現する。
こんなイメージです。
本文理解については別の機会に譲ることとして,
今回は②と③についてもう少し掘り下げていきたいと思います。
設問要求の理解
意外に思われるかもしれませんが,案外これを疎かにしてしまっている解答を目にする機会は多いものです。
「当てはまらないものを選べ」と言われているにも関わらず,「当てはまるもの」を選んでいるなどというのはよくある話ですし,「傍線部とはどういうことか」と問われているにも関わらず,傍線部に全く関係のない選択肢を選んでしまう,傍線部の理由説明が求められているにも関わらず,傍線部の理由になっていない…などなど。
なんというか,
「今日の朝は何を食べましたか?」
という質問に対して,
「朝ごはんを食べました」
と答えているかのような選択肢を選んでしまっていたり,
記述解答を書いていたりすることもしばしば。
※こんな選択肢が正解になる場合もないとは言いませんが。
こうした事態を避けるために,まずは設問文で問われていることをさらっと読むのではなく,主述関係などの文構造を意識しながら設問文を読み,問われている内容や求められていることを「きちんと」把握しましょう。
傍線部分析
そして,傍線部問題の場合はこれに「傍線部分析」というものがついてきます。
ところで,
「傍線部をよく読め」
「傍線部を分析しろ」
とはよく言われますが,
具体的にはどのように読んでいくのでしょう。
だって,
問題を解く際に,
自分なりにでも「よく読まない」受験生など
あまりいないのではないでしょうか。
にも関わらず,
「よく読め」と言われる。
ということは,
この「傍線部分析」にも
少しばかり注意点が潜んでいそうですね。
さて,私は傍線部分析の基本を,
①傍線部を含む一文の構造把握→②内容把握
だと考えています。
①構造把握とは,
- 主述関係の把握
- 修飾関係の把握
- 指示表現の把握
- 接続表現の把握
といった,
内容が複雑でも形から捉えられるところにまずは注目する。
そしてそれらを手掛かりに内容へとアプローチしていく。
そんなイメージです。
一文に目を向けることで,
そこに含まれる接続表現など,
解答する上で注目しておきたいポイントが
はっきりと目に飛び込んでくることも多いですし,
その文の主述関係を捉えることで,
傍線を含む一文のトピックがつかめ,
そうすることによって的外れな選択肢を選んでしまうリスクをかなり減らすことができるはずです。
また,「構造がわかれば内容がわかる」とまでは言いませんが,「構造がわからないのに内容がわかる」ということは多くないはずです。まずは形をきちんと把握すること。
次回,これを踏まえて次のステップへ進みましょう。
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羽場雅希——Masaki HABA
首都圏の予備校・高校に出講。
誰よりも自身が文章と戯れることを楽しみつつ、受講生の誰もが理解でき、かつ汎用性の高い考え方を提供する授業に定評がある。
「選択肢問題の捉え方〜2択で迷うという人へ〜①」への1件のフィードバック
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