「小論文」カテゴリーアーカイブ

2月の学習指針(受験生)②

この時期の学習指針を列挙した前回の続きです。
前回の記事はこちら。

2月の学習指針(受験生)①

それでは、少ない時間で小論文の学習をたくさん行う方法についてみていきましょう。

 文章の要約練習を行う

この時期には志望校の過去問を解いている人が多いと思います。そこで取り組んだ問題の文章を要約してみましょう。
小論文入試では要約を求められることがありますし、自分の考えを簡潔にまとめるトレーニングにもなります。また、記述力の養成という意味で国公立大学の入試対策にもなります。

一石三鳥の学習法です。

過去問題集の解説部分に本文要約が載っていることが多いので、これを解答例として自らの答案と比較することでまとめ方のヒントが得られるし自己採点も可能になります。

国語の過去問の文章を課題文に短い小論文を書く

前述した過去問を用いたもう一つのトレーニング法です。

過去問で取り組んだ問題を課題文と考えて小論文を書いてみましょう。字数は100字~200字が目安。

立論・主張・根拠が揃えば小論文の「柱」ができあがります。
そのために必要なのが上記の字数なのです。

この程度の字数であれば書く負担が少なくなります。

また、国語の試験の中に自分の意見を問われる問題が入っている場合も多いのですが、その場合は概ね200字程度の論述が求められます。その意味でも100字~200字でまとめるというのは妥当性があるのです。

再論述の実施

これまでも小論文の演習はしてきたことでしょう。

ところで、ここまで取り組んだ問題の再論述は行っていますか? 添削してもらってアドバイスを読んで、それで終わっていませんか?

せっかくアドバイスを受けたのだから、それを意識して小論文を書くことであなたの技能は高まるはずです。
そこで行ってほしいのが再論述。
一度取り組んだ問題をもう一度書き直しましょう。
一度取り組んだ問題ですから、課題文や資料の読み取りの負荷は減るはずです。その分考えることに時間を割くことができます。

以前書いたときには気づかなかった論点を発見できたり、思考・論述の技能が向上した自分を実感できたりするかもしれません。
いずれにせよ、小論文の技能を高めるために再論述は重要な学習方法です。

最後にーー小論文の学習を「捨てない」

いかがでしたでしょうか。
各自の状況にあわせて活かせる学習方法を実施してください。

繰り返しになりますが、小論文の学習を止めてはいけません。その前提でできることを精いっぱいやる。小論文の学習を「捨てる」ことはしないで最後まであがいてください。

受験生のみなさんの健闘を祈っています。

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

2月の学習指針(受験生)①

センター試験も終わり、いよいよ最後の詰めの時期です。
私大入試も始まっています。

この最後の最後の時期だからこそ、
小論文の学習であとひと踏ん張りしたいところです。

小論文は短期で実力がつきにくい科目だと思われるかもしれません。それは確かにその通りなのですが、だからといって小論文の学習を後回しにしてよいわけではありません。
最後の最後までやるべきことをしっかりやっていきましょう。

量的負荷をかける

さて、1月の学習指針でもお伝えしましたが、直前期の小論文学習で重要なことを確認しておきましょう。

直前期の小論文学習指針
① 知識の拡充
② 思考法・発想法の錬磨
③ 量的負荷をかける

①の「知識の拡充」は12月に、

12月の学習指針(受験生)①


②については1月に

1月の学習指針(受験生)


それぞれお伝えしているので、2月には③の「量的負荷をかける」ことについて見ていきましょう。

「この時期に小論文の学習量を増やすなんて無理だよ~」という声が聞こえてきそうです。
確かに他の科目とのバランスを考えると小論文に多くの時間を割くわけにはいきません。

それでも小論文の学習を続けるべき理由が3つあります。

学習を続ける理由①「技能」は使わないと鈍る

例えば鉄棒のさかあがりを考えてみましょう。

小学生の時はできたかもしれません。しかし今さかあがりをしてみよと言われたら、できる自信がありますか?(近所に鉄棒があったら実際にやってみてください)

おそらく最初はうまくいかないはずです。繰り返しているうちにできるようになるかもしれないし、できないかもしれません。
このように、過去にできたことが今ではできなくなっていることはままあります。
したがって技能を「使う」ことが重要なのです。

学習を続ける理由②「書く」行為が思考を活発化する

小論文に限らず、国公立大学の国語と関係する話です。

例えばセンター試験や私大の試験のように選択式の問題では文章を読み取るだけで答えを出すことができます。しかし国公立大学の二次試験で課される記述式問題では単に読み取るだけでなく解答をいかに構成するかに頭を使わなければなりません。

選択式であればなんとなく答えても正解できるかもしれませんが、記述式問題では本文の内容を理解しそれを自力で再構成する必要があります。

多くの受験生が「選択式の方が簡単、記述式の方が難しい」と思っているのではないでしょうか。これらのことは「書く」という行為が否が応でも自らの思考を促すことを示します。

1月にお伝えした思考法を活用するためにも「書く」という行為を止めてはならないのです。

学習を続ける理由③添削してもらえる期間が終わる

多くの人が学校や塾・予備校の先生に小論文の添削をお願いしているでしょう。

先生方は忙しい時間の合間を縫ってあなたの答案を添削してくれています。添削をお願いしてすぐに返却されることはおそらくないはずです。

そう考えると、あなたの答案を添削してもらえる時期はそろそろ終わりを迎えます。実力向上のチャンスの〆切が目の前なのです。その最後のチャンスを活かさねばなりません。

さて、小論文の学習の必要性を理解していただけたでしょうか。
とはいえ、やはり十分な時間を取るのは現実的に難しいでしょう。そこで、次の回では少ない時間で小論文の学習をたくさん行う方法を提案します。

[編注]少ない時間で小論文の学習をたくさん行う方法について解説した次の記事は以下のページへ。

2月の学習指針(受験生)②

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

1月の学習指針(非受験生)

たくさんの本を読む

先輩がセンター試験を前にして追い込みに入っている姿を見て、非受験学年の皆さんも気合が入ってくる時期かと思います。
その勢いを借りて、非受験学年から小論文の準備をしっかりしていきましょう。

さて、この時期に小論文でやるべきことは非常にシンプルです。

「たくさんの本を読む」

これにつきます。

まだ入試対策に汲々とする必要のない時期だからこそ、
参考書や問題集にかじりつくことなく、
幅広い教養を身につけることができます。

小論文は(現代文も)この「教養」がものを言う科目です。

ここでいう「教養」とは、断片的な知識ではなく、ある一定の体系性をもった知識群だと考えておいてください。

インターネットを通じて私たちは日々さまざまな情報に触れています。しかしそれらは断片的な情報です。

情報をたくさん持っていること自体はとてもよいことで責められるべきことではありません。しかしインターネットを行き交う情報の最大の弱点は、断片的であるがゆえにどれが重要な知識なのか判断できないところにあります。

この重要性の判断の基礎になるのが、
その知識が組み込まれている「体系」です。

すべての知識・情報は先人の研究・思索の延長線上にあり、自分の目の前にある知識・情報がそれまでの学問的営為のどこに位置づけられるのかがわからなければ、重要性を判断できません。
もし自分がこれまでにない画期的な発想を思いついたとしても、それは先人の考えてきたことと同じであるかもしれません(これを「車輪の再発明」と呼びます)。

そういうことに陥らないためにも、これまでの学問的営為について(少なくてもいいから)知っておく必要があります。
そのための一番手っ取り早い道具が本なのです。

読むべき本の探し方①

ここまでで本を読む重要性を理解してもらえたかと思います。でもどんな本を読めばいいかわからないですよね。

そこで提案したいのが、
皆さんが使っている情報収集ツールです。

最近のインターネット技術では、皆さんの興味関心に合わせて提示する広告を変えることが可能になっています。
つまりインターネット・アプリの広告は
自分の興味関心の「鏡」なのです。

そこでこれを逆に活用し、
自分の興味関心にあわせた情報を確認し、
それに関する本を手に取ってみるという方法が考えられます。

もしゲームばかりしていてゲームの広告が多いぞ、と思ったら、「ゲームの歴史」みたいな本を手に取ります。

たとえば


『ゲーム産業で何が起こったか?
巨大エンターテインメント業界のいま』

もしアイドルが好きでそういう情報ばかり見ているぞ、と思ったら「アイドル文化」みたいな本を手に取ります。

たとえば


『アイドルはどこから 日本文化の深層をえぐる』

……と、こんな具合です。

読むべき本の探し方②

でもどうしたらそういう本が見つかるの?
と思うかもしれませんね。

これはわりと簡単です。

検索サイトで
「○○(自分の興味のある分野) △△(検索キーワード) 本」
で検索してみてください。

重要なのは真ん中の△△に入れるキーワードです。
これを入れないと、
ゲームの攻略本やアイドルの写真集ばかり出てきます。

△△のところに「文化」「産業」「歴史」などのキーワードを入れてみてください。そうするとあなたの好きなものについて(一定程度)専門的・学術的に研究した本が出てきます。

その中でおもしろそうなものを書店や通販サイトで買ったり、図書館で探してみたりします。そういうプロセスで、自分の好きな分野が社会でどのように考察・研究されているかに触れてみましょう。意外な側面が見えてくるかもしれませんよ。そのことでより自分の興味関心が深まっていく可能性もあります。

このようにして
自分の関心分野から体系性のある知にせまることができます。

まずは手に取って、触れてみる。

この経験があなたを知の体系へと近づけてくれます。
自分の興味関心から出発する教養への道。
なかなかおもしろいアプローチだと思いませんか。

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

1月の学習指針(受験生)

いよいよ入試直前となりました。
小論文の学習も大切ですが、
まずはセンター試験に集中してください。

センター試験で結果を残すことで、
国公立2次試験に有利になることは間違いありません。
センター試験が終わり志望大学が決まったら、
あらためて小論文対策に時間を割きましょう。

さて、センター試験明け
小論文の学習で重要なことをお伝えしましょう。
大きく分けると3つあります。

① 知識の拡充
② 思考法・発想法の錬磨
③ 量的負荷をかける

①については12月にお伝えしているので
そちらを確認してください。
③については2月の指針でお伝えします。
ここでは②の「思考法・発想法の錬磨」についてお伝えします。

思考法の錬磨

受験生の皆さんは先生に「よく考えろ!」と言われることが多いのではないでしょうか。しかしながら「よく考える」って、どういうことなのでしょうか。それがわからないまま「考える」ことをしても、たいしたことを考えられるはずもありません。

そこで「考え方」つまり「思考法」を学ぶ必要があるのです。
小論文の思考法として重要なのが「批判的思考」つまりクリティカルシンキング(Critical thinking)です。

12月の学習指針②で「批判的読解」についてお伝えしましたが、これの思考バージョンだと思ってください。批判的に考えることで、自分の思考をより深め、説得力のある小論文が書けるようになります。
では、小論文における批判的思考とはどのようなものでしょか。以下で見ていきましょう。

自問自答を繰り返す

クリティカルシンキングにはさまざまな方法があります。ここでそれをすべて挙げていてはキリがありません。

その中で小論文を書くうえで重要なのが
「セルフモニタリング」(Self-monitoring)です。

セルフモニタリングとは、「自分の行動や考えや感情を自分で観察記録すること」(大辞林第三版)。わかりやすく言いかえると「自分の考えたことを自分でチェックすること」です。
これ、文字にすると簡単なことに見えますが、実際にやってみると意外と難しいことなんです。

自分の思考プロセスの間違いや矛盾を自分で発見することは難しいことです(私でもうまくできないことがあります)。
このセルフモニタリングを比較的簡便に行う方法として「自問自答」があります。自分が考えたことについて自分で問い直してみるのです。
例えば以下のような小論文があるとします。

問い
人間にとって「名付ける」とはどのようなものであるか。
あなたの考えを述べなさい。

この問題に対し、

解答例
人間にとって「名付ける」ことは、外界を認識するうえで欠かせないことである。なぜなら人間はものに名前を与えることで世界を理解するからだ。たとえば「イヌ」という音を聞いたとき、私たちは犬の姿をイメージできる。だから人間は想像力を鍛えなければならない。

どうでしょう。
この小論文を読んでどう思いましたか?
いい小論文だと思いました?

これ、実は最悪の小論文です。

それでは、
どのように考えればこのひどさがわかるのか、
検証していきましょう。

  • 2文目冒頭に「なぜなら」とあるが、ここは因果関係として妥当か?
    →1文目「人間にとって『名付ける』ことは外界を認識するうえで欠かせないことである」と2文目「人間はものに名前を与えることで世界を理解する」は同内容なので因果関係とならない
  • 3文目から具体例に入るが、前文の具体例として適切か?
    →2文目「人間はものに名前を与えることで世界を理解する」の具体例として「『イヌ』という音を聞いたとき、私たちは犬の姿をイメージできる」はイメージの話。「世界の認識」の話となっていない
  • 4文目が結論となるが、論題に対する結論になっているか?
    →論題「人間にとって『名付ける』とはどのようなものであるか」について結論が「人間は想像力を鍛えなければならない」となっている。これは論題に対応しない

このように、文同士のつながり、あるいは段落同士のつながり、論題とのつながりについて自分の答案に問いかけてみるのです。そうすると論理展開のおかしさ、矛盾に気づきやすくなります。

もちろんこのセルフモニタリングは一朝一夕でできるようになることではありません。
小論文を書くたびに練習して上達してください。

この「自問自答」「セルフモニタリング」が上手になると、答案をよりよいものに練り上げていく技術が向上します。ぜひ意識して練習してみてくださいね。

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

12月の学習指針—AO・推薦対策③(非受験生)

12月の学習指針—AO・推薦対策①
12月の学習指針—AO・推薦対策② の続きです。

町へ出よう

AO・推薦入試のための学習は学校の中だけでは足りません。

学校での経験はもちろんあなたを成長させてくれますから、さまざまな活動や行事に積極的に取り組むべきです。
しかし一方で、学校の中で自足しているだけでは経験が不足してしまいます。

学校の外には広い世界があります。その世界に出てみることであなたの経験はより広く深いものとなります。

では、学外でどのような経験をすればいいのでしょうか。
これもいくつかありますが、大きく3つに分類できます。

学外でしたい経験
① 学校とは異なるボランティア活動
② 学外のコンテストやワークショップへの参加
③ 美術館や博物館の観覧

それぞれについて見ていきましょう。

①学校とは異なるボランティア活動

ボランティア体験を実施している学校は数多くあります。
しかしそれらは学校の行事であるがゆえにどうしても「強制的にやらされている」感じがつきまとうものです。

そこで、自発的にボランティア活動に参加するということが大切になります。

最近ではたくさんのNPO法人があり、それらの中にはボランティアを募集しているところがたくさんあります。そういうものに応募し参加すること。それがあなたに多くの体験をもたらしてくれます。

②学外のコンテストやワークショップへの参加

これは多くの人が知っているのではないでしょうか。
さまざまな分野で高校生対象のコンテスト、ワークショップが開催されています。有名なところでいえば、数学オリンピックやディベートコンテスト、ロボット制作のワークショップなどです。これらは学校を通して申し込むものも個人で申し込むものもあります。それらに積極的に参加してチャレンジしましょう。

その分野に関する実践的知識・技能はもちろんのこと、学外の高校生と交わる経験があなたを成長させてくれます。

③美術館や博物館の観覧

自分の目指す分野に関する美術館・博物館もたくさんあります。そこへ足を運ぶことが、知的体験となります。

また、美術館や博物館では担当学芸員の解説イベント専門家の講演会など、より深い理解を促してくれる企画を実施しています。それらがいつ行われるか調べ、事前申し込みが必要ならおこなって参加しましょう。
学芸員の話が聞ける機会はあまりありません。
そういう場に参加することは、学芸員や専門家に質問する機会にもなります。そこでの経験はあなたに特定分野に関するより深い知識をもたらしてくれます。
ぜひ積極的に参加してほしいところです。

いずれのイベントも学校の長期休暇にあわせて行われることが多いようです。長期休暇であれば遠くに行くことも可能です。保護者の方に相談してイベントに家族旅行を組み合わせてもらうのも手の一つです。

高1生はまだ時間がありますから、各長期休暇にこのようなところへ足を運んでみてください。高2生は冬休みと春休みしかチャンスがありません。急いで調べて申し込んでください。本格的な受験勉強に入る前によい経験を積んでおくと、のちのちそれが生きてきます。

まとめ

というわけで、第1回目の冒頭に掲げた通り「書を捨てるな、町へ出よう」が今の時期の非受験学年がAO・推薦入試へ向けてできる最良の準備です。積極的に本を読む。学外へ出て多くの経験を積む。AO・推薦入試のためだけでなく、あなた自身の生を豊かにすることにもつながります。たくさんの経験を積んでくれることを応援しています。

AO・推薦入試の志望理由書の書き方やそのために必要なことは、学びエイド の「うかる! 志望理由書自己申告書の作成法」でご紹介しています。参考にしてみてくださいね。

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

12月の学習指針—AO・推薦対策②(非受験生)

12月の学習指針—AO・推薦対策① の続きです。

前回紹介した、志望系統を決定するために「読んでおくべき本」を見つけるための視点は3つありました。

「読んでおくべき本」を見つける視点
①『高校生のための○○入門』といったタイトルの本
②  新書
③  小説、詩歌などの文学作品

では、それぞれについて見ていきましょう

①『高校生のための○○入門』といったタイトルの本

これは「高校生のため」「入門」と銘打っているのですから、当然○○という分野について高校生にわかるように解説されている本です。

それぞれの学問分野は現在専門分化していて、どこから手をつければよいのかまだ大学で学んでいない高校生にはイメージしにくいでしょう。そこでまずはその学問分野全体をわかりやすく説明してある本から入るのが合理的です。そしてその学問分野の全体像を把握したうえで、特に興味深い分野を深掘りしていけばいいわけです。

何事も学ぶには一定のプロセスがあります。その「取っ掛かり」としてはこのような本が最適でしょう。

② 新書

新書って知っていますか? 本屋や図書館に行くと、文庫本より少し縦長で、表紙のデザインが同じようになっている本がありますよね。あれが新書です。

新書とはわかりやすく言うと、その分野の専門家が一般の読者にもわかりやすく解説する本です。ですから、ある特定分野の内容を理解する一番手っ取り早い本なのです。

世の中にはさまざまな「○○新書」があります。その中でも特に中学生・高校生を読者として想定しているのが「ちくまプリマ―新書」です。

まずはこのあたりからスタートして、徐々に通常の新書を読み進めていくのがよいのではないでしょうか。

③小説、詩歌などの文学作品

これはもしかしたら意外に思うかもしれません。しかし、文学作品もAO・推薦入試を目指すうえで非常に役に立ちます。

まず、人文系学部に進もうと考えている人にとって文学作品は必読です。日本文学、英文学、フランス文学などに関心があるのであれば、それに合致する作品は読んでおく必要があると言えます。

次に、他の系統に進学しようと考えている人にも文学は重要です。現在の世界は過去の延長線上にあります。過去に何があったか、どのようなことが現在に繋がっているのか。こういうことを先に挙げた入門書で理解することはもちろん可能です。しかしそれはただの知識であって、それぞれの時代の人達がどのように考えていたのか、リアルにイメージできるものではないのです。その「リアル」感を理解させてくれるのが小説に代表される文学作品です。過去の人たちの考えをいきいきと表現しているものとして文学作品を捉えなおしてみると、文学の意義も際立ってくるでしょう。

そして最後に、有名な文学作品はあなたに「教養」を与えてくれます。教養というのは単なる知識ではなく、知識を身につけることによって養われる心の豊かさです。あなた自身が魅力的な人間になるためのヒントを与えてくれるのが文学作品なのです。

AO・推薦入試ではあなたがその大学で学ぶにふさわしい人間であるかどうかが問われます。自分が大学で学ぶにふさわしい人間として大学に選抜してもらうためにも、豊かな教養をもち、魅力的な人間になる必要があります。高3になって受験勉強に追われるようになる前に、文学作品に触れる意義はここにあります。ぜひ文学作品を手に取ってみてください。

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

12月の学習指針—AO・推薦対策①(非受験生)

AO・推薦入試の受験を検討している高1、高2生もいるでしょう。そういう人たちがこの時期何をすればよいか。寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』 になぞらえるならば、

「書を捨てるな、町へ出よう」

です。

寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』
書を捨てるな

AO・推薦入試を考えるうえでまず大切なのは、大学に入ったら自分がどのような勉強をしたいのかを明確にすることです。

AO・推薦入試においてはおそらく複数の大学・学部を受験することになるはずです。それがA大学では法学部、B大学では文学部、C大学では経済学部……ということになってはおかしなことになります。

なぜならば、将来自分がどうなりたいのか、そのためにどのようなことを学ぶ必要があるのか、なぜそれがその大学への進学につながるのか……ということを明確にせねばならないからです。
したがって、大学によって異なる学部を受験するにはあまりにもやらねばならないことが多くなるし、そもそも将来像を複数思い浮かべるというのは自家撞着を抱えることとなってしまいます。そこでまず大切なのは、自分の志望系統を決定することなのです。

すでに志望系統が決まっている人は問題ありません。
しかし、漠然と「AO・推薦入試を受けようかな……」と思っている人もいるかと思います。
そういう人はまず志望系統を決めなければなりません。

では、そのためにどうすればいいのか。
端的に言えば「本を読む」ことにつきます。
本を読んで「こういう系統がおもしろそうだな」「こんなテーマが興味深いな」という分野を発見することから始めるのがいいのではないでしょうか。

そうはいっても「どんな本を読めばいいんだろう?」と考えてしまいますよね。そこで、ここでは「読んでおくべき本」の選び方を紹介します。

「読んでおくべき本」を見つけるための視点は、大きく3つ。

「読んでおくべき本」を見つける視点
①『高校生のための○○入門』といったタイトルの本
②  新書
③  小説、詩歌などの文学作品

では、次回それぞれについて見ていきましょう

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

なぜ小論文が「書けない」のか?—②—

注)「なぜ小論文が「書けない」のか?—①—」の続編です。

「書くべき内容」の考え方

書く前の考える準備の重要性を確かめたところで、最後にどのように考えれば「書くべき内容」が見つかるのかということをお話しします。
小論文の課題は大きく分けると3つに分類できます。

① 課題文を読解してから書く
② 図表や資料を読み取って書く
③ テーマだけ与えられる

それぞれの考え方のコツは以下の通りです。

① 課題文を読解してから書く

課題文の中に考える「ヒント」が埋め込まれています。
それを発見できるかどうかがポイントです。

客観的に読解したうえで、
思考の取っ掛かりとなることを見つけましょう。

そこから考えを進めていくわけですが、
ここで一点気をつけねばならないことがあります。

それは課題文の引用ばかりにならないようにすることです。

読書感想文であらすじ8割感想2割というの、書いた経験があるのではないかと思います。アレと同じにならないよう、課題文からの引用は必要最小限に留めましょう。

② 図表や資料を読み取って書く

図表や資料が何を表現しようとしているのか
正確につかみましょう。

図表は「パッと目についたところ」にポイントがあります。
また、文章で資料が与えられた場合は、それを簡潔に要約できるといいですね。

これらが思考の取っ掛かりとなります。
ポイントを簡潔に提示し、そこから与えられた論題について推測していくのが典型的なパターンです。

③ テーマだけ与えられる

このタイプの場合、
「連想ゲーム」が必要となることが多いようです。
与えられたテーマから自由に発想を広げ、そこに思考の取っ掛かりを見出すという方法が効果的です。

「マインドマップ」という手法も活用できます。
知らない人はぜひ検索してみてください。

……というわけで、
小論文が書けない理由、おわかりいただけましたでしょうか。

書く前に考える。

たったこれだけで小論文は(今よりもちょっとは)書けるようになります。

詳しい思考法は、学びエイド(https://www.manabi-aid.jp/)の「難関大学小論文入試対策講座」第2章と第5章で解説しています。無料会員でも1日3コマまで見ることが可能です。
それではまた次のコンテンツでお会いしましょう。以上、根岸でした!
==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

なぜ小論文が「書けない」のか?—①—

小論文を指導していると必ずこのような相談を受けます。

「小論文が書けないんです」

これを読んでいる皆さんもおそらく同じような悩みを抱えているのではないでしょうか。

それでは、そのお悩みを解決しましょう。
なぜ小論文が書けないのか。
その答えは……

「書くべき内容を考えていないから」です。

このことをもう少し詳しく説明しましょう。

小論文の問題で与えられる字数

大学入試の小論文で与えられる課題では、
どれくらいの字数を要求されるかご存知ですか?

多いものだと2000字程度(AO・推薦入試の志望理由書など)、少ないものだと100字程度(国語の問題の中に意見論述が入っているものなど)と非常に幅広いものです。

しかしながら、一般的な「小論文」の入試問題としては、300字~1000字の範囲に収まっているものが多いようです。

この字数を見て「うわ……多いな……」と思っていませんか?
でもね、冷静に考えてみてください。
小学校で使った作文用紙ってありますよね。
あれが1枚400字です。

そう考えると、
短いものは1枚以下、長いものでも2枚半です。

小学校の読書感想文で原稿用紙3枚以上「書かされた」経験を持っている人も多いのではないでしょうか。
アレより圧倒的に短いのです。
実は小論文の問題で課せられる字数は、意外と少ないのです。

書く前の準備の重要性

ここまで見てきたように、
たかだか原稿用紙1,2枚の文章を
「書くことができない」ということはないはずです。
400字以上書いたら指が折れる体質の持ち主でもない限り「書けない」ことはあり得ないのです。

それでもやはり書けない。

それは「書く内容」がないからです。
逆に言えば、「書く内容」さえ決まってしまえば小論文を書くことは誰でもできるのです。
したがって小論文を「書けない」人は、書く前に十分に考えて、「書く内容」を明確にしていないということになります。

つまり、書く前の準備が大切なのです。

言われてみればきわめて当たり前のことだと思いませんか?
しかし受験生の多くは「自分は書けない」と思い込んでしまっています。まずはこの思い込みを捨てて、十分に考えることから始めてみましょう。

続きは「なぜ小論文が「書けない」のか?—②—」で。
==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。

12月の学習指針(受験生)②

①に続いて、次は「批判的読解」の練習についてお話しします。

◆「客観的読解」と「批判的読解」

現代文の授業では、
文章を「客観的に」読む練習をしているはずです。

ここでいう「客観的」とは、
「主観を排除し、書かれている内容を書かれている通りに理解して、その論理展開を追っていく」という読み方です。
これはもちろん現代文に限らず、小論文でも、もっと言えば全科目で重要な読み方だといえるでしょう。

しかし一方で、小論文では「客観的読解」だけではよい答案を作ることができません。なぜなら、小論文の設問では「あなたの考え」を問われるからです。

現代文の設問で「あなたの考え」が問われることは少ないですよね。あったとしてもせいぜい1問。ほとんどの設問が本文の内容に関するものです。

他方、小論文では設問が2つ~3つ、しかもすべてが記述式問題で、最後に字数の多い意見論述が出てくるというのがお決まりのパターン。
そして字数が多くなれば何を書いてよいかわからなくなり、その結果「本文の引用や具体例、自分の体験で字数を埋めよう」と思ってしまう人も少なくありません。

でも、それって小学生の時の遠足の後作文や読書感想文と同じじゃないですか? できごとやあらすじをだらだらと書いて、最後に「おもしろかったです」と書いておしまい。それを大学受験生がやってしまっていいのでしょうか。そりゃあまずいですよね。

そこで出てくるのが「批判的読解」という考え方なのです。

◆「批判的読解」とは?

「批判的読解」を説明する前に、まずは「批判」という言葉について理解を深めましょう。

批判

  物事の可否に検討を加え、評価・判定すること。 「学説-」 「 -を仰ぐ」
②  誤っている点やよくない点を指摘し、あげつらうこと。 「政府の外交方針を-する」
③  〘哲〙 〔ドイツKritik〕 人間の知識や思想・行為などについて、その意味内容の成立する基礎を把握することにより、その起源・妥当性・限界などを明らかにすること。

(引用:大辞林第三版)

私たちは通常、「批判」という語を上記の②の意味で使っています。しかしここでいう「批判的読解」の「批判」とは①の意味です。

つまり「批判的読解」とは、
現代文で学んだ「客観的読解」に立脚し、
そのうえで本文の内容について
「検討を加え、評価・判定する」ことなのです。

◆批判的読解のコツ

こう書くと批判的読解を行うのは
なんだかとても難しいことのような気がしますよね。

確かに簡単にできることではありませんが、
その「コツ」はあります。

批判的読解のコツは、
文章に「ツッコミ」を入れることです。

漫才でいえば、
あなたがツッコミ担当、本文がボケ担当です。
本文の内容に

「なんでやねん?」
「何言ってんの?」
「はあ? どういうこと?」

とツッコミを入れられる場所を探す。
こういう練習が批判的読解の精度を高めます。
そして文章に的確な「ツッコミ」を入れられるようになると、
自ずと小論文の立論の質も高まり、
結果的によりよい小論文が書けるようになるのです。
ぜひ批判的読解の練習をしてみてください。

批判的読解についてより詳細に学びたければ、学びエイドというサイトで配信している「難関大学小論文入試対策講座」第4章をご覧ください。

それでは、この記事を読んでくれたあなたが、
より質の高い学習を進められるようお祈り申し上げます。

受験まであとわずか。
追い込みの時期です。
がんばっていきましょう!

==================================
根岸大輔——Daisuke NEGISHI[小論文]

現代文・小論文・AO推薦入試対策講師。

基本的な読解スキル・解答スキル・論述スキルをいかにして活用するかを授業の主軸に据えている。同時に大学入試頻出の知識・テーマをわかりやすく説明。その方法論と知識は多くの生徒の信頼を得ている。