11月の学習指針(受験生)

受験生の皆さんこんにちは。化学担当の枡見(マスミ)です。

肌寒い季節になってきましたね。
受験シーズンまであと4カ月ほど。
学校でも塾・予備校でも化学のカリキュラムは終盤の高分子化合物に差し掛かった頃か,少し進度が速いところならもう一通り終わった頃でしょうか。

そこで,「とりあえず一周終わったけど,ここからの受験勉強どうしたらいいの!?」という迷える受験生のために,
ザックリではあるけれど,勉強の方針をいくつかのパターンに分けて提示していきたいと思います。

最難関国公立を目指す人向け

東大・京大・東工大を目指す人たちへ。

日本を代表する難関大を目指す諸君に必要なのは,
「基本事項のもう一歩深い理解」だ。

例えば,

「水分子はなぜ折れ線型か?」「電気陰性度はどのように定義されているか?」「無水硫酸銅(Ⅱ)は白色なのに硫酸銅(Ⅱ)水溶液はなぜ青色なのか?」「フェノールはなぜベンゼンよりも置換反応が起こりやすいのか?」

…こういった質問に君は答えられるだろうか?
最難関の大学は「だってそういう風に覚えたから」では通用しない問題が多く出る。

では,こういった理解を深めるにはどうすればよいのか。

まずは,参考書と問題集を1冊ずつ用意してほしい。
三省堂の「化学の新研究」「化学の新演習」だ。
定番なので既に知っている,持っている人も多いかもしれない。

やり方は普通の問題集と同じように
「解く」→「解答解説」
という順番で良いが,
解答解説を見た後に「ふーん。そうなんだぁ…」ではなく,
必ず「新研究」で関連事項のページを開いてみてほしい。

ほとんどのケースで「初めて知った」という話が出てくるんじゃないだろうか。
そういう話は必ずきちんと読んで記憶に残しておいてほしい。
一度読んで分からなければ二度,三度,手と頭をグチャグチャ動かして腑に落ちるまで考えてほしい。
何度読んでもよく分からなければ,とりあえずメモを取っておいて,信頼できる先生に聞いてもよい。

難関大受験生には釈迦に説法かもしれないが,
「綺麗なノートを取り,問題の解法をたくさんインプットする」なんて“お勉強”は賢い人のすることではない。
自分の頭で考えて,苦労して,脳味噌をアップグレードさせることが最難関大への最大の近道だ。
中には難しい話もあるけれど,東大・京大を相手に「知りすぎる」なんてことはないのだ。どんどん読んで,理解を深めてほしい。

その他難関大を目指す人向け

さて,次に東北大や北海道大,筑波大,千葉大…といった難関国公立大,早慶や上智,理科大,MARCH…といった難関私大を目指す人向けの話をしよう。

このレベルの大学を受ける人に必要なのは
「典型問題をきちんと網羅する」
「教科書の知識で初見の問題をやりくりする」
という能力だ。

用意するのは

数研出版「化学重要問題集」

か,


駿台文庫「化学頻出!スタンダード問題230選」

のどちらかが良い。
これらの問題集は典型問題を網羅に最適だ。
特に後者は,予備校講師選りすぐりの良問が掲載されているし,解説も懇切丁寧だ。

そして,もう一冊……「教科書」を使おう。

「えぇー!」と思った人もいるかもしれない。
化学の勉強で教科書を使っている受験生は非常に少ない。

理由は単純で,教科書は初学者には何が重要な話で何がそうでないのかが分かりづらく,扱いが難しいのだ。
だから,学校の先生や塾予備校の先生は,オリジナルのプリントを使って授業する人がとても多い。
僕もそうだ。
ただ,各先生が作るプリントは,大抵は教科書の中で入試問題を解く際に重要な箇所をまとめたものだ。
当然,まとめる際に教科書から削ぎ落される内容もあるのだ。

そこで,一度,学校や塾・予備校の先生の講義を受けた君たちは,もう一度教科書を読んでみて欲しい。
初学者のときは無味乾燥に見えた記述も,
一度講義を受けた君たちが読めば
「あのとき先生の説明してたやつだ!」
「へぇー!初めて知った!」
という内容がたくさんあるはずだ。
この「自分で読んで納得する」という経験が非常に重要だ。

よく,「問題集〇〇周やったけどできるようになりません!」
という人がいるが,よく理解しないままがむしゃらに何周やっても意味がない。

大事なことは,
問題の中身をよく理解して,
もう一度同じ問題が出たときに,
冷静に対処できるようにすることだ。

センター重視の人向け

最後に,センターでしか化学を使わないor志望大の出題がセンターレベルである人向けに。

現状でマーク模試で偏差値50を超えない人は
センター試験云々以前に根本的に理解不足なので,
「セミナー化学」「リードα」「ニューグローバル」
といった教科書傍用問題集や,


数研出版「リードライトノート」
といった標準的な問題集をきちんとやり込んでほしい。

もう少しレベルアップしたい人は,
過去問に取り組んで良い頃だろう。

「え?もう過去問?」という人もいるかもしれないが,
センター試験ほど過去問と同じ問題が出る試験は他にない。
少し調べれば分かることだが,
中和滴定の滴定曲線問題なんかは
毎年ほとんど同じことを聞かれる。
10年分も過去問を解き込んで,
「分からない内容は教科書で調べる」を繰り返せば,
十分得点力がつくだろう。

…で,終わりにしたいところなのだけど,
一つ落とし穴が。
それは

「気体」「溶液」「反応速度と化学平衡」「高分子化合物」

…といった旧課程【化学Ⅱ】に該当する単元は
過去問が現行課程になってからしかないのだ。
このあたりは大変悩ましいが,
次善の策として,
各予備校が出しているセンター対策問題集や,
マーク形式の私大で演習量を積むしかないだろう。

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枡見康平——Kohei MASUMI

首都圏の予備校・塾・学内予備校に出講中。

講義ではテキトーそうな雰囲気を醸し出しつつ,「なぜそうなるのか?」を一つ一つ丁寧に積み上げる。ごく稀に化学愛をぶちまける。科学史と甘いものとネコが好き。