[化学]モルの話①


こんにちは。枡見(マスミ)です。

今回は化学講師になって過去2兆回ほど聞いたフレーズ「モル計算が分からない」について書きましょうね。

 

「1molとはアボガドロ数個の集団のことです。アボガドロ数はおよそ6.02×1023です。だから1molとはおよそ6.02×1023個のことです。以上です。」

 

 

 

……おお,読者の怒りが画面から噴き出てくるようだ。
神よ,許したまえ。アーメン,ラーメン,ソーメン,ヒヤムギ…。

冗談はさておき,
上に書いてあることは別に何にも間違ってなくて,
1molって6.0×1023個のことなんですよ。
2molは12×1023個のことだし,
3molは18×1023個のことだ。
(面倒なので有効数字は2桁にしますね。)

で,「モル計算が分からない」という人が分かってないのは,
「いや,だから6.0×1023って数字はなんやねん(怒)」ってところだと思うんですね。たぶん。

これを説明するために「相対質量」の話からいきましょう。
今回から全3回,長くなるけど“ちゃんと”説明するから,
よーーーく読んで理解してくださいね。

 スケールの違い

まず,原子というのはとても小さい。
これはいいね?

陽子や中性子は1個で約1.67×10-24g,
0を並べて書くと
0.00000000000000000000000167gとなる。

これらが集まった原子の質量もおよそ10-24~10-23gのスケールだ。

これに対して,我々が実際に日常生活で扱う質量のスケールはどれくらいだろう?
食事1回なら大体ご飯200g,おかず100g,お茶150g…そんな世界で我々は生きている。

コップ一杯の水100gには何個の水分子が含まれているだろうか。
水分子1個の質量をおよそ3×10-23gとすると100g÷(3×10-23g/個)≒3.3×1024個となる。
水分子3.3×1024個がコップの中で動き回っているところを想像してほしい。

………………たぶん,想像できない。
そう,原子の世界と我々の日常の世界ではあまりにも数値のスケールが違いすぎて,さっぱりイメージできないのだ。
そこで,「新しい質量」と「新しい個数」の基準を作ろうぜ,という話になる。

 相対質量

まず,科学者たちは質量に対して新しい基準を作ることにした。
これを相対質量と呼ぶ。
相対質量の基準を決めるにあたっては色々と紆余曲折はあったけど,現在では「質量数12の炭素原子1個の質量を基準に12とする」と定められている。
12C 1個分の質量は1.993×10-23gなので,
これを「今日からお前の質量は『12』じゃ!」としてしまったのだ。
そうすれば他の原子の質量も比で表すことができる。

例えば,塩素原子35Cl 1個の質量は5.808×10-23gである。
したがって,35Clの相対質量をMClとすると以下の式で表すことができる。

12Cの質量:35Clの質量=12(基準):35Clの相対質量 』

数値を代入してみよう。
1.993×10-23:5.808×10-23=12:MCl よって MCl=34.97
このように他の原子についても,同じように計算すれば相対質量を求めることができる。
何か1つの原子の質量を基準にしてしまえば,全ての原子の質量は比で表せるのだ(ドヤ顔)。

 

※ 上の文章を読んでよく分からない人は,もうちょっと数値を簡単にしよう。
例えば,マスミの体重60kgを今日から質量の基準『12マスミ』としよう。すると,マスミの嫁さんの体重は45kgなので,マスミの体重の3/4倍だ。したがって,嫁さんの体重は『12×3/4=9マスミ』ということになる。(実際には相対質量には単位は無いぞ!)

※ ところで,相対質量を12C=12と定めると,35Clの相対質量も35Cl≒35となる。23Naの相対質量はほぼ23だし,27Alの相対質量はほぼ27だ。元素記号の左上の数値は「質量数」という値だった。なぜこれが相対質量の値とほぼ一致するのだろう。
ここから先は読者の皆さんがよく考えてほしい。

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