[参考書紹介]『大学入学共通テスト 国語[現代文]予想問題集』

30年にわたって行われてきたセンター試験に代わるものとして今年度からの導入が予定されている大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)。
これまでにもすでに数冊の「共通テスト対策」問題集・参考書が出版されてきました。

未だ未知数な部分も多く、今年度の受験生にとってはかなりの不安材料になっているでしょうし、来年度以降の受験生たちにとっても気が気でないものでしょう。

そんな受験生たちの不安に寄り添うべく、2020年5月15日、KADOKAWAからすでに英数理社が刊行されていた『大学入学共通テスト』シリーズに現代文が加わりました。
著者は『無敵の現代文記述攻略メソッド』の著者でもある小池陽慈先生。
前作は発売後即重版という話題作となりましたが、今作でも切れ味あるアドバイスは健在です。

今回は少しばかり本書の内容に踏み込んでご紹介します。
とはいえ、「予想問題集」という本書の性質上、問題内容や解説に関する引用は基本的に避けていきますので悪しからず。

本書の構成


『大学入学共通テスト 国語[現代文]予想問題集』は[分析編][解答・解説編][問題編(別冊)]という三部構成からなっており、「予想問題」と銘打ってはいるものの「予想問題(と解説)だけ」収録されているというわけではありません。

[分析編]センター試験とは何が違うのか

試行調査や大学入試センター発表資料等に基づき、共通テストの分析をしている第一部は、共通テストとセンター試験の比較から始まります。

これまでにも多くの方が言及していますが、大学入試センター発表の「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針(令和2年1月29日一部変更)」によれば、「近代以降の文章(いわゆる現代文)」として出題されるのは、論理的な⽂章、⽂学的な⽂章、実⽤的な⽂章。

これまでにはない「実用的な文章」が出題されるわけです。

そして試行調査をみる限りでは、この「実用的な文章」にはグラフなどの資料が含まれる。おそらく共通テストでは「読む力」だけでなく「判断力」が求められると(私は)考えています。

このような「求められる力」について、本書の中では「共通テストで求められる学力」という項で詳しく分析をしています。そこで語られる「出題のねらい」「問題の解き方」に基づいて、受験生は戦略を立てながら共通テストに向けた準備をはじめていきたいものです。

[解答・解説編]解説の熟読→再読・再考

第二部は、別冊の問題冊子に掲載されている「試行調査・第1回」「試行調査・第2回」「予想問題・第1回」「予想問題・第2回」についての解説です。

「本文解説」「設問解説」ともに、非常に充実した内容になっています。

とはいえ具体的な中身に触れてしまうと効果が半減どころの騒ぎではなくなるでしょうし、さすがにここでは割愛しますが、発売前から個人的に注目していたのが第3問の「文学的文章」を小池先生がどのように(紙幅の制約がある中で)解説されるのかということ。

特に注目したのは第2回の試行調査で出題された韻文(詩)の解説。

 

おそらく多くの受験生が、これまでに学校の授業で詩に触れたものの、『入試対策』という観点でばどうすれば良いか悩ましいと感じているのではないでしょうか。

そんな悩みを抱えている人は、この問題に取り組んだ後で解説と向き合いながら詩をもう一度じっくりと読み直し、解き直し、考え直してみてもらいたいと思います。

 

無論、韻文に限らず様々なジャンルの出題が考えられるわけですし、これまで以上に授業で扱われる文学作品について選り好みすることなく真剣に取り組むことが大切であるのは言うまでもありません。

2回分収録されている「予想問題」については踏み込んだ話を避けますが、問題を見たときに、そして実際に解いてみたときに「おお……!」と思ったということだけは書いておきます(笑)。

共通テスト対策のための学習法と注意点


[分析編」の最後には「共通テスト対策の具体的な学習法」も記載されています。
これから共通テストに向けて勉強を始めたいという人は、このページを参考にしてみると良いでしょう。

ここまでざっと書いてきた通り、これまでに2回の試行調査で出題された問題についても本書ではかなり踏み込んだ解説がなされています。
なかでも、これまでに出題されてこなかった「実用的な文章」についての解説は多くの受験生が参考にするべき内容です。

とはいえ、注意点もあります。
著者である小池先生ご自身が本書の中で次のように述べられています。

ただし、これはあくまで今回の出題においてのみいえる観点です。いついかなる問題においても同様の作戦をとることができるなどという短絡的な発送はやめましょう。とにksく<リード文>をしっかりと分析し、〝その問題〟に取り組むうえでの戦略を、〝その問題〟ごとに抽出することが大切になります。

個人的には、共通テストに限らず現代文という科目は「汎用性と一回性の狭間で揺れる科目」だろうと思っています。

できるだけ汎用性のある考え方を身につけようとしながらも、目の前の文章と向き合う中でしか見えないものもある。
軸を作りつつも、しなやかな読解をしていきたいものです。

特に共通テストについては、どのような出題になるか、どのようなジャンルの文章でくるのかがこれまで以上に未知数なわけですし、「絶対にこう!!」と決めつけず、どのような問題でも「正確に読み取り、判断する」ことを目指して学んでいってもらいたいと思います。

おすすめの使い方

本書の使い方に関して、著者の小池先生がこんなツイートをされていました。

ほぼ同意見ですが、今の時期に本書を通して共通テストの傾向や特徴を掴み、(共通テストを「忘れ」るか否かは置いておくとしても)基礎的な読解訓練を積むと同時に、できるだけ様々なジャンルの文章に触れておく。

「この本の特長と使い方」の項にも書かれていることですが、取り組む際には

解説を、正解・不正解にかかわらず納得できるまで読み返す

これが重要です。

さらにいえば、解説を納得できるまで読み返した上で、問題・設問も(解き直すというよりも)読み直し、じっくりと考えることも重要でしょう。

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