[現代文]辞書を活用するために

今回は辞書のお話。

どんな場面で辞書を引くの?
どうやって辞書を引くの?
紙の辞書と電子辞書ってどっちが良いの?

そんな疑問に対する答えを考えながら,じっくり「辞書」と向き合ってみたいと思います。

以前「語彙力をつけよう」というコンセプトで書いたこちらの記事も併せてご覧ください。

 

 

呼び方は辞書?辞典?

書店に出かけてみると,さまざまな辞書に出会います。たとえば,『新明解国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂国語辞典』『明鏡国語辞典』といったものが目に入るのではないでしょうか。
一方で,今回の記事のタイトルに選んだのは「辞書を活用するために」というもの。

普段「辞書を引く」とよく言う割に,書名は『○○辞典』。

こういう違いって,実はそんなに注意することではないのかもしれませんが,気になり始めると気になるものです。そしてそんなときに頼るのが「辞書」だったりもするわけです。試しに『新明解国語辞典 第7版』を引いてみます。

じしょ【辞書】
ある観点に基づいて選ばれた単語(に準ずる言葉)を、一般の人が検索しやすい順序に並べて、その発音・表記・意義・用法などを書いた本。

 

じてん【辞典】
「辞書」の改まった言い方。

となっています。
……ということは,「辞書」と「辞典」ってどっちでも良いの?

さらに『大辞林 第三版』を引いてみると…

じてん【辞典】
いろいろな言葉を集めて一定の順序に配列し、その表記法・発音・語源・意味・用法などを記した書物。辞書。じびき。

とあります。
やはり「辞書」と「辞典」ってどちらでも良さそう……。
この項も長くなってきたので省略しますが,他の辞書を引いてみてもやはり「辞書」と「辞典」を同義として扱っているものが多い模様。

どうやら歴史的な違いなど,細かな違いはあるものの一般的には「辞書」でも「辞典」でもどちらでも良く,書名では『○○辞典』ということが多いというところで(私の中では)落ち着きました。

 

辞書の広がりを知ろう

作家の村上春樹氏が『村上朝日堂はいほー!』の中の「無人島の辞書」というエッセイで「一冊だけ本を携えて無人島に行くとしたら何を持っていくか」という設問に対する結論として「英語の辞書」を持っていくと答える一節があります。

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たしかに時間潰しにはもってこいの文字数です。
たとえば,『新明解国語辞典 第七版』に収録されている項目の数は77,500,ページ数は1651(字義解説部分のみ)。これだけの分量を「読み切る」ということに挑戦するのはひたすら時間を潰すのにうってつけでしょう。

……見方を変えましょう。

載っている77,500項目のうち,全ての語を知っているという人はそう多くないはずです。ということは,辞書の中には「まだ出会ったことのない言葉たち」がたくさん存在しているということなのです。

言葉を知るということは「現代文」の学習の基礎であることはもちろん,それ以上に私たちのコミュニケーションを豊かにし,大げさではなく世界を豊かにしてくれるものです。

たとえば,味。あなたもテレビでワインの試飲をしているシーンを目にしたことがあるかもしれません。そのときワインに詳しい方が「火打ち石の香り…」「これは濡れた犬の毛…」などと表現しているのを聞くと、ワインについては「美味しい」「美味しくない」以外の言葉を知らない僕なんかでは「これだけ細かく違いがわかったら楽しいだろうなぁ」といつも感動します。同じものを見たり聞いたり食べたり飲んだりしていても,使える言葉の数によって楽しみ方も大きく変わるのだろうと感じさせられる瞬間の一つです。

私たちはよく,言葉を通して身の回りの世界を理解し,表現していると言われます。そうであるなら,より多くの言葉を知り,使いこなせた方が,より詳しく正確に物事を理解し,表現できるのではないでしょうか。そんな意味でも,辞書に載っている「まだ見ぬ言葉たち」は魅力的な存在です。

そして,「辞書」の説明を読んでもわかるように,同じ語でも辞書によって説明のされ方は異なります。その違いに注目していろいろな辞書を比べてみるのも面白いものかもしれません。

 

複数の辞書を引くこともあり得る

今「同じ語でも辞書によって説明のされ方は異な」ると書きました。実はここに辞書を引く際のポイントが隠されています。

辞書である語を引いてみた時に「いまいちわからない」「わからなくはないけれど,しっくりこない」という経験をしたことがある人もいるでしょう。そんな時,どうしていますか?

実際の生徒たちから話を聞いてみると,案外「辞書を引く」「その説明を読む」「書き出す」ことで満足して(理解したつもりになって)しまい,結局その語の理解は曖昧なまま…という場面も多いように感じます。せっかく辞書を引いて「言葉を理解しよう」と思っているのにそれでは勿体無いですよねぇ…。

そこで,同じ語でも辞書によって説明のされ方は異なるという辞書の特徴を活用してみるのが鍵を握ります。

ある辞書の解説ではピンとこなかったら別の辞書を引いてみる。
それでも理解できなかったらまた別の辞書を引いてみる。

その作業の積み重ねを通して,一語一語に対する理解を深めていくことを心がけてみましょう。
例文の確認も忘れずに。

 

辞書を引くのはいつ?①――知らない言葉に出会ったとき

さて,ここからは実際に辞書を引くタイミングについて見ていきましょう。

「辞書を引く」と聞いてまず真っ先に浮かぶのは「知らない言葉に出会ったとき」なのではないでしょうか。

現代文の予習をしているとき,復習をしているとき,読書しているとき,電車の中で広告を見たとき……。どんな場面であれ,「この言葉ってどういう意味だ?」と思った時に辞書を引くというのはイメージしやすいと思います。わからない言葉を前後の流れから「推測」するという力は,「入試本番では辞書を引けない」という点からすればもっともなのですが,そもそも辞書を引かなくても良い状態を目指していきたいものですし,辞書を引いて言葉の意味を知るうちに,推測する力も案外ついてくるものです。

というわけで,知らない言葉に出会ったときはぜひ迷うことなく辞書を引いてみてもらいたいと個人的にはいつも思っています。

 

辞書を引くのはいつ?②――わからない言葉に出会ったとき

実は,受験生たちに最も意識してもらいたいのがこれ。

「知らない言葉」と同じように感じるかもしれませんが,ここではあえて区別して,「わからない言葉」とは「見たことはあるけれど,意味を説明しろといわれると難しい」というような言葉のこととします。

これ,意識しないと案外スルーしてしまいがちな言葉なんですよね。

たとえば,

「なまめかしい」「わびしさ」「情緒」「没入」「景物」「象徴」「内省」「意義」

これらの言葉,「見たことはある」という人も多いと思いますが,ではその意味は説明できますか?「なんとなくわかる気がするけれど,説明しろと言われると…」と感じる人も多いのではないでしょうか。

こういう「見たことはあるし知っているけれど,意味はあやふや」という語も辞書で確認してみることをおすすめします。最初はスルーしてしまいがちかもしれませんが,「辞書を引く」ということを意識して丁寧に文章を読んでいくうちに,自然と注目していくことができるようになる…はず……。

 

辞書を引くのはいつ?③――ふと辞書を開いてみる

辞書は「わからない語/知らない語」があったとき〝だけ〟引くものというわけではなく,いつ引いたって良いもの。要は,特に調べたい語がない場合でも辞書を開いてみるのだって大いにアリなんです。

私自身,家でふとした瞬間に辞書の中の適当なページを開いてみて,そこに載っている項目を眺めるということが今でもよくあります。そしてそのページに「初めて出会う語」が載っているという経験を幾度もしてきました。「こんな風に出会わなければ一生出会うことはなかったのかもしれないなぁ」と思った経験も一度や二度ではありません。

というわけで,電子辞書だとなかなか難しいかもしれませんが,紙の辞書が自宅にあるという人はぜひ「ふと辞書を開いてみる」のもおすすめです。

 

辞書を引くのはいつ?④――「たほいや」

最後に,ちょっと変わり種をご紹介します。日本では「たほいや」と呼ばれる遊びです。本当はチップを使って遊ぶようですが,チップはなくても楽しめる遊びです。

[遊び方]

①親(=出題者)を決める
じゃんけんでOKです。出題者になる親を決め,それ以外の人は回答者です。②お題を決める
親は辞書の中から適当な言葉を選び,選んだ言葉だけを全員に伝えます。

③回答者が解説文を書く

②で伝えられたお題の「辞書みたいな解説」を回答者が考えて書き,親は辞書に載っている解答を書いておきます。

④集まった解答と辞書に載っている解答を読み上げる

回答を集め,親が全員分(正解も含め)の回答を(誰が書いたかわからないように)読み上げます。

⑤回答者が「どれが辞書の解説か」予想する
正解者と,それらしい解説を書いて他の人をひっかけることに成功した人が勝ち。

3人いれば遊べますが,できれば4人以上で遊ぶとなかなか盛り上がります。
ぜひお試しください!

 

まとめと次回予告

今回は辞書を引くタイミングに注目して辞書の意義を考えてみました。

紙辞書,電子辞書,スマホアプリ,WEB辞書……

どれも「辞書」と呼ばれますが,様々な形があり,そしてそのそれぞれにそれぞれの特徴があります。「辞書シリーズ」次回はその辺りを掘り下げていきながら,目的に合った辞書を探していきたいと思います。

 

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コメント

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  1. 2019年 5月 09日
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